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苦戦

トランヴェルたちは転送チルドレンによってもといた地下室へ転送される。そこは騎士団たちと魔物たちの死体が転がっており、地獄絵図のような世界が広がっていた。


サラ

「おとサン!!」


サラと呼ばれる化け物はキマリへ近づき、声をかける…。

キマリはノーズの魔法により瀕死状態に陥っていた…。


トランヴェル

(重症だな……どうするミランダ)


ミランダは左手でキマリの体に触れ、魔法をかける…。

キマリの傷がみるみる治っていく…。


キマリ

「……はっ」


キマリは起き上がり、自分の体が修復されたことに気づく。

そして近くに寄っていたサラを抱き締めた……。


ミランダ

「ここって敵の本拠地でしょ?ここにいたら危ないからもっと遠くへ転送できないの?」


キマリ

「……恐らくもう遠くへはいけそうにない」


ミランダ

「どうして?」


キマリ

「残念ながら先程の転送装置は破壊されたようだ……本来もっと遠くへ転送されるはずだったが、途中で壊れたため転送前の場所にしか行けなかったようだ」


ミランダ

「それじゃあ……ここから出るしかないわね」


キマリ

「こうはしておれん……早くここから立ち去らなければ……奴等はすぐここに来る」


キマリは立ち上がり、ミランダたちを連れて地下室の出口へと向かう…。


キマリ

「サラ……もう大丈夫だぞ……ここから出れれば自由な世界が待っている……もう少し踏ん張りだ」


サラ

「おと……さん……ガンバ…る」


キマリとサラとの会話からミランダはある疑問を思い浮かべる…。


ミランダ

「ねぇ……その化け物は貴方の娘なの?」


キマリ

「化け物だと!?ふざけたことを言うな!」


キマリは激怒しつつも前を向いて早歩きで進んでいく。


ミランダ

「化け物って言ったのは謝るよ…でも本当の娘じゃないんでしょ?」


ミランダ

「バカ言え…この子は私の娘だ…訳があって人の姿をしていないだけだ…」


ミランダ

「本当に娘……なんだ…」


ミランダはキマリたちが親子であることに驚きを隠せない。


キマリ

「もともとサラは普通の子供だった…しかしな…ある日魔物に襲われてな……もう絶命寸前だったんだ」

「回復魔法も効かず…どの医者にみせてもな助からないと言われ……もう諦めるしかなかったんだ……」

「しかしな…そんな時声をかけてくれたのがダマ……奴は自分なら娘を助けられると吹き込んできたんだ」


ミランダ

「あの化け物の側にいた黒服の男?」


キマリ

「そうだ……奴はキメラの実験として娘を使いたいと言ってきたのだ……」


ミランダ

「まさか……」


キマリ

「はじめは反対しようとした……反対しようとしたのだが……」

「娘は生きたいと言ったのだ……」


ミランダ

「……」


キマリ

「私も奴の言葉にはどこか裏があることはわかっていた……わかっていたがもう娘を助けるためにはその方法しかなかったのだ……」

「もう苦しんでいる娘を見るのはつらかったんだ……」


サラ

「おと……さん」


キマリ

「結果娘は助かった……容姿は変わったものの娘を助けることができたのだ……」


トランヴェル

(……むごい話だな……)


キマリ

「だが、キメラの体質は何か肉を食わなければ生き続けることができない………一番体が保つのは人間の肉なのだ」


ミランダ

「……だから私たちをその子に食わせようとしたのね」


キマリ

「……」


ミランダ

「さっきの転送装置を使って私たちをその子のもとへ送り込んでいたのね……その子の体を維持させるために!」


キマリ

「……そうだ」


バチッ!


ミランダはキマリに魔法をぶち当てる……!


トランヴェル

(落ち着けミランダ!!)


ミランダ

「ふざけるなよ!!お前たちのせいで私は地獄をみてきたんだぞ!!何度も死にかけたんだぞ!!」


トランヴェル

(待て!殺すなミランダ!!出口へ出れなくなるぞ……!)


