カローナの記憶10
ソフィアたちが王宮に到着してから約1時間が経過した。
門番たちは銃器や爆薬を使ってソフィアたちを攻撃していく!
しかし、ソフィアたちには銃器も爆弾も通用しなかった。
門番A
「ば……化け物め!?」
門番B
「き……騎士団を呼べ!!」
ダリア
「あー弱っちい」
カローナ
「ダリア!なんであんな事をしたの!?」
ダリア
「だって回りくどいんだもの」
ソフィア
「ダリア。今回だけは目をつぶるけど、絶対に二度とやってはダメよ」
ダリア
「わかったよ……」
ソフィアたちは門番たちの武器を全て破壊し、そして門番たちを軽く捻って気絶させた。
彼女たちは王宮の中に入り、王がいる部屋を探した。
道中に何人か騎士団員が襲い掛かってきたが、傷を負うこともなく、むしろ襲ってきた兵士たち全員を気絶させた。
ソフィアたちは王の居場所を突き止めるべく、隈なく王宮の中を探索する。
そして、王宮の最上階の奥に、1室神々しい扉を見つけた。
ソフィア
「ここかしら?」
ソフィアは神々しい扉を無理矢理こじ開け、部屋の中へと入っていく。
中には王と思われるものが、高座の椅子に座っており、何名か剣士が剣を抜いて襲い掛かってきた。
ソフィアは一瞬にして、剣士たちを気絶させ、そして逃げようとする王の前に瞬間移動した。
ケプラー
「ぐうう!?化け物め!!?」
ソフィアは王の前に立ち、そしてその場で跪く。
ケプラー
「!?」
ソフィア
「数々のご無礼をお許しください。ツクヨミ国の王よ」
ケプラー
「……!?」
ソフィア
「いきなりこのような形でご無礼を働き、申し訳ございません」
「我々は国王と戦いに来たわけではありません」
ケプラー
「……何者だ?何なんだお前らは!?」
ソフィア
「申し遅れました……。私の名前はソフィア。そしてこちらにいるのが、手前からダリア、カローナです」
「そして