カローナの記憶22
フンボルトという滅びかけた国。
軍事国家であったフンボルトは機械文明が進んだ国だった。
魔法が広がるにつれ、廃れていき、国家として経済が回らなくなっていた。
ソフィアたちはフンボルトに目をつけ、フンボルト国の兵士を買収した。
というのも、フンボルト国は崩壊寸前までの域に達しており、魔女の融資をもらうことで、何とか国として維持をしていたのだ。
ソフィアたちはフンボルトの兵士たちを下級魔女のレベルまで強化しようとした。
しかし、どんなに訓練をしても兵士たちは育たず、人間の伸びしろが思った以上に少ないことに気づいた。
ソフィアたちは苦肉の策でひとまず兵士たちを魔物と合成することにした。
魔物の力を足せば、人間をさらに強化できると考えていたのだ。
魔物はダマから購入し、そしてその魔物たちを兵士たちと結合させてみた。兵士たちは人間の形を保ったまま、倍以上の力を持った兵士に変化した。
ソフィア
「成功ね」
ダリア
「下級魔女と渡り合えるレベルまではいかなかったけど、まあ前よりは幾分かマシになったわね」
ソフィア
「そうね。でも思った以上に魔物の数が必要だわ。またダマのところから魔物を大量に購入しましょう」
ソフィアたちはダマの元へ向かっていった。
ソフィア
「ダマ!どこにいるの?」
ソフィアたちは魔女信仰協会をうろうろしていた。
というのも、誰も見当たらないのだ。
カローナ
「……くっさ。血の匂いが強く残っているわね」
ダリア
「もしかして魔物が脱走して皆喰われちまったのか?」
ソフィア
「……可能性は高いわね。ほら見て」
あちこちにある大きなカプセルに穴があいていた。
いつもならば魔物がこの中にいるのだが、一匹も見当たらない。
ソフィア
「ダマの居場所を探してみるか………」
「こないだダマにあげた義眼を探してみるわ」
ソフィアはダマに魔力を計測できる義眼を与えていた。
ダマの片目にその義眼が取り付けられているのだ。
ソフィアはその義眼の居場所を魔法で突き止めることができる。
自らの魔力でつくったものは、発信機のように居場所を把握することができるのだ。
ソフィアは目をつぶって、義眼の居場所を探す。そして義眼の場所を見つけた。
ソフィア
「……?……何これ?」
カローナ
「どうしたのソフィア?」
ソフィア
「義眼の周囲にわずかに魔力を感じる……」
「ダマの体から魔法粒子が微かに出ているわ」
カローナ
「もしかして今ダマは魔法攻撃を受けている?」
ソフィア
「そうかもしれない」
ダリア
「この惨状を見れば、人間じゃない可能性の方が高いかもね…どうする?」
ソフィア
「彼の義眼を通して状況を見てみるわ」
ソフィアはダマの義眼に意識を集中させる。魔法でダマの義眼とソフィアの目をリンクさせ、ダマが今何を見ているのか確認する。
ソフィア
「真っ暗ね……目をつぶっているのかしら?」
「ん?……ダマが何か話しているわね」
ソフィアはダマの会話に耳を澄ます。
ダマ
「お前……まさかアンセスターか?」
「そうだ…確か貴様は探索機を操縦していたな……」
「とぼけるな…あの大きな機械を操作していただろう」
ソフィアは耳を澄ませてダマの会話を聞いていたが、彼の会話には違和感があった。
ソフィア
(……何か変ね。誰かと話しているみたいだけど、相手の声が聞こえてこないわ……)
ソフィアは引き続き、ダマの話に耳を傾ける。
ダマ
「あれは13年前に発掘したものだ……かつて祖先がこの大地に足を踏み入れる前にあれを使用して探索していたという」
???
「祖先……つまりアンセスター?」
ソフィア
(誰かの声が聞こえる……ダマの声じゃない!)
ダマ
「あれを動かせるものは現代の人間では無いはずだ」
「魔女ですら動かせなかったのだからな」
???
「魔女ってあの白い服を着た魔女か」
ソフィア
(!?)
(ダマと会話している奴は私のことを知っている!?)
(一体誰だ!?)
???
「あの魔女は何者なんだ?」
ソフィア
(まずい……私の存在を模索している!?)
(一体誰だ?人間?)
ダマ
「あの魔女は…そ」
フィイイイイイン!!!
ダマがソフィアの名前を言おうとしたところに、ソフィアが魔法を発動させた!
その魔法はダマの義眼に宿り、ダマの体を操った!
ダマは銃を握り、それを頭につきつけ、そして発砲した!
ダアアアアアアン!!
ダマは頭を撃ち抜かれ、その場で倒れた。
ソフィア
(……)
ソフィアは自分の正体がバラされるのを防ぐため、ダマを自害させたのだ。
ソフィア
「ダリア、カローナ。この下の階へ行くわよ。ダマの近くに誰かいる」
「急ごう」
ソフィアは転送魔法でダマのいる場所へと移ろうとした。
その時、ダリアが声をあげた。
ダリア
「ねえソフィア!カローナ!こっちにでっかい魔物が死んでるよ!」
ソフィアとカローナはダリアの方へ顔を向ける。
彼女たちの目に入ったのは、大きな魔物の死骸だった。