ミランダ

「……ツ」


ミランダは怒りを堪えて、倒れたキマリを魔力で持ち上げ立たせる。


キマリ

「ぐ……」


ミランダ

「早く出口へ案内しろ……」


キマリは黙ったまま出口へと進む……。


トランヴェル

(ミランダはサラに何度も食われそうになったのだ…お腹も噛まれ死に至るところだった。怒るのも仕方ない)

(ただここでこいつを死なせるのはダメだ……出口へ案内させるべきだ)


重苦しい中死体の山を通り抜けて、トランヴェルたちは出口付近へとたどり着く。


キマリ

「ここを出れば地上へと続く階段がある……」


キマリは部屋のドアを開けようと、手をドアノブに触れようとしたところ、いきなりナイフが彼の腕に向かって飛んできた!


ドス!


ナイフはキマリの腕に刺さり、彼は転んでしまう。


キマリ

「あが……!?」


ミランダ

「どこから!?」


ミランダは辺りを見渡す……が何も見えない。


トランヴェル

(ミランダ!?後ろだ!!)


ミランダが振り向くとそこには剣を握った男がいた!

そしてその男は彼女に斬りかかって来たのだ!

ミランダはとっさに右手をかざし、魔法で剣を弾く…!


トランヴェル

(こいつは……)


ミランダたちを襲ったのは鬼の形相をしたイトだった。


キマリ

「騎士団のやつらか!?まだ生きているとは!?」


イトの片腕は引きちぎられており、もう片方の手で剣を握っていた。そして足は負傷しており、顔も血だらけであった。


イト

「許さん……貴様らだけは必ず…!」


イトはキマリへ斬りかかる…が……、


ドオオオオ!!


巨大な雷の塊がキマリとイトへ向かってくる…!


ミランダはもう一度右手から魔法障壁を発生させ、

雷を防ごうとする!

しかし、魔法障壁は破れ、ミランダたちはぶっ飛ばされる!


ノーズ

「危うくまた逃すところだった……危ない危ない」


暗闇の中からノーズとダマが姿を現す…!


トランヴェル

(奴等もう追っかけてきたのか!?)


雷を喰らったミランダたちは皆地面に這いつくばっていた…。


ダマ

「よくもまあここまで逃げ切れたものだ…」

「だが…ここでチェックメイトだ」


ノーズは無数の腕を伸ばし、ミランダたちを襲う!

イトは剣で腕を凪ぎ払い回避するが、サラはノーズの手に捕まれてしまう!

キマリはサラを助けようと機関銃を撃ちまくるが、ほとんどダメージが通らなかった…!

そしてノーズの複数の手がキマリの首を握りしめ、彼の首をへし折ってしまう…。


サラ

「オトウサン!!」


サラもまた捕まれた手に高く持ち上げられ、そして地面へと叩きつけられてしまう…!


またミランダも無数の手に追われ、彼女は何とかもう一度魔法障壁を展開するが、むなしくもノーズの腕が貫通してしまう!

そして彼女は無数の手に捕まり、ノーズの方へ引きずり込まれてしまう!!


トランヴェル

(くそお!!ミランダまで捕らわれたらおしまいだ!!)

(できれば他の人間を魔女にしたかったが……やむを得ない!)


トランヴェルはもうサラという魔物を魔女にするしか方法は無いと判断し、彼は倒れた彼女のもとへと精神を走らせた…。

しかし、肝心のサラは先程地面に叩きつけられてからピクリとも動かない…!


トランヴェル

(まさか……死んでしまったのか!?)


トランヴェルはサラに声をかける…が返答は一切帰ってこない…。

トランヴェルがサラを魔女にしようと試みている中、ミランダはノーズの体に取り入れられる寸前まで引きずり込まれていた!


トランヴェル

(このままでは…!)


トランヴェルはミランダが引きずり込まれていくのを振り返って見たとき、視界に騎士団員のイトが入った…。


トランヴェル

(かくなる上は……)


トランヴェルはイトへ話しかける……もはやサヤが反応できない以上、イトを魔女にするしかないと考えた…!

それはもうやけくそに近かった。


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