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魔物の宴

イト

「ぐ……ここはどこだ…?」


イトが目を覚ますと、そこには多くの騎士団員たちが倒れていた。辺りは薄暗く、どうやら見知らぬ場所へ転送されたようだ。


イト

「おい!!大丈夫か!?」


イトは側で倒れている騎士団員たちのもとへ駆け寄り、声をかける。


騎士団員

「うう……ここは…?」


イト

「よかった……生きていたか」


周りに倒れていた兵士たちも何人か目を覚まし、立ち上がる…。


騎士団員

「ここはどこなのでしょうか?」


イト

「わからん……わからんが我々は罠にはめられたようだ…」

「目を覚ましたものはまだ倒れている兵士たちを叩き起こせ!総員点呼をして報告!!」


イトは騎士団員たちに指示を出し、兵士の安否を確認する。

無事全員生存を確認でき、一同腰に隠していた武器を取りだし、戦闘体制に入る。


イト

「ここから前進をする……周りを警戒、気を抜くな」


騎士団たちは薄暗い中、前が見えないものの少しずつ前進していく。兵士たちは周りを警戒し、また魔法粒子測定器で敵がいるかどうか確認を行う……。

後方にいた騎士団員が喋りだす。


騎士団

「測定器に反応なし……敵は近くにいないようだ…後ろはどうだ?」


その兵士は後ろにいた兵士たちに敵の反応がないか確認を行うが、一向に返事が返ってこない。


騎士団

「おい!聞いているのか!?」


その騎士団員が振り向けば、後ろにいたはずの騎士団員の姿が消えていた…!


騎士団員

「……イト隊長!」


イト

「どうした!?」


騎士団員

「後方にいたものが姿を消しました…!」


イト

「!」

「全員前進を止め!!」

「何かいるぞ!!周りを警戒しろ!!」


騎士団たちは足を止め、お互いの背中を合わせる……。


イト

(悲鳴も何も聞こえなかった……恐らく闇に乗じて敵が一瞬で攻撃してきたのか?)

(しかし、魔法粒子探知機に反応はない……)


シュッ……


イトはわずかに聞こえる音を聞き逃さなかった!


イト

「前方か!!」


イトは音が聞こえる方へ剣を振り込む!!


ザシュッ!!


???

「ぐう!」


イト

(手応えあり!)


イトが切りつけた相手はイトたちの目の前に倒れた!


???

「ほう……俺に気づくとは……」


その相手は頭が狼のような顔をした化け物だった。


イト

「こいつ……まさか魔物か!?」


狼のような化け物

「魔物か……そういえば貴様らは俺たちのことをそう呼ぶんだよな?」

「俺にも名前があってだな…リケルという!貴様らを喰らいに来た」


イト

「何故魔物がこんな教会にいる……!?総員魔法障壁を貼りつつ、魔法を放て!!」


騎士団員たちは次々と魔法障壁を貼り、そして炎の魔法をリケルへ放つ!!


リケル

「遅えな」


騎士団員たちはリケルの姿を見失う……!


騎士団員

「ガッ……」


騎士団員

「ッ……」


騎士団員たちが次々と一瞬で消えていく…。


イト

「ク…どこだ!?そこか!?」


イトはわずかに音がする方へ切りかかる!


リケル

「こいつッ……」


リケルはイトに足を切られ、その場で転ぶ…。


リケル

「やるじゃねえかこいつ…旨そうな肉だ」


イト

「あいつらをどこへやった!」


リケル

「あいつら…?ああ…ここだよ」


リケルの口からぼとぼと防具や武器が吐かれていく。


イト

「喰ったのか…あの一瞬で」


リケル

「こいつらそこそこいい魔法粒子を持ってるじゃねえか…こいつは極上だ…」


イト

「総員!魔法障壁に力を入れろ!!喰われるぞ!!」


ドゴオオオオオ!!ドコオオオオオ!!


イトたちの後ろから大きな足音が聞こえてくる!


騎士団員

「な……なんだ!?」


後ろから巨体な化け物が現れた……!

鶏のような顔つきをしている……。


その化け物は大きな羽のような手で騎士団員たちを真上から押し潰す…!

潰された騎士団員たちは化け物に捕食されていく…!


イト

「もう一体いたか…!」


騎士団員

「た……隊長!」


イト

「どうした!?」


イトは後ろを振り向けば、そこには大勢の魔物がこちらへ向かってきていた。


イト

「な……」


騎士団員たちはむなしくも魔物たちに捕食されていく…。


ルイ

「なにこれ……」

「こんな怪物…隠し持っていたの…!?」


ダマ

「君に見せるのは初めてだったな…そろそろ君にも偽りの神代行ではなく、計画の一員として働いて頂きたい」


ルイとダマは騎士団たちのいる部屋の上部にある観戦室にいた。

彼らはここで騎士団たちの断末魔を見届けていた。


ルイ

「国の奴らに手を出してどうするつもり!?」


ダマ

「なあに…この程度の国ならどうにでもなる」

「それよりも騎士団たちの鍛えぬいた肉体をこいつらに差し出すほうが重要だ」


ルイ

「あの化け物は…何…!?私に何をやらせようというの!?」


ダマ

「あいつらはキメラだ…色んな動物を人間と結合させている」

「人間の上位互換…奴らこそ最強の兵士」

「あいつらを生産すれば一国を滅ぼせる戦力を持つことができる」

「この軍事力があればどこの国でも高く売れるだろう?」


ルイ

「……!」

(こいつ…単なる宗教家だと思えば、こんな大望を…)


ダマ

「ただこいつらには弱点がある…」

「こいつらは肉を喰らわないと自分の肉体を保つことができないのだ」

「ただ幸いなことに喰らった肉から魔法粒子や技能を盗むことができる」

「だからこそ奴らエリートたちの肉は極上で希少価値のあるモノなのだ」


ルイ

「……これからどうするつもり?」


ダマ

「そうだな……こいつらを喰らったあと、情報操作でもして奴らは魔女と戦って死んだことにしよう」


ルイ

「そんなこと……可能なの!?」


ダマ

「容易い」

「そろそろノーズはあいつらを捉えたかな…?」


ルイ

「あいつら……?」


ダマ

「さっきの死体の本物」


ルイ

「……あの死体…偽物なの!?」


ダマ

「あの死体は本物の細胞から摘出して生成することができる」

「キメラを研究している我らにとっては簡単につくれる」

「まあ…ただ魂だけは作れないがな」


ルイ

「……」


ルイは心底不安になっていた…自分が所属する団体は単なる宗教ではなく、その皮を被った闇組織のような存在だったのだ……。

これからどうなってしまうのか不安でたまらない…。


ダマ

「これから面白くなっていきそうだ…」


ダマは輝いた目で騎士団たちが貪られていくのを見つめていた。


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