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ダマの記憶2


トランヴェル

(ダマは背広を着ているし、ノーズは戦闘服に銃器を持ってる………明らかにララたちがいる世界とは文明が違う………)


(こいつらは別の世界から来たのか?)


トランヴェルが色々考察している中、場面が切り替わる………。


広々とした部屋が写し出され、そこにはダマの姿があった。

彼は椅子に座って足を組み、本を読んでいる。


コンコン………


ドアのノック音が聞こえてくる…。

そしてドアが開かれ、一人の少年が部屋に入ってくる。


ノーズ

「ダマ様………只今帰りました…勧誘成功です」


ダマ

「ノーズご苦労様」


ノーズ

「こんなに人が集まるとは思いもしませんでした………」

「神なんてものはこの世に存在しないのに………不思議です」


ダマ

「ノーズ………人間ってのは集団を成したい生き物なんだ」

「神だろうか科学だろうが魔法だろうが何か寄り添えるものがあれば人は集まる」

「特にこの不信な世の中ではスピリチュアルなものが流行るんだ」


ノーズ

「そんなものなのでしょうか………」


ダマ

「現にお前は神と称して人を集められているじゃないか」


ノーズ

「………それが不思議でならないのです」

「目に見えない不確かなものを信じるなんて……私には理解できない」

「私が唯一信じているものはこれです」


ノーズは銃を掲げる………。


ノーズ

「私なら目に見えるものだけを信じる」


ダマ

「ノーズ………」


ダマは銃を手で押さえる………。


ダマ

「こんなものもいらない………それに」

「目に見えないからこそ………人々をコントロールできるのだ」


ダマは本を閉じ、ノーズを対面に座らせる。


ダマ

「いいかノーズ………戦争はもう古い」

「人を殺すのではなく、生かして殺すほうが効率がいい」


ノーズ

「どういう意味ですか?」


ダマ

「無意識の奴隷をつくるんだよ」


ノーズ

「無意識の…奴隷?」


ダマ

「武力で無理矢理支配するのではなく、まるで立場が対等であるかのように思わせて、相手をコントロールするんだ」

「競争もさせず、戦いもさせない…相手を上にも下にも置かず、対面に接する」

「そして奴らにアメを与える」


ノーズ

「アメ……ですか?」


ダマ

「そうアメ………俺たちが有益をもたらす存在だと相手に認識させる………そうすることによって奴らは俺たちを対等、または下の立場だと思い込む」

「一見俺たちは損をしているように思えるが、実際は奴らから金を巻き上げたり、俺たちのために働かせたりすることができる」

「要は奴らにインフラを与えて、そこから金を巻き上げるビジネスをするんだ」

「奴らは自分たちが損をしていることに気づかない………いやむしろ気づいていても気づかないフリをする」

「奴らは無意識に奴隷と化して働くわけだ」


ノーズ

「なるほど………奴隷ですか………」


ダマ

「奴らに『感動するもの』、『楽しいもの』、『奴らにとって正しいもの』を与えれば、自然に奴隷と化す………」


ノーズ

「これがビジネスって奴ですか?」


ダマ

「そうだ………どれだけ人から金を出させるか思考するゲーム」

「武力が無くても奴らを支配することができる………目に見えないからこそ成り立つ下らないものさ」


ダマは立ち上がる。


ダマ

「ノーズ………こっちへ来い………面白いものを見せてやる」


ダマはノーズを連れて部屋を出る。そして地下へ続く階段を降りていく。

降りた先には多くの動物たちが檻の中に閉じ込められていた。そして中には人間もいた。


ノーズ

「ここは………牢屋ですか?」


ダマ

「そうだ………」


「ダマ様!」


白衣を着た男がダマたちのもとへ駆け寄ってくる。


ダマ

「ミスリル………どうだ実験の方は?」


ミスリル

「順調です!さあこちらへ!」


ダマたちはミスリルという白衣を着た男に連れられ、広い部屋にたどり着く。


ノーズ

「これは………」


グオオオ………


そこには二足歩行で歩く化け物たちがたくさんいた。

中には狼のような四足歩行のものや、スライムのような異形のものもいた。


ダマ

「奴らは今日で何日目になる?」


ミスリル

「今日で3ヶ月目となります」


ダマ

「肉体も安定してきたか………」


ミスリル

「ええ………しかし肉を与えなければ、形を保つことが難しいです…」


ノーズ

「ダマ様これは?」


ダマ

「こいつらは商品だ」

「人間やAIの上位互換………キメラだ」


ノーズ

「キメラ………つまり人間と動物を合体させたのですか?」


ダマ

「そうだ」

「こいつらは戦争しか脳がない連中に売る商品となる」

「ここで囚人を集め実験を行っているのだ」


ノーズ

「………」


ノーズは顔行きが暗くなっていった………。


ノーズ

「ダマ様………これからは戦争なんて必要ないとおっしゃってましたよね………こんなものが必要となるのですか?」


「これでは軍の奴らとやっていることは一緒です………」


ダマ

「確かにこれからは戦争なんてしなくても相手をコントロールすることができる………しかしな」

「今後こいつらの力を欲する奴が必ず現れる……」


ノーズ

「またしても戦争が起きるというのですか?」


ダマ

「いや……戦争が起きることはないだろう」

「しかしまだ見せかけの軍事力は必要だ」

「ノーズこれからは魔法の時代だ……魔法を使える奴が大頭する時代だ」

「並大抵の軍事力、サイバーテロでは太刀打ちできない…科学技術、AIを駆使しても勝てないだろう」

「そこで必要なのが魔力を持つキメラだ……」

「こいつらは魔法によって動物と結合している…人間の身体能力に加え、結合した動物の特徴を持ち、さらに魔力を原動力として動いている」

「こいつらなら軍隊を出さずとも、魔法使いたちと対等に戦える」

「平和な国ほど国民を戦わせたくないからな………代わりとなる兵隊を求めるのさ」


ノーズ

「つまり魔法使いが今後の国の軍事力となる………と」


ダマ

「そうだ」


ノーズ

「魔法……我々フンボルト軍を苦しめた悪魔のような存在……」

「やはりこれからは魔法を使える者が世の中を支配するのでしょうか?」


ダマ

「そうなるだろう」

「もはや今まで人類が築いてきた道具や科学が不要となる」

「自らの力でエネルギーを生み出し、さらに多種多様に何でも生成できる」

「もはや今までの常識を覆す新たな時代が開かれるに違いない」


「逆に考えれば、魔法を使える無いものは、時代に取り残されることになる」

「彼らにとって、魔法使いが脅威となる………だからこそ、キメラのような商品を欲するものが現れるに違いない」

「それを見越しての実験なのだ………これは」


トランヴェル

(………やはりダマたちはこの世界の住人ではないのか)

(奴らは明らかにこの世界より近代的な未来を生きている………)

(こいつらはどうやってここに来たんだ………?)


フィイイイイイイイイン……


場面が切り替わる………。

そこには先程の実験室が写し出された………。

しかし先程と違って実験室の壁は破壊されており、器具も壊されていた。そしてそこにダマが倒れていた………。

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