後始末
トランヴェルは気がつけば、マベルのもとに帰っていた。
そして目の前には一人の男が立っている。
その男は何かを土で埋めていた……。
マベル
「やあ!」
ドラフ
「……!」
マベルはその男に近づき声をかける。
マベル
「あなた先ほど変な道具を使って戦ってた人だよね?」
トランヴェル
(この男……思い出した……ララに銃弾を打ち込んだやつか……)
(マベルが言う変な道具とは恐らくこの男が背負っていた機材のことを言っているのだろう)
ドラフ
「何者だ……」
マベル
「私はマベル!魔女でーす」
ドラフ
「……魔女だと!?」
マベル
「君なかなか面白い人間だね!」
「なんというか、周りの奴等とはちょっと違う」
「なんというかお堅い感じ?かなー」
マベルはつらつらとドラフの印象を述べていく。
ドラフは腰から拳銃を取り出し、マベルへ撃ち込む!
マベル
「おっと」
マベルはとっさに銃弾を掴む……!
マベル
「いきなり何なのー?」
ドラフ
(……)
マベル
「貴方スッゴーく魔女のこと嫌ってるね……何で?」
ドラフは無言のまま銃弾を拳銃に詰め込む。
マベル
「そんな拳銃で魔女を倒せるわけないじゃん!」
ドラフはもう一度マベルへ発砲する!
マベル
「無駄だって!」
マベルは銃弾を手で掴む!
マベル
「!」
銃弾を掴んだマベルの指が焦げていく……!
トランヴェル
(これは……ララに打ち込んだ銃弾!)
マベル
「へぇ」
マベルの手から魔女粒子が抜けていく……。
魔女粒子が目に見えるほど大量に飛び散っている。
マベル
「面白い武器だねこれ!魔力を奪うんだ!」
マベルは自分の手をマジマジと見つめ、自分の手から魔力が抜けていく様を見続けていた。
マベル
「でもこの程度じゃ魔女は倒せないね」
マベルは手をドラフに向けて指を指した。
ドラフ
「!」
ドラフはその場から吹っ飛ばされ、後ろの木にぶつかる…!
マベル
「貴方は面白い人間だから殺すつもりは無いから安心して♪」
ドラフ
「……ふざけるな」
「貴様ら魔女に……なめられてたまるか」
「先ほどの魔女は逃したが……貴様は絶対に逃さない」
マベル
「先ほどの魔女?もしかして貴方がさっき戦ってた人間のこと?」
ドラフ
「人間……?」
マベル
「あんなのが魔女なわけないじゃーん」
トランヴェル
(!?)
トランヴェルは困惑した……。
(彼女にとってララたちは魔女に見えないというのか……)
マベル
「あの程度の魔力で魔女なわけないでしょう?どう見ても人間だよね!」
ドラフ
「……なんだと!?」
マベル
「あの人間は確かに他の人間に比べて魔力が強かったけど…全然魔女には及ばないよ」
ドラフ
「くそ……」
ドラフはボロボロの体をお越し、再び銃弾を拳銃に詰めこむ……。
マベル
「やっぱり人間だねー貴方」
「他の人間とは違って感情とかに振り回されないことから人間っぽい感じはしなかったけど」
「この状況で私を倒そうだなんて…余裕の無い人間は正しい判断ができない…本当に欠陥品ね」
ドラフ
「…おのれ…」
マベル
「人間は本当に愚か」
「不安定な生き物だね…ある意味不気味」
マベルはドラフの横に立つ…。
マベル
「一ついいことを教えてあげる」
マベルはドラフの耳元にささやく…。
トランヴェルはそれを聞き取ることができなかった。
ドラフ
「まさか…」
マベルの耳打ちからドラフの顔つきが一変する…。
そして彼は無言のまま歩き始める…。そのままどこかへと向かっていった…。
トランヴェル
(……一体何を言ったんだ)
マベルはクスクスと笑みを浮かべる……。
まるで何かを嘲笑うかのように…。
マベル
「目が覚めたのねトランヴェル」
マベルはトランヴェルが起きていることに気づく。
マベル
「もうおしまいか~楽しかったね!トランヴェル!」
マベルはトランヴェルの頭を撫でる……。
マベル
「さあ…行きましょう」
トランヴェル
(結局…わからない…この世界は何だろうか)
(私は一体何者なのだろか…)
この村の一連の騒動から何も得られなかった……。
謎が深まるばかりだ……。
マベルとトランヴェルこの村から立ち去る…。
もう二度とペルー村に訪れることはなかった。




