歪んだ関係2
ルイ
「う……」
ルイは意識が戻り、辺りを見渡す…。
どうやらカリアの魔法障壁で部屋の窓が割られ、さらに身を乗り出して下の部屋に落ちてしまったようだ。幸いなことに命の別状はなかったが、片足と両手が折れていた。
ルイ
「ダマ……ダマはどこ…?」
ルイはその場で周りを見渡すが、ダマは見当たらない…。
そこにキマリが駆けつけてくる。
ルイ
「キマリ……助けて」
キマリ
「……」
キマリはルイの状態を見て、もう助けることができないと判断した。そしてキマリはルイを担ぎ出し、サラのもとへと運んでいく。
ルイ
「キマリ……ありがとう」
キマリ
「……」
キマリはサラの前にルイを投げ出す。
ルイ
「がッ……ああああ」
ルイは地面に叩きつけられ痛々しい悲鳴をあげる……。
キマリ
「サラ!ほら餌だ!!これを食べれば体がもとに戻るぞ!」
ルイ
「キ……マリお前…!」
サラと呼ばれる化け物はヨタヨタと体を起こす…!
ルイ
(嫌…だ……来るな……)
ドス……ドス……
ルイがサラに捕食されそうな時、大きな足音が聞こえてくる…。
その足音は徐々に大きくなり、ルイたちに近づいているようだ。
その足音はノーズのものだった…。ノーズはカリアの攻撃により重傷を負い、
ダマの肩を借りながらして何とか歩いていた。
ダマ
「ノーズ……貴様には死なれては困る…ここから脱出するぞ…」
ノーズ
「ダマ様…申し訳ございません…あの娘を…侮っていました…」
ダマとノーズは部屋の外へ足を運んでいる中、彼らはルイが倒れていることに気付く。
ルイ
「ダ……ダマ!助けて!!」
ダマは一瞬ルイを見るものの、すぐ目をそらした。
ルイ
「ダマ!!」
ルイは力を振り絞ってダマへ助けを大声で求める…。
ダマ
「お前はそこまでだな」
ルイ
「!?」
「ダマ…!見捨てる気!?」
ダマ
「残念ながら貴様はもう助からん」
ダマはルイに冷たく言い放った…。
ルイ
「ダマ…あなたはまだ私が必要なんでしょ!?ここで見捨てていいの!?」
ダマ
「…うぬぼれるなよ?お前の代わりなんぞ沢山いる」
ルイ
「ッ!?」
ダマはルイから背を向け、ノーズと共に部屋の出口へと向かう…。
ルイ
「ふざけるなあ!!ふざけるなよ!!!」
ルイは金切り声でダマたちに訴える…自分を助けろと…。
しかしダマは二度とルイを振り向くことはなかった。
サラ
「肉…」
ルイ
「嫌…くるな…」
サラは大きく口を開け、牙を向ける!
ルイ
「キマリ…!絶対に呪ってやる…!お前ら絶対に殺してやる!!」
ルイはサラに思いっきりお腹を噛まれる…!
ルイ
「あが…あう…痛い…痛い!!痛い!!殺してやる!殺してやるお前ら!!」
そしてサラがルイのお腹の肉を喰いちぎろうとした矢先、再びカリアの魔法障壁が襲いかかってきた!
ブオッ!!
サラもルイも吹き飛ばされ、サラは思いっきり壁に叩きつけられ、ルイは地面を這うように転がっていった。
キマリ
「サラ!!!」
キマリがサラのもとへ駆けつける…。
そしてカリアは魔法障壁を張ったまま、ダマたちを追いかける…!
トランヴェル
(今なら倒せる…倒せるぞカリア!あいつらを倒してララとミランダを取り戻せる!)
ダマ
「来たか…ならば…」
ダマは右手にはめていた指輪を上にかざし、指輪から無数の魔物たちを召還した…!
ダマ
「お前たち…時間を稼げ!」
魔物たちがカリアへ向かっていく…が、魔法障壁に触れるだけで次々と消滅していった。
カリア
「無駄よ…観念しな!!」
突然、カリアの上空から槍が降ってくる!
槍はカリアの魔法障壁によって消し炭になり、続いて上から大きい魔物がカリアにめがけて突進してきた!
大きな魔物の体は魔法障壁にぶつかり、大きな火花を散らす!
狼の顔をした魔物
「くそ…びくともしねえ」
その魔物は魔法障壁にはじかれ、地面に転げ落ちる。
ダマ
「今の内だ…奴なら少しは時間稼ぎになるだろう」
カリアと狼の顔をした魔物が衝突している間に、ダマとノーズは部屋から脱出する。
するとそこには馬の顔をした魔物と羊の顔をした魔物がいた。
馬の顔をした魔物
「ダマ様!大丈夫ですか!?」
羊の顔をした魔物
「ノーズがこんなに痛手を負うとは…一体何が!?」
馬の顔をした魔物
「上の騎士団の奴らは全部食い尽くしましたよ!」
羊の顔をした魔物
「あれだけ強い肉を喰らったのなら、今ならノーズより我々の方が強いはず!」
「我々が残りの騎士団を食い尽くしてみせます!」
ダマ
「お前らでは勝てん」
馬の顔をした魔物
「な…敵はそんなに強いんですか!?人間なのですよね?」
ダマ
「いや待てよ…」
ダマはその場で何秒か黙り込み、思考を巡らせていた。
ダマ
「お前ら丁度いい…ここでノーズの餌となれ」
羊の顔をした魔物
「な…!?」
馬の顔をした魔物
「今…何と…?」
ダマ
「ノーズ…こいつらを喰えば転送魔法を使えるか?」
ノーズ
「……できます」
ダマ
「あの女を倒すためには捕まえた奴らの上級の魔法粒子が必要だ…さっさとこいつら喰え」
羊の顔をした魔物
「ダマ様…いきなり何を…?」
ダマ
「ノーズ!早くしろ」
ノーズ
「すまんな二人とも…」
ノーズから無数の腕が魔物2匹へ伸びていく!
ノーズ
「ダマ様のためにその命を俺に差し出せ」




