歪んだ関係3
ノーズの腕が魔物たちに忍び寄る……。
羊の顔をした魔物
「本気なのか!?ふざけんな!!」
馬の顔をした魔物
「ボロボロのお前が俺たちにかなうと思うなよ!?」
「俺たちは国のエリートの肉を食ったんだ!!負けるはずが…」
馬のような顔をした魔物は威勢をはるものの、ノーズの手によって腹を貫通される…!
馬の顔をした魔物
「バカな……」
ノーズの無数の手が魔物を包み込み、その魔物はそのままノーズの口の中へ放り込まれた。
羊の顔をした魔物
「嘘だろ……パワーアップした我々よりぼろぼろのノーズのほうが上だというのか!?」
ダマ
「黙って早くノーズの餌となれ」
羊の顔をした魔物
「ダマ様!ノーズの次に戦力となる我々を食わせるというのですか!?それでは我々の戦力が減る一方です!」
魔物は必死にダマを説得するが、ダマは意思を変えるつもりは微塵足りもない。
魔物はノーズの腕に囲まれ、次々と体に穴を空けられる。
羊の顔をした魔物
「やめてくれ……お願いだ……」
ノーズは容赦なく魔物を口へ運び、食した。
ダマ
「どうだ…少しは回復できたか?」
ノーズ
「ええ…何とかいけそうです…」
ノーズは力を振り絞って黒い魔法陣を出現させる。
キマリ
「ダマ様!!」
ダマとノーズのもとへサラを抱えたキマリが駆けつけてくる。
キマリ
「ダマ様…!私の娘も…魔法粒子をお与えください…」
ダマ
「何を言っているのだキマリ…貴様の娘に分け与える分など無い」
「ノーズに全て与えるに決まっているだろう」
キマリ
「そこを何とか…どうか…どうか娘を助けてください!!」
ダマ
「貴様の娘なんぞどうでもいい」
キマリ
「そこをどうか…!」
キマリはダマの足元にしがみつく…。
ダマ
「うっとおしいぞ」
ダマは懐から拳銃を取り出し、キマリに2、3発銃弾を撃ち込む。
キマリ
「が…あ…」
キマリは腕に銃を撃たれ、もがき苦しむ…。
倒れたキマリを見たサラは彼のもとへ地面に這いつくばりながら向かっていく。
サラ
「おと…サン」
サラは涙を流し、キマリを呼び続ける…。
それからダマとノーズは黒い魔法陣の上に立つ。
カリア
「待て!!」
カリアは狼顔の魔物を倒し、キマリとノーズのもとへ走っていく!
ダマ
「早く転送しろ!ノーズ!!」
カリアは掌に小さい魔法障壁をつくり、それをダマたちへ投げ込んだ!
しかし、ダマとノーズは瞬時に黒い魔法陣に入り込み消えてしまった。カリアの放った魔法障壁はかすりともせず、彼らを逃してしまう。
トランヴェル
(くそ……逃がしたか…)
(一体どこへ行ったんだ?)
カリアは周りを見渡し、ダマの仲間がいないか探す。
カリア
「おい!そこの神父!!あの化け物はどこへ行ったんだ!教えろ!」
彼女は倒れているキマリを見つけ、彼からダマたちの居場所をつきとめようとする。
サラ
「おと……サン」
キマリは呼吸をしているものの、目をつぶってダマに打たれた腕をおさえており、かなり重症に見えた。
カリア
「居場所を教えれば助けてやる」
キマリ
「……」
キマリは半分目を開け、カリアを睨み付ける……。
キマリ
「サラを助けてくれたら話してやろう……」
カリア
「サラ?」
トランヴェル
(もしかしてこの化け物のことか?たしかこいつミランダと一緒にいる時、襲ってきた奴だよな)
カリア
「こいつのことか……」
サラと呼ばれる化け物は体が溶け始めており、体の崩壊が始まっていた。
キマリ
「娘と……俺を回復させてくれたら……教えてやる」
カリア
「先に居場所を言いなさい」
キマリ
「いや……俺たちの体の回復が先だ」
カリア
「立場がわかってないようね……教えるつもりがないなら」
カリアはサラに手を向ける……そして彼女の掌には魔力がこもっていた。
キマリ
「娘を……殺したら……絶対に教えんぞ」
カリアは掌から小さい魔法障壁をサラへ飛ばす…!
サラは体に傷を負い悲鳴をあげる。
トランヴェル
(まさか……カリアがこんな野蛮な行動に出るとは……以前の彼女ならこんなことはしない)
キマリ
「やめろ!やめてくれ……」
カリア
「次は本気で消し去るよ…?早く」
キマリ
「ぐ……」
「ダマたちはきっと牢獄へ向かったに違いない…」
「あそこには魔力が高かった人間を拘束しているからな……奴らを食べるつもりだろう」
トランヴェル
(まさか……ミランダたちのことか!?)
カリア
「牢獄はどこにあるの?」
キマリ
「口では説明できん…私たちを回復させれば案内することはできるぞ…」
カリアはキマリを片足で踏みつける。
カリア
「私がお前を運ぶ…道案内しろ」
「あと私の質問以外に必要無いことを喋るな」
キマリ
「徒歩では行くことができん…」
「ノーズが出したような転送魔法が必要となる……」
カリア
「ならその転送魔法を出せ」
カリアはキマリをグリグリ踏みつける。
キマリ
「それこそ私の体を回復させてくれ……今のこの体では転送魔法を唱えることがてきない……」
「!?」
キマリはいきなり体の痛みが消えたことに気づく…!
どうやらカリアが回復魔法を唱えたようだ。
カリア
「下手に動いたら命はない」
キマリはカリアの言うとおり、転送魔法の呪文を唱える。
キマリ
「転送チルドレン…作動」
キマリの魔法から小さい子供が出現した。
その子供はウサギのぬいぐるみを両手で抱いており、
ワンピースを着ていた。
キマリ
「転送先を牢獄へ設定……よし」
子供のぬいぐるみの口が大きく開いた。その大きさは大の大人が通れるほどのものであり、先には牢獄と思われる場所が微かに見える。
キマリ
「ここを通れば牢獄へ行ける……さあ娘を助けてくれ!」
カリア
「まだよ」
「あいつらが見つかるまで、あんたも一緒についてきてもらうわ」
キマリ
「くっ……」
カリア
「それまでその魔物の回復はお預け」
カリアはサラに手を伸ばし、魔力を注ぐ……。
サラの体がどろどろに溶けていたのが、通常の体の状態に戻り、傷も多少回復した。しかし、全身傷だらけのため回復まで至ったとは言えない……。
カリア
「もし娘を助けたければ、あいつらを見つけることね」
キマリ
「……」
トランヴェル
(なんだかんだ言って少しは回復させるのか…)
キマリはサラを抱え、カリアたちと共にぬいぐるみの口の中へ入る。




