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魔女ファン

マベルは魔女会に参加するためにペルー村からアポロ市へ向かう。トランヴェルはマベルに抱かれながら今後のことを考えていた。


(このままマベルについていけばこの世界をもっと知ることができるかもしれない…)

(もしかしたら自分が何者なのか、どうしてここにいるのかわかるかもしれない…)


しかし、トランヴェルは淡い期待を持ちつつも、ペルー村の件のように悲惨な目に会うことに憂鬱を感じていた。

マベルと同行している以上、また人が苦しんでいる姿を見ることになるだろう。そんなことは覚悟の上で、この先進まなくてはならない…。

トランヴェルが色々と思い悩んでる中、いきなりマベルは立ち止まる。


トランヴェル

(ん?…どうしたんだ…?)


マベル

「……匂う」


トランヴェル

(……匂う?)


マベル

「美味しそうな……いや…楽しめそうな匂い…」


マベルはじゅるりとヨダレをぬぐう……。


トランヴェル

(……楽しめそうな匂い…だと?)


マベルはいきなり方向転換し、行き先を変える!


トランヴェル

(どこへ行くんだ!?)


猛スピードでマベルが向かう先は…とある教会だった!

そこには多くの人間が黒いロープを纏って整列していた。


「魔女は世界を救う神なる存在!」

「魔女だけが我々人類を正しく罰を与える」

「魔女が我々を正しい方向へ導いてくれる」


トランヴェル

(……なんだこれ)


トランヴェルは困惑する……。

普通人間は魔女を嫌っているものだ。

しかし、ここの人間たちは魔女を神であると声をあげていたのだ。違和感しか感じられない……何故神として崇めているのか不思議でならない。


マベル

「面白そう……この集団…」


マベルは教会から外れた森の中へ向かい、地上に降りた。


マベル

「面白そうだから潜伏しようかな」


マベルはウキウキと魔法で黒いロープを出現させる。

それを着て早速教会へと足を運ぶ。

教会の前に辿り着くと、門の前に人が二人立っていた。


マベルは門の前に近づくと、門番の人間に話しかけられる。


門番

「魔女信仰のものであるか?そうであれば番号を応えよ」


マベル

「番号?えーと…3番!」

マベルは適当に番号を申し付ける。


トランヴェル

(適当に答えを言うな…)


門番

「魔女信仰の者ではないな」


マベル

「ごめんなさい!私めっちゃ魔女のファンなんです!」


門番

「ファン…?」


トランヴェル

(そこは信仰してるとか何とか言えよ!?)


門番

「ふざけたことを…ここから先通すわけにはいかん」


マベル

「そんなぁ…せっかく魔女様に会いに来たのにぃ!」


門番

「去れ」


マベル

「ケチ!」


マベルは二人の門番に催眠をかける…。


門番

「貴様…な…にを」


マベル

「素直に通してくれればいいのに」


トランヴェル

(…やっぱこうなるのか……)


マベルは教会の扉を少し開け、除いてみる。

そこには大勢の信者たちが席に座り、一人の少女が舞台に上がって何か喋っていた。

皆その少女の言葉を静かに聞いている。


ルイ

「貴様ら人間は平和に慣れてしまった…それは結構なことだが平和に浸りすぎていざというとき己の身を守れないでいる」


「誰かが助けてくれるだろう…誰かが守ってくれるだろう…」


「人間はそう考えるのが当たり前だと思い始めている」


マベル

「なかなかいいこと言うじゃない」


マベルは扉を開けて中へと進む。

信者たちは50名ぐらいだろうか、教会の中は思った以上に広く、

皆席について話を聞いていた。


ルイ

「いずれ人類は我々魔女によって滅ぼされるだろう」


マベル

「それは無いかなー」

マベルがボソッと声を漏らすと、近くにいた信者たちがマベルの発言に対して突っ込みをいれる。


信者

「貴様…魔女の言葉に対して無礼な…」


マベル

「え?」


信者

「貴様…本当に魔女教会の者か?初めてみるぞ…」


トランヴェル

(やばい…気づかれてる…)


マベル

「魔女なんたらに決まってるでしょう!!私は魔女様の大ファンなのよ!!」


トランヴェル

(だからファンって言うのはやめろー!)


