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カローナの記憶21

ソフィアたちは転送魔法で王宮へ戻ってきた。


カローナ

「ソフィア。どうしてあの人間を助けたの?」


ソフィア

「あの人間たちが魔物を作ったからかな」

「だって面白そうじゃない?あの人間たち」


ダリア

「まあ確かに。まさか本当に人間が魔物をつくっていたとは驚きだ」


ソフィア

「定期的にあの人間たちに会いに行こうと思うの」

「もしかしたら魔物を分けてくれるかもしれないし」


カローナ

「なるほど。あいつらから魔物をもらえれば、わざわざ外で捕ってくる手間が省けるってわけね」


ソフィア

「そうそう」

「あの人間たちと仲良くなれれば、きっともっと面白いことができると思うの」

「魔物を使ってさらに私たちのゲームを面白くするのよ」


ソフィアはこの後、定期的にダマの元へ訪れた。

ダマは魔物を戦争道具として商売していた。

以後、ソフィアは何度かダマと会っては、ダマから魔物を購入した。

それからソフィアたちは魔物を研究材料に使い、氷時間停止魔法をさらに強化していった。


ソフィア

「この魔法の名前を考えてみたわ」


カローナ

「なになに?」


ソフィア

「クロノ・ブレイク」

「その名の意味はすべての者を永久に凍らす禁断の魔法」


ダリア

「いいね。じゃあ今からこの魔法はクロノブレイクね」


ソフィア

「長年かけて作ったこの魔法もそろそろ最終段階よ」

「さらに魔力を倍込めれば、上級魔女とはいえ、凍らすことができるはず」


ダリア

「倍以上の魔力か……また大変な作業になりそう」


ソフィア

「大丈夫よ。私たち3人が本気出せば、2~3年で出来上がるはずよ」

「あとは……そろそろ人間たちの強化について考えないとね」


カローナ

「そうだった。すっかり忘れてた」


ソフィア

「いくらクロノブレイクがあっても、これだけでは絶対に勝てない」

「大ババどもを仕留めるにはやはり数が重要よ」


ダリア

「そうね。せめて人間には下級魔女たちと渡り合える力を身につけて欲しいわね」


ソフィア

「ダリア。下級魔女という言葉は禁句よ」


ダリア

「そうね。そうだったわ。ごめんソフィア」


カローナ

「これからは上級も下級も関係ない。すべての魔女が平等に戦える世界を作り上げる」


ソフィア

「そうよ。そのためにここまでやってきたんだから」


ダリア

「それはそうと、信頼ゲームはあんまり進みが良くないわね」

「人間たちは魔女のことを天敵ととらえているし、私たちもツクヨミ国しか信頼を得ていないわ」


ソフィア

「大丈夫。思っている以上に計画は順調だと思うわ」


ダリア

「どうして?」


ソフィア

「だって人間たちは魔女を敵対視しているのでしょう?」

「つまりそれは我々の敵と同義なのよ」

「我々が"人間に味方する魔女"として振舞えば、嫌でも人間たちは我々を受け入れてくれるでしょう」


ダリア

「なるほど…」


ソフィア

「確かに今はツクヨミ国の一部しか我々は信頼を得られていない」

「だから、今からこのゲームをさらに進めるために"ある作戦"を仕掛けようと思うの」

「その作戦を行うことで人間を統一させて、さらに我々の信用を植え付けさせることができるわ」


カローナ

「なになに?教えて!!」


ソフィアはカローナとダリアにその作戦について詳細を述べていった…。


ソフィアが話す作戦とは以下の通りだ。


1.ダマから仕入れている魔物を魔法で強化し、人類の天敵を作る。

2.そしてその魔物たちを世界中に放ち、人類と戦わせる。

3.その魔物たちは大ババたち魔女が放ったものだと世間に認識させる。

4.人類は魔物を討伐できるほどの実力が無いため、絶望の淵へと落とされる。

5.窮地に追いやられた人類はさらに魔女を恨み、魔女や魔物を倒すべく立ち上がらせる。

6.立ち上がった人類に魔法訓練、魔法技術を植え付ける。

7.下級魔女と戦えるレベルまで人間を強化する。


ここまでがソフィアが考えた計画だ。

彼女たちはソフィアの考えをベースに計画の詳細を突き詰めていった。

元々ソフィアの考えは全世界に一斉に魔物を放つ計画を立てていたが、実際には魔物の数が足りておらず、10カ国でやっとの数だった。そこでソフィアたちは自分たちが今現在いる大陸のみに焦点を当てることにした。ソフィアたちのいる大陸はユーリ大陸という。

この大陸にはツクヨミ国やアルキメデス国など12カ国ある。

ユーリ大陸に魔物を放ち、そしてその大陸の人間たちを絶滅寸前まで追い込むことを計画した。

その後に、ソフィアたちが用意した軍隊を投入し、魔物たちを一斉に駆逐。

他の国の軍隊では歯が立たないところに、魔物を一掃する軍隊が現れれば、人間たちは自然とその軍隊に頼ることになる。

つまり、ソフィアたちの軍隊が人類を束ねていき、そして集った人間たちを強化していく。

そんなストーリーを描いていた。


当初、ソフィアたちが用意する軍隊はツクヨミ国の騎士団を考えていた。

しかし、ツクヨミ国の騎士団は魔女や龍、魔物を倒した実績がほとんどない。

そんな騎士団が魔物たちを一掃するのは不自然であるように思えた。

そのため、ソフィアたちはツクヨミ国の騎士団ではなく、他国の軍隊を使用することに決めた。


ソフィア

「名の知れた軍隊や国ではダメね。きっと我々に協力してくれないだろうから」


ダリア

「そうなると、名のしれない軍隊を選ぶとしたら………」


「フンボルト国なんてどうかしら?」


ソフィア

「フンボルトねえ……いいかもしれない」


フンボルト国は機械文明時代は先進国であったが、魔法文化が浸透してから廃れてしまった国だ。

ソフィアたちはフンボルトの軍隊を使用することに決めた。

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