魔女世界への誘い
アルヴェ
「なんだお前は!?」
マベル
「私はマベル。初めまして」
アルヴェ
「お前魔女か!?どこの魔女会のものだ!?」
マベル
「私はカーズ所属の魔女だよ」
アルヴェ
「カーズ……?聞いたことないな」
マベル
「それはそうだろうね。下級魔女の魔女会だし」
アルヴェ
「下級魔女…!?下級魔女ごときが何の用だ!?」
マベル
「だから。あんたがこの人間世界を壊そうとしているのなら、私が許さないって言っているの」
「こんな面白い世界をあなたの独断で壊されるなんてごめんだわ」
アルヴェ
「はあ?下級魔女如きが何を言っているの?あんた誰に喧嘩売ってるのかわかってるの!?」
マベル
「あんたが誰なのか知らないけどさ。この世界を壊すような真似はやめてくれる?」
アルヴェ
「何様!?」
アルヴェがマベルに向かって紅魔法を放つ!!
マベルはその魔法を片手で受け止め、魔法を消滅させる!!
アルヴェ
「!?」
マベル
「話聞いてるかしら?この子たちとこの世界は面白いサンプルなの。その観察を妨げるなら私はあなたに容赦しないわ」
アルヴェ
「ック!!」
アルヴェが複数の紅魔法を生成し、マベルへ放っていく!!
マベルは紅魔法を受け止め、さらに破壊していく!
アルヴェ
「バカな!?下級魔女ごときが何故私の魔法を破壊できる!?」
マベル
「下級だろうが何だろうがそんな話はどうでもいいのよ」
「最後の忠告よ。この世界の破壊、およびこの人間たちを殺すことをやめなさい」
「さもなくば、私があなたをぼっこぼこにするわ!」
アルヴェ
「バカにするな!!なぜお前の言うことを聞かねばならない!!そもそもこいつらは人間だぞ!?上級魔女のソフィアを倒した奴らだぞ!?なぜ生かそうとする!?」
マベル
「だーかーらー!!この子たちは特別なんだって!!だって人間の身で魔女を倒したんだよ!?上級魔女を圧倒したんだよ!?」
「こんな面白い存在をどうして消そうとするの!?」
アルヴェ
「だからこそだ!!こいつらは危険だ!!それにこいつらはソフィアを殺した!!ここで消し去らなければ私の気が済まない!!」
アルヴェが最大級の紅魔法をマベルへ放つ!!
マベル
「わかったわよもう……あんたとは話が通じない」
バチイイイイイイイイイ!!!
マベルは紅魔法を掴み、そしてゴリゴリと魔法を削っていく!!
紅魔法は粉々に粒子となり、飛び散っていく!!
アルヴェ
「なぜだ!?どうしてだ!?おまえ本当に下級魔女なのか!?」
マベル
「下級魔女だからどうだっていうの?あんたは私より弱い。それだけでしょ?」
アルヴェ
「こいつッ!!」
アルヴェが転送魔法でマベルの背後へと移動する!!
そして紅魔法をマベルに撃ち込む!!
マベル
「無駄よ」
バシュウウウウウ!!!
マベルは紅魔法を粒子化させ、破壊した!!
そして彼女はアルヴェの頭を片手で掴む!!
バチバチバチバチバチバチ!!!
アルヴェ
「あああああがああああ!!?」
マベルの手に触れたアルヴェの頭から魔女粒子がたくさん吹き出ていく!!
マベル
「これは分解魔法。あなたの体を粒子レベルまで分解する魔法よ」
アルヴェの体が徐々に崩れ、そして粒子化していく…!
アルヴェ
「あ…が……ああ……」
フシュウ……
アルヴェの体は全て粒子となり、消滅した。
カローナ
「なんだあいつは!?何者!?」
カリア
「魔女……マベル」
トランヴェル
(あの魔女を一瞬で……やはりマベルは魔女の中でも危険な存在なのか!?)
マベル
「久しぶりねトランヴェル」
トランヴェル
(…!)
マベル
「私ね。ずっとあなたたちの行動を見てきた」
「アポロ国での出来事からずっとあなたたちを追いかけてきた」
「見てて飽きない……あなたたちは本当に不思議で面白い存在だと思うわ」
「きっとあなたたちならそこらの魔女よりも強いし、下手すると上級の中でもさらに上級の魔力を持っているかもしれない」
「だから今ね。いいこと思いついちゃった」
「あなたたち私と一緒に魔女世界に来なよ」
トランヴェル
(は!?)
イヴ
「なんだって…!?」
マベル
「魔女世界は面白いわよ!あなたたちならきっと馴染めるはず」
「私もさすがにそろそろ魔女会に顔を出さないとまずいし…」
「だから一緒に私の魔女会に来てよ!」
フィイイイイイン!!!
マベルは上空に大きな魔法陣を出現させる!!
ルイ
「な……なんだあのバカでかい魔法陣は!?」
マベル
「今から貴方たちを特別に魔女世界に招待してあげる!!」
フィイイイイイイイイン!!!
魔法陣が大きな光を放つ!!
トランヴェルたちはその光の中に包まれ、人間世界から姿を消す!!
光が収まり、クエリは辺りを見渡す。先ほどまでいたはずのイヴたちの姿が見えない。
クエリ
「イヴ…?アイナ!?」
ノーズ
「あいつら……あの魔女にどっか連れていかれたのか!?」
クエリ
「そんな……」
イヴ、アイナだけでなく、トランヴェルの魔女9名全員がどこかへ消えてしまった。
一方、赤竜は体がボロボロになり、不死山に転落していた。
ソフィアの龍に襲われ、大ダメージを受けていた。
(くそ…あの女どもは一体どこへ消えたんだ?)
(魔女世界?なんだそれは……こことはまた別の世界なのか?)
(確かに聞こえたぞ……あの箒に乗っていた魔女……トランヴェルと言っていた)
(間違いない……さっきの場所にトランヴェルはいた)
(追いかけたいのは山々だが……この体ではもう動けない……)
(このままでは……終わってしまう)
(ここで死に絶えるわけにはいかない……)
(どこかに……どこかに生命体はいないのか!?)
赤竜は周りを見渡す……。
すると、赤竜の一歩先に魔女ダリアが倒れていた。
(こいつは……魔女と呼ばれる生命体だ……)
(乗っ取れるか……?)
フィイイイイイイイイン!!!
赤竜から赤い線が飛び出す!!
そしてその線はダリアの体の中へと入る!
ダリア
「うう……うぐううう」
「うわあああああああああ!!?」
「はあ……はあ……」
「やったぞ……乗り移りに成功した……」
ダリアは立ち上がる。
「素晴らしい…素晴らしい体だ。今までの体とは比べ物にならないほど良い。この感覚は我々の体に似ているかもしれない」
「さて……トランヴェルは一体どこだ?」
「あの女どもは一体どこへ行ったんだ?」
「この女の記憶から魔女世界とやらを検索できるだろうか…」
「……あったぞ……なるほど。魔女世界とはその名の通り魔女が住まう地域のことを指しているのか…」
「魔女世界は……あっちに行けばいいのか」
ダリアは不死山の麓へ歩き出した……。
「待ってろトランヴェル。何としてでもお前を破壊してやるからな」
第5章終わり
第6章 戦慄の魔女世界へ続く。




