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ダマの記憶1

ダマ

「ノーズ!?」


ダマはノーズのもとへ駆け寄る…。


ノーズ

「申し訳ございません………ダマ様…」


ダマ

「ノーズ………」


ノーズは手足を失い、全身が血まみれであった。

体を修復させる魔力もなく、虫の息だった。


ダマ

「………ノーズよく戦ってくれた…」


冷酷な男は涙を流す…。


ノーズ

「私の………人生…は………戦いの…連続でした」


ダマ

「安らかに………眠れ」


ノーズは何かを見つめるように目を開けたまま、静かに息を引き取った。


ルイ

「ダマあああああああああああああ」


ルイは禍々しい魔法を剣の形に生成し、ダマヘ斬りかかる!


ガス!!


ダマ

「がぁ!?」


ダマは片腕を落とされる!?


トランヴェル

(待て!殺すな!)


ルイは剣を切り返し、再びダマを斬ろうと振りかぶる!


ガキィ!!


ダマの前にイトが割り込み、ルイの剣とつばぜり合う…!


ルイ

「邪魔をするな!!」


イト

「落ち着け!こいつを殺すことは許さない」

「こいつから聞かなければならないことがある!」


ルイ

「ッ!!」


ルイはイトの剣を弾き、ダマヘ向かって剣を振り下ろすが、

またもやイトの剣に防がれる。


ルイ

「どけッ!!」


イトとルイが揉め合っているなか、ダマは逃げようと試みるが、

ララの雷撃によって足止めされる!

そして身体中感電し、身動きができない。


トランヴェル

(いつダマが死ぬかわからない………)

(奴の記憶を探るなら今しかない…)


(ダマは明らかに今まで出会ってきた人間と違う…)

(恐らく何かしらこの世界について知っているに違いない)


トランヴェルは疲れ果てていた。

ララとカリアの心の中を泳ぎ、心身ともに限界が来ていたのだ。

しかし、そうは言ってられない。ルイやサラが今すぐダマを殺すかもしれない。


トランヴェルはぐったりした体を無理矢理起こして、ダマに向かって精神を解き放つ…!

彼は本日三度目の潜水となる。


ゴポポ………


トランヴェル

(さすがに三度目になると馴れたもんだな…)

(このまま流れに身を任せれば大丈夫だろう)


ゴポポポポ………


どんどん辺りが暗くなっていく……。

そして奥へと進んでいくと、小さな光が見えてきた。

トランヴェルはその光に吸い込まれるように泳いでいった。


光の先へ進むとまた辺りが暗くなっていく………。


トランヴェル

(………真っ暗だ………)


しばらく進むと下の方で焼け野はらが広がっていた。

あちらこちら炎が燃え盛り、よく見渡せば多くの人が倒れていた。


トランヴェル

(………これはダマの記憶か)


ドオオン………ドオオン………


どこからか爆発音が鳴り響く…。


焼け野はらの中に黒服の男が一人歩いていた。男は辺りを見渡し、ポケットに手を突っ込みながら歩いていた。男が歩いていると、一人の少年が木に背中を向けて座っていた。

その少年は銃を抱いてうずくまっていた。


「まだ生きているな」


男は背中に背負っていたリュックから水筒を取りだし、少年に手渡した。少年は水筒を受け取り、グビグビと水を飲む。


トランヴェル

(この黒服の男…もしかしてダマか?)


少年は水筒の水を飲み干した。そして水筒を覗き、まだ中身がないか確認したり、残っている水が出ないか水筒の底を叩いたりしていた。


「お前………名前は?」


少年

「………ノーズ…ノーズ・ヘルケン」


トランヴェル

(ん!?)

(ノーズってさっきまで戦ってた化け物か?)


ノーズと名乗る少年は12歳ぐらい。

あの化け物からは想像できないほどかわいらしい顔をしている。


トランヴェル

(こんな小さい子があの化け物になるのか………)


「ノーズ…よく生き残れたな」

「お前以外生存者が見当たらない」


「お前は運がいい男だ…こんな古くさい戦争でよく生き残れた」


ノーズ

「もう………戦わなくていいの?」


「ああ………こんな下らない無意味な争いはもう辞めだ………」

「今時戦争なんて流行らないのにな」


ノーズ

「戦争のせいで皆死んだ………友達も家族も皆」


「かわいそうに………こんな意味の無い戦いに巻き込まれて」


ノーズ

「僕たちは………無駄に戦ってきたの?」


ダマ

「無駄ではないがベストではない………もっと言うなれば非効率でギャンブル性の高い賭け事のようなものだ」

「戦争なんてもの外交問題の一つの解決策にしかすぎん」

「高い代償を支払って僅かな利益を得る浅はかな方法さ」

「戦争なんてするよりもっと効率のいい解決策があるのにな」


ノーズ

「………おじさん…何者?」


「まだ俺は若いぞ…おっさんじゃない」

「俺の名前はダマ………ビジネスマンだ…ここには観光に来た外来人さ」

「ノーズ…これも何かの縁だ………俺と一緒に来い」

「こんなきな臭い世界から出るんだ」


「お前に面白い世界を見せてやる」


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