歪みの街
海の中に体が沈む…そして辺りは暗く、真上から光が差し込んでいた。
「カリア……進め」
謎の声が聞こえる…。
「…誰?」
その声は馴染みのある声…。再び声が聞こえる。
「進め……自分の望む方向へ」
「……お父…さん?」
「最後まで突き進め」
カリア
「はっ……」
カリアは目を覚まし、周りを見渡す。
カーテンからわずかに光りがもれ、部屋のなかは薄暗い。見知らぬ部屋だ……。
ララ
「カリア起きた!」
カリア
「ララ……」
カリアはララを見てホッとした……。
しかし、その安堵はつかの間、カリアはすぐに昨日のことを思い出した。父ガゼルが騎士団に刺されたことを思い出したのだ。
カリア
「……お父さん」
「お父さんはどこ!?」
ララ
「……カリア」
カリア
「……嫌」
「こんなの……嫌」
ララはそっとカリアを抱きしめ、カリアはララにしがみつく……。
しばらくしてカリアは泣きつかれたのか…また眠りにつく。
バタン…
コーネリアス
「どう?友達の様態は?」
ララ
「うん……心配ないと思う」
コーネリアス
「そう……もう一度目が覚めたらこれ持っていって」
ララ
「パン……ありがとう」
コーネリアス
「もういちいちありがとうって言わなくていいから」
「ちょっと買い物行ってくるね」
ララ
「うん……わかった」
ララとカリアはペルー村を抜けた後、何とか隣町までたどり着くことができた。彼女たちは戦闘体力が限界であり、歩くだけで精一杯であった。
そして彼女たちは村の門の前で力尽きてしまう。
されど運が良いことにコーネリアスに助けられる……。
見ず知らずの倒れ人を彼女は救ったのだ。
ララ
「……これからどうなってしまうのだろう」
「私たちはどう生きたら……」
ララが今後のことを悩んでいる際、後ろからカリアの声が聞こえてきた。
カリア
「ララ……」
ララ
「カリア……大丈夫?もう少し横になった方がいいよ」
カリア
「……大丈夫」
見るからにカリアの様態は悪そうだ……。
ララ
「あ……そうだ……パン食べて」
ララはコーネリアスからもらったパンをカリアに差し出す。
カリア
「ありがとう………」
「ところでララ……ここはどこなの?」
ララ
「親切な人が家に招いてくれたの」
「今出掛けてしまったからいないけど……」
カリア
「……そうなんだ」
ララ
「……でもあんまり長居してられないね」
「まだ隣町だし、騎士団がすぐにここまで追っかけてくると思うから」
カリア
「……そうだね…早く…出なきゃ」
ガタ……!
カリアが倒れそうになった瞬間、ララが彼女を支える。
ララ
「まだ無理しちゃダメだよ」
カリア
「ごめん……」
ララ
「ベッドに戻ろうカリア」
カリア
「……」
ララ
「カリア……今日はゆっくり休んで」
カリア
「……ありがとう…ララ」
カリアはまた深い眠りにつく…。
(もう目が覚めなければいいのに)
(……お父さん)
一方、夕飯の食材を買いに町へ出掛けたコーネリアス。
彼女は道中で妙な集団を見かけた……。
「魔女が再び我々の前に現れた!これは人間への警告なり!」
「魔女は我々に罰を与えてくれる存在!今こそ魔女に忠誠を!」
「魔女こそが真の神!人間が造りし偽りのカミとは違う!」
「魔女こそ至高!我らを導く神聖な神なり!」
謎の集団が進行しながら声をあげていた。
魔女が神であると復唱し、町を歩いていたのだ。
コーネリアス
「魔女が神……?何なのこいつら」
黒いローブをまとった人間たちが街のなかを進行する……。
何か不穏な空気がこの街を包む……。




