トランヴェル第4の魔女
ミランダ
(も……もうダメかも)
ミランダは長い戦いにより体力、魔力共に限界が来ていた…。
対してノーズはララやカリアから魔力を取り込んで自動的に体力と魔力を回復させていた。当然、両者に力の差が開いていき、ミランダは不利な状況へ追い込まれる…。
ノーズから無限に繰り出される雷の魔法と無数の腕によって苦戦を強いられる。
バチッ…!
ミランダの魔法障壁は貼る度に薄くなっていき、ノーズの攻撃に耐えられず簡単に破れさってしまう。
ミランダ
「う………」
ミランダは膝をつき、息をきらす…。
ノーズ
「チャンスだ!!」
ノーズの無数の手がミランダをつかみ上げ、己の体へ取り込もうと引き込む…!
ミランダ
(あ………)
ミランダは抵抗する力も無く、そのままノーズの体へ引き込まれようとしていた。
ズバッ!!
ミランダを掴んでいたノーズの腕が切り下ろされた!
ノーズは見た……短髪の女性が自分の腕を切る瞬間を…!
しかし、腕が切り下ろされた時には先程の女性の姿が見えない…。
ズバッ!
ノーズ
「!?」
ノーズは自分の足が切られていたことに気づく…!
体勢を崩し、体全体が斜めによろける!
ズバズバ!!
さらに体に二つ切り傷がつけられる…!
またしても相手の姿は見えない!!
ノーズ
「なん……だ!?」
ズバズバズバズバズバッ!!
無数の剣劇がノーズを襲う!
体がどんどん斬られ、バラバラになっていく…!
ノーズ
「ぐおあああああ」
ズバアアアアア!!
ノーズの口が斬られ、地面に叩きつけられる!
ガスッ…!
ノーズの片目に剣が突き刺さり、ノーズは悲鳴をあげる…。
そしてもう片方の目には剣を握った女性が映っていた。
イト
「こうも体が軽いとは……魔女の力は魔力だけでなく身体も人間とは比べ物にならんのだな…」
「化け物も簡単に倒すことができる」
イトはもう一本の剣をノーズのもう片目に突き刺す!
ノーズ
「ぐあああああああ」
イト
「さて……そろそろ止めを刺させてもらおう」
トランヴェル
(……強い!ララたちが一方的にやられていたのに、こいつはこんな一瞬であの化け物をねじ伏せた…!)
ダマ
「ノーズ!!」
ダマは右手の指輪から多くの魔物たちを召喚し、ノーズを助けるためにイトへ立ち向かわせる!
しかし、イトへ近づいた魔物たちは一瞬にしてバラバラに切り刻まれてしまった。
ダマ
「ぐ……何なんだあの女は…どこから出てきた!?」
ミランダ
「誰…?」
ミランダのもとにトランヴェルが飛んでやってきた。
トランヴェル
(さっき死にかけていた騎士団の奴を魔女にしてみた)
ミランダ
「は?」
「あいつさっきの兵士なの!?」
トランヴェル
(そうだよ)
ミランダ
(あんなスタイルいい奴が………さっきの兵士!?)
(私より細いじゃんか!?)
トランヴェル
(何をのんきなことを言っているんだ………)
イトが魔物たちと戦っている間にノーズは立ち上がり、
体の修復に集中する…。
ダマはもっと多くの魔物をが召喚するが、イトに容易く葬られていった…!
イト
「さあ我が兵士たちの敵を討たせてもらおう!!」
イトは剣を構えて高速でノーズに斬りかかる…!
ノーズは目をつぶり強力な魔法障壁を貼り、イトの剣劇を防ごうとするが、イトの刃は魔法障壁を超えてノーズの足へと突き刺さる!
しかし、ノーズはイトを無数の手で掴み、彼の身動きを止める…!
イトは体を大きく揺さぶるもののノーズの手から抜け出すことができない。
ノーズ
「捕まえたぞ………このままいただく!」
イト
「そんなもので捕まえたつもりか?」
イトはノーズの体のまわりに小さい魔方陣を20個ほど出現させる…!そしてその魔方陣から短剣が飛び出し、ノーズの体に突き刺さる!
ノーズ
「ぐおわ!?」
ノーズの手の握力が弱まった隙をついてイトは体を振り、束縛から逃れる!そして両手に握っていた剣をノーズの背中に差し込んだ!
ノーズ
「!?」
イト
「これまでだな…観念しろ!」
ノーズ
「………もはや魔力吸収はこれまでか…」
ノーズは腹からララを吐き出す…!
ミランダ
「ララ!!」
ノーズの背中に差し込んだ剣が抜けていく…!
イト
「!?」
ノーズは先程より強力な魔法障壁を展開し、イトを吹き飛ばす!
ダマ
「いいぞノーズ………もはや十分に魔力は絞りとったはずだ…魔力吸収は一人で十分だ…思う存分に暴れろ!!」
イト
「いきなり奴のスピードが上がった…!いったい何が…」
イトはノーズの猛攻に圧倒されていき、先程までの威勢が無くなっていく…。




