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カローナの記憶18

ツクヨ国王は魔法文化を捨てて、機械文明を発展させようと考えていた。

アポロ国に国営の研究所を立ち上げ、そして世界中から名だたる技術者をかき集め、

国の重要研究部隊として促進させた。

ツクヨ国王には夢があった。それはいつかこの大地を抜けて、空の先へ行きたいと考えていた。

彼は"宇宙"と呼ばれる空間に行きたいと夢見ていたのだ。

そして彼はアポロ国営研究所を"衛星研究施設"と名付け、

宇宙進出の先進国となるべく、多額の金をそこに費やした。


ある日、ツクヨ国王は国営研究所に訪れ、研究所を見回っていた。

研究所には宇宙に行くための乗り物や宇宙で暮らすためのハウスがでかでかと展示されていた。


ツクヨ

「素晴らしいな」


パール所長

「こちらはつい先月出来上がったものとなります。これを空に打ち上げて、宇宙に行けるか試す実験を行うつもりです」


フィイイイイイン!!


ツクヨと所長パールが話しているところに1台の機械が近づいてきた。


ミスリル

「おい!とまれ!!おい!!」


その機械はツクヨの護衛たちをすり抜け、そしてツクヨの目の前で止まった。


ツクヨ

「搬送機か……よくできているな」


ミスリル

「やっと止まったあ……」


パール

「申し訳ございません!?おい何をしているミスリル!?」


ツクヨ

「まあよい。ミスリルとか言ったな。お前がこれを作ったのか?」


ミスリル

「はい!!そうであります!!」


ツクヨ

「年はいくつだ?」


ミスリル

「24であります!!」


ツクヨ

「まだ若いな。君みたいな優秀な開発者がこの国を導いてくれると思っている。頼んだぞ」


ミスリル

「有難きお言葉!!誠にありがとうございます!!」


ツクヨ

「ところでこの機械は何に使用する?モノを搬送するものか?」


ミスリル

「はい!!これはおっしゃる通りただの搬送機です!!」

「ですが、これは普通の搬送機では無いのです!!」


ツクヨ

「ほう?どこか特別なものがあるのか」


ミスリル

「はい!なんとこれは機械と魔法を組み合わせた新しい試みのものであります!」


ツクヨ

「魔法……だと?」


ミスリル

「はい!これからの時代はやはり魔法はかかせないと私は思っているのです!」


ツクヨ

「……パールどうなっている?」


パール

「……はッ!?いやその…」


ツクヨ

「もうよい。次に行くぞ」


ツクヨは不機嫌な様子で研究所を出ていった。


カローナ

「ツクヨは頭硬いねえ」


ダリア

「本当に魔法が嫌いなのね」


ソフィアたちは水晶越しで今のツクヨの様子を見ていた。


ソフィア

「見ての通り、宇宙開発を勤しむところでも魔法文化が浸透していることが見受けられたわね」


ダリア

「本当ね。ソフィアの言っていた通りだったわ」


ソフィア

「どんなに魔法を禁止にしようとしてももう遅い」

「人間は一度その快楽を得てしまったら、求めてしまう」

「禁止にすればするほど、その欲に浸ろうとする。たとえ罪を犯してまででもね」


ソフィアの目論見通り、アポロ国営の研究員たちの中でも魔法を研究するものたちが現れた。

しかし、ツクヨの魔法文化断絶の方針により、魔法研究を行うことは禁止となったのだ。

先ほどのミスリルという若い研究員はその禁止事項を破って、魔女と魔法の研究ばかりをしていたため、

後に国営研究所から追い出されることになった。


それから約1年後、世界では魔法を使える者が徐々に増えていった。それに反してツクヨミ国では使えるものが減っていく一方であった。


ピレネー

「このままではまずい……」

「このままでは人類を統一するどころか、我が国は崩壊してしまう」


このころのツクヨミ国は宇宙開発に力を入れていたものの、やはり先進していたフンボルト国やクラフト国の技術にはかなわず、衰退の一歩を歩んでいた。

それから早3か月が経過した。

ここで一つ大きな事件が起きたのだ。


カローナ

「大変よ!ソフィア!ダリア!!」


ダリア

「どうしたの?そんなに慌てて」


カローナ

「ツクヨが…ツクヨが事故で無くなったんだって!」


ダリア

「うそお!?」


ソフィア

「……フフ」


ソフィアは怪しく笑みをこぼす…。


ツクヨはアポロからクラフト国へ向かう途中、航空機に搭乗していたが、

突然航空機が爆破し、亡くなった。

最初はテロだと思われていたが、航空機の残骸からエンジンに異常があり爆発したことがわかった。

ツクヨミ国は王を失ったのだった。


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