カローナの記憶11
ケプラー
「何を……言っているのだ?」
ソフィア
「言葉の通りです。この国は他の国より優秀な国民を抱えている。
そしてこの国はかつて大国を築き上げ、この大陸を支配していたと聞きます」
「その大国を築き上げたツクヨミ族、いやケプラー国王でなければ、人類の統一はできないと踏んだのです」
ケプラー
「何を……何が目的だ!?なぜ、世界統一など我に吹き込む!?」
ソフィア
「私たちの目的はただ一つ。あの卑劣な魔女どもを倒すことです」
「しかし、我々だけでは難しい。ならば、この大地に住む人類と力を合わせれば、あの魔女たちを倒せるのではないかと考えているのです」
「だから我々はこのアポロ国に目をつけたのです!人類の歴史上で最大の国力があるこのアポロ国を!」
「全世界を統一できれば、我々と人類で力を合わせて攻めてくる魔女たちを倒すことができると考えたのです!」
ケプラー
「そんな話……何をもって信じればいいのだ」
ソフィア
「ケプラー国王。実はここ数年、もう魔女たちが人類へ進行し始めていることにお気づきになられていますか?」
「東洋3カ国の戦争時に3カ国とも魔女によって滅ぼされたことをご存じですか?」
ケプラー
「……!」
ソフィア
「つい最近では大国ルナの国民が一人の魔女によって滅ぼされたことを知っていますか?」
ケプラー
「……バカな。あれらは魔女がやったというのか!?」
ソフィア
「そうですケプラー国王。あんな大規模な殺戮は魔女にしかできません」
「人類が一夜で国を滅ぼすなど不可能であることはおわかりでしょう?」
「魔女たちは徐々に人間たちに手をかけています。そして行く行くは人類すべてに対して宣戦布告をしてきます」
「もしその時、人類が今のように戦争していたり、バラバラであったりしていたらどうなると思いますか?」
「ものの数日で人類は絶滅するでしょう」
ケプラー
「……」
ソフィア
「ですからケプラー国王。戦争というものはすぐに終わらせなければなりません。
必要なのは人類の統一。それこそが人類が生き残るための最善の道となりましょう」
ケプラー
「……たとえ……たとえおぬしの話が本当だとして、我々に一体何ができる?」
「知っての通り、我々は今戦争中だ。しかも我々の兵力も分散され、カグヤもティコも我々を攻めることを第一としている」
「我々も苦しい。戦況は最悪の状況だ。そんな我が国を何故おぬしたちは選ぶ?それこそフンボルトやクラフトの方が良いのではないか?」
ソフィア
「フフフ……大国の王である貴方が、他の国の方が良いと申し出るとは……きちんと立場を理解されているようだ」
「確かに他にも大規模の国はある。しかし、やはりこのアポロ国が一番世界統一にふさわしい国だと思っているのです」
「あなた達国民は、他国に比べ魔法を使える素質がある」
ケプラー
「魔法だと!?」
ソフィア
「そう……アポロ国民はフンボルトのように道具に頼り切りではなく、ましてカグヤのように剣や弓などの古い武器に依存することもない」
「最新兵器である銃器、そして古来からの主流な武器である剣と弓。両方うまく使い分けていらっしゃる」
「これはまだアポロ国民は自らの力を引き出すことを忘れず、されど最新のものを使おうとする探求心が大いにあることを示しています」
ケプラー
「どういう意味だ?」
ソフィア
「ケプラー国王。そもそも魔法とは自らの体内から魔力というものを生み出し、それを体外へ放出する術です」
「フンボルトが使用している"銃器"は人間の体内から大いにはずれ、照準を定めて指で押すだけのものなのです」
「これでは体内から放つ感覚が疎くなり、これを主に使用している大国の国民では魔法を放つことが難しいと思われます」
ケプラー
「待て…お前らはその魔法とやらを使えるかどうかで判断をしているというわけか?」
ソフィア
「その通りですケプラー国王。今後の魔女との戦いには魔法は欠かせません」
「ここまでくる兵士たちが使用していた剣や銃では我々魔女を倒すことができないのです」
「ですから、今後の人類には魔法を使えるものを増やしていかなくてはなりません」
「魔法こそが次世代の大いなる武器。魔法を使えれば、戦局を簡単に覆すこともできましょう」
「先ほど見ての通り、我々に向かってきた兵士たちは我々に指一本触れることができず、我々の僅かな魔法で倒れてしまったのです」
ケプラー
「……」
ソフィア
「話を戻します。ケプラー国王。貴方様が言うようにこのアポロ国以外にも大国はたくさんあります。ですが、どの国も大国で先進国であるがゆえに銃をメインに使用しているのです」
「先ほど申し上げたように、銃の使い手は体内から魔力を放出する感覚がわからず、魔法を使えるようになるまで相当な時間を要するでしょう」
「まだ剣や拳で戦うのであれば、魔法の感覚をつかむのに苦労はしないでしょう」
「魔法は道具を使うこととは全く別なのです。頭で想像して己の血から生成するものです」
「この魔法の生成にはできるだけ道具を使う意思判断を無くし、自らの体内から放出する技術が必要となります」
「この技術は道具を使えば使うほど身に着けにくくなるものです。なぜならば、道具を使うという行為は己の体から生成する感覚とは反するものだからです」
「人間以外の生物は道具を使いません。彼らは己の体を使って敵を欺き、攻撃をします」
「人間は道具を使い、それに頼ります。そのため自らの体で攻撃する感覚を知らないのです」
「ですからケプラー国王。このアポロ国では銃や最新兵器に頼ることなく、そして剣を武器にしていることから、他の国に比べ、魔法を使える可能性があると判断したわけです」
「確かにアポロ国はフンボルト国に比べれば技術は遅れています…しかしです、銃になれ浸しむ前に魔法を覚えることができれば、どんな先進国でも出し抜くことができ、どの国よりも栄えることができ、さらに全世界の中心としてこの国は謳歌することでしょう!」
ケプラー
「……!」
門番
「ケプラー国王!!」
門番たちが何名か、この王室へ入ってくる!
ケプラー
「待て」
門番たちが魔女に攻撃を仕掛けようとしたところを、ケプラー国王は彼らに待機を命じた。
ソフィア
「どうでしょう。ケプラー国王。我々と契約を結びませんか?」
ケプラー
「契約だと?」
ソフィア
「我々はこの国に加担し、カグヤ国とティコ国と戦います。そして国民には魔法を伝授します」
ケプラー
「!?」
ソフィア
「この力があればこの国の勝利は間違いないでしょう」
「そして魔法を使えるようになれば、間違いなくこの世界の中枢になれます」
「貴方様が世界の中心となって人類を統一し、来る魔女との戦いに備えることができれば、我々としても利益があるのです!」
「さあ…ケプラー国王。お返事を」
「もちろん強制はしません。不要というのうであれば、我々は黙ってこの場から立ち去ります」
「選ぶのは貴方様の自由です」
ケプラー国王
「……ッ」