キマリ

「そこ何をしている!我ら魔女の御前になられるぞ」


信者

「す…すいません…しかしこやつが…こやつが魔女の言葉に口出ししたのです!」


信者はマベルに指をさす…。


キマリ

「無礼な…貴様それでも信者か!?」


マベル

「信者です信者です!どうみても信者でしょ!!」


キマリ

「誰だこんな奴を我を教会に入れたのは!?つまみ出せ!!」


マベルは周りにいる信者たちに腕を捕まれる…!


マベル

「え……ちょっと」


捕まれたまま外へとつれていかれる……。


マベル

「ちょっと何すんのよ!?」


トランヴェル

(魔女を信仰するものが魔女を追い出すのか…)


キマリ

(ルイ……続けろ)


ルイ

「あ……えっと…」


(どこまで話したっけ?)


ルイは途中で遮られたため、覚えていた文章が頭から抜けた。


ルイ

「あ……えっと…んーと」


周りが静寂になる…。


ルイ

(どうしよう…あれ…)


キマリ

(ルイ…!どうした?早く続けろ)


ルイ

(……やばい…何て言おう)


マベル

「魔女は……魔女は私を追放しないと言っている!」


ルイ

「!」


マベル

「魔女はこんなささいなことでファンを追放しないと言っている!」


ルイ

「その者を……牢屋にぶちこみなさい!!」


マベル

「なんでよー!?」


ガゴンッ


こうして魔女マベルは魔女信者に教会の地下へとつれていかれる。


ルイ

「興醒めだ……今日の集いは終わりだ」


信者たち

「え……!魔女!!お許しを!!」

「我々に導きの言葉をください!」


ルイ

「う……」


ルイはその場で(わざと)倒れた。


信者

「ルイ様ー!」

「ルイ様が倒れたぞ!!」

「早く医務室へ運べ!」


キマリ

「やれやれ……」

(行き詰まったらいつもこれだ)


ルイは信者たらに担がれ舞台から降りる。


ルイ

(ひとまずなんとかなった……)

(頭真っ白になっちゃった)


一方マベルは信者たちに地下へとつれていかれる。

もちろんわざと彼女は信者たちに捕まったのだ。


信者

「とりあえずこの檻の中へ閉じ込める」


信者

「承知」


マベルは小さい独房に閉じ込められた。


マベル

「これが独房!せっまーい!!」


マベルは興味津々だ……。


トランヴェル

(これからどうするんだろう……)


マベル

「くっさ!なにこれ……」


便器から異様な匂いが立ち込める……。


マベル

「こんなところにいたら腐ってしまう」


ドオ!


牢屋がぶち破られる……。


信者

「な…なんだと!?」


マベル

「この地下…なーんかどこかで見たことあるのよね」

「思い出せないなー…なんだっけかな~」

「思い出すかもしれないし、ちょっと探索してみますか」


信者

「ま…待て!貴様何者なのだ!?」


マベル

「なあに?私は魔女の大ファンってさっきから言ってるでしょ」


信者

「ば…化け物め…キマリ様にご報告だ!」


マベル

「やっかいになりそうだねーちょっと小細工させてもらうよ」


マベルは信者二人に手を添える。


信者

「はうんッ」


信者たちは記憶を失う…。

そしてマベルを牢屋に閉じ込めたという偽の記憶を埋め込められた。

マベルは指をならし、牢屋を元通りにし、さらに自分似たリアルな人形を牢屋の中に作り出した。


マベル

「これでよし!」

「さあ!探検に行こう!!」

「おいでトランヴェル…」


トランヴェル

(さすが手際がいいな……)


私とマベルは教会の地下を探索することにした…。

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