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トランヴェルの魔女 -人間を魔女化し、世界を解読せよ…-   作者: fujiヤマト
誰もが神になれた時代
346/374

ベルチカ

トランヴェル

(……)


トランヴェルは現実世界に意識を取り戻す。


ベルチカ

「どうトランヴェル?」

「今見せたのは、君がこの世界に来た理由」

「君は地球人類を救うために、新人類化プロジェクトを成功させるためにこの世界に招かれたんだ」


トランヴェル

(……私はやはり人間じゃないんだな)


ベルチカ

「そうだね。君はユニの20代の頃の記憶を持つ観測生命体」

「ユニの生命プログラムで創られたプロトタイプの観測者だ」


「君の目的は、10名の人間を魔女化、もとい新人類化させ、観測して結果を持ち帰ること」

「魔女化とはすなわち新人類化のことだ」

「旧人類である人間を新人類化させて、観測を行うことが君の使命」

「そしてその結果をこの宇宙の先にあるデザイアに報告することが君の役目なんだ」


トランヴェル

(……)


ベルチカ

「そして君は現に10人の人間を新人類化させ、観測を行ってきた」

「結果は知っての通り、ララたちは新人類である魔女たちと同等の力を保有している…いやもしかしたらそれ以上かもしれない」

「わずか10名とは言え、この結果なら新人類化計画が人類の最重要課題として掲げられるかもしれない。デザイアが新人類にもこの研究を優先して取り組むように指示を出してくれれば、テロリストたちも手を出せなくなる」


「だから君は、宇宙を超えてデザイアにこの観測結果を提出しにいかなけれらならない」

「ただ、残念なことにラクティスが僕らの存在に気づいて、襲撃してきた」

「敵はたったの一人。でもその敵はユニオンの体を操っている」


トランヴェル

(やはりユニオンは操られていたのか)


ベルチカ

「ユニオンはこの世界を管理する者だ」

「魔女を何度でも蘇らすことができるし、消すことだってできる」

「それを敵が操っているんだ。だからかなり不味い状況なんだよ」


トランヴェル

(……)


ベルチカ

「……トランヴェル。あまり表情が思わしくないけど、大丈夫かい?この真実を知って、ショックでも受けた?」


トランヴェル

(……あたりまえだろ。ショックに決まっている!)

(まさか私が外の世界の地球人を救うために生み出されただなんて…)

(私はこの世界の人たちを助けるためにここにやって来たと思っていた)

(この世界を良き方向へ導いて皆を救うことが私の存在意義だと思っていた……)

(まさかこの世界が作り物の世界で、それも外の世界のために存在しているだなんて思いもしなかった……)


ベルチカ

「トランヴェル。確かに君の存在意義は外の世界のためにある」

「でも、同時にこの世界を救うためでもあるんだ」


トランヴェル

(……どういうことだ?)


ベルチカ

「もし君がデザイアにこの実験結果を持ちだせなければ、この世界はラクティスによって破壊されるだろう」

「ラクティスは何としてでもこの世界を壊して、この実験を阻止しようとしている」

「ラクティスはまだこの惑星を破壊する手段が無いから放置しているけど、それも時間の問題なんだ」

「いずれこの世界はラクティスに滅ぼされ、この世界の人間も魔女も滅亡する」

「だからトランヴェル。この世界を救うためにも、外の世界の旧人類を救うためにも、君は何としてでもデザイアの元へ行かなければならない」


「130億の旧人類とこの世界の100億の住人の命が君にかかっているんだ」


トランヴェル

(……!)


ベルチカ

「だからトランヴェル。君は君の使命を果たしてほしい」

「これまでの苦難を乗り越えてきた君だからこそできる」

「皆を助けてやってくれ」


フィイイイイイイイイン!!!


ベルチカ

「そろそろ時間のようだ」

「僕の役目もこれで終わり……。お別れの時が来たようだね」


トランヴェル

(おい!ベルチカ!!待て!!)

(まだ全然話は終わってないぞ!!)


ベルチカ

「僕は単なる君を支援するAIだ。君と違って僕は機械だから、もうガタが来ているのさ……」

「もう何十年もメンテナンスを受けていないんだ……僕はもう壊れる寸前」


トランヴェル

「そんな……」


ベルチカ

「トランヴェル!もう時間がない」

「あの敵はもうそこまで来ている!皆と協力して早くこの世界を出るんだ!」

「そしてこの宇宙の先にいるユニの研究所にたどり着き、デザイアにコンタクトするんだ」

「ほら…そろそろ皆お目覚めだよ」


ベルチカの声がどんどん遠ざかっていく。


トランヴェル

(ベルチカ!?)


ベルチカ

「いいかいトランヴェル!どんなことがあっても最後まで諦めてはダメだよ!」

「なんとしてでも、君の観察記録をデザイアに届けるんだ!」

「ユニが最後まで諦めず、君をこの世界へ送ったように……」

「君も君の使命を果たしてほしい!」


トランヴェル

(待てよベルチカ!!なんでお前はいつもそうやってすぐいなくなっちゃうんだよ!?)


ベルチカ

「ごめんねトランヴェル」

「でも大丈夫……きっとまた会えるさ」

「僕は常に君の中にいるからね」


「じゃあね…トランヴェル。本当に僅かな間だったけど…楽しかったよ」


フィイイイイイイイイン!!!


トランヴェル

(ベルチカ!?)


激しい頭痛がトランヴェルを襲う!!


「さあ……これから最後の旅路だ!幸運を祈るよ」


これがベルチカとの最後の会話だった。

私は夢から覚めて、ララたちのいる現実世界に意識を戻した。


第7章終了。

第8章「激闘の宇宙」へ続く。

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