カローナの記憶14
ソフィアたちの指導により、ついに人類史上初の魔法部隊ができた。
ケプラー
「素晴らしいな。ソフィアよ」
ソフィア
「ありがたきお言葉ですわ国王」
ケプラー
「今後も魔法をどんどん国内に広めていってほしい」
「我が国が魔法先進国として飛躍し、フンボルトの奴らを出し抜こうではないか」
ソフィア
「そうですね。あと3か月……いやあと2か月もあれば、その夢は実現すると思われます」
ケプラー
「そうか。楽しみにしているぞ」
ツクヨ
「……」
ケプラー
「どうしたツクヨ。浮かない顔だな」
ツクヨ
「いえ……別に」
ツクヨはケプラーの息子だ。このツクヨミ国の王子である。
ケプラー
「お前も今後、この国を治めていくならば、少しは魔法を使えるようになったほうがよい」
「ソフィアよ。ダリアかカローナあたりにツクヨに稽古をつけてもらえないか」
ツクヨ
「国王!私に魔法は不要です!」
ケプラー
「……なんだと?」
ツクヨ
「私は…古来の剣術を先に学びたいと思っているのです」
「あの騎士団の技術があってこそ、魔法を習得できると思うのです……」
ケプラー
「ふむ……」
ソフィア
「ツクヨ王子。確かに剣術も必要とは思います」
「思いますが、魔法というのは、剣術や体術とはまた別ものとなります」
「今から剣術と共に魔法を習得するのも良いかと……」
ツクヨ
「私には必要ないと言っているのだ!!」
ソフィア
「……」
ケプラー
「何をそんなに荒げている。見苦しいぞツクヨ」
ツクヨ
「申し訳ございません国王……」
ケプラー
「もうよい」
「ソフィアよ。いずれ魔法をこの王室でも広めてほしいと思っている」
「今度ピレネーにも魔法を見せてやってほしい」
ツクヨ
「!?」
ソフィア
「ッハ。承知しました国王」
ケプラー
「そろそろ食事の時間だな。今日はここまでとしよう」
「今後も期待しているぞソフィア」
ソフィアは一礼をして王室を出ていった。
外ではダリアとカローナがソフィアを待ち伏せしていた。
カローナ
「ソフィア食事の時間よ!今日はルナ街でステーキとやらを食べに行こうかしら」
ソフィア
「ステーキ……そうね。行こうかしら」
ダリア
「国王と王子の面談どうだった?」
ソフィア
「国王は変わらず我々を信用しきっているわ」
「でも王子は…どうやら我々を警戒しているみたいね」
カローナ
「あのガキが?なんで警戒されているのかしら?」
ソフィア
「あのツクヨ王子は中々鋭い感性を持っているみたい。小さい頃からの軍事訓練の経験から、なんとなく私たちを怪しいと思ってるんじゃないかしら?」
ダリア
「ふーん。人間って動物の感性があるから、感覚で何かわかるのかね?」
カローナ
「この先少し心配ね。ケプラーから信頼を得たとしていても、ツクヨの時代にうまく立ち回れるかしら?」
「ケプラー国王も老い先短いし……」
ソフィア
「そうね……あの王子が我々を信用しないとなれば、我々のゲームは停滞するでしょうね」
「ならば、ツクヨの息子であるピレネーに吹き込みましょうか」
カローナ
「なるほど。ツクヨがダメなら先を見越してピレネーに信じてもらえればいいのね」
ソフィア
「そう。人間の寿命は短いから、先にピレネーを手懐けてしまえば、こちらのものよ」
一方、ツクヨ王子は妻と息子と共に自室にいた。
ツクヨ
(あのソフィアとかいう女……)
(あの恐ろしい目つき……あいつは普通ではない)
(そしてあの魔法という人間の文明そのものを覆すような怪しげなもの……あんなものが広まれば、ますますあいつの地位が高くなる)
(危険だ……わかる私には。初めて対面したときのあの背筋が凍る感覚は普通じゃない)
(国王は信じ切っているが、私は信じられない)
執事
「ツクヨ王子。ピレネー様が軍事訓練からお帰りです」
ピレネー
「お父様!」
ツクヨ
「ピレネー帰ってきたか。どうだった訓練の方は」
ピレネー
「はい!お父様!魔法ってすごいですね!」
ツクヨ
「……!?」
ピレネー
「魔法は何でも生み出せる。これがあれば剣も銃も必要ないですね」
ツクヨ
「ピレネー……お前…軍事訓練を受けたのではないのか?」
ピレネー
「ちゃんと受けてまいりました。その中でも魔法の訓練が非常に有意義で楽しい時間でした」
ツクヨ
「魔法訓練だと!?」
「おい!!どうなっている!?ピレネーは軍事訓練を受けたのではないのか!?」
執事
「はい!?確かにピレネー様は軍事訓練を受講されておりましたが…」
ツクヨ
「なぜ軍事訓練で魔法の訓練があるのだ!?そんな話聞いてないぞ!?」
執事
「こ…今年度から軍事訓練に魔法訓練を入れると軍部の方から」
ツクヨ
「なんだと!?」
ダアアアアアアン!!
ツクヨは机を叩き、執事をにらみつける。
ツクヨの激怒している様子にピレネーは怯える。
ツクヨ
「スケジュールを見せろ!!」
執事はピレネーの軍事訓練のスケジュール表を手渡す。
ピレネー
「なんだこれは…」
スケジュール表を掴んだピレネーの手が震える……。
ピレネー
「ほとんど魔法訓練ではないか…一体誰が決めた!?」
執事
「……グルツ軍師です」
ピレネー
「グルツ軍師を今すぐここに呼べ!!」
ピレネーは激怒して執事に命令を告げた。
それからピレネーはグルツ軍師に何故魔法訓練を取り入れたのか問い詰めた。
彼の話からは、ケプラー国王が魔法訓練を入れるように指示したという。
ピレネーはその話を聞いて頭を抱えた。




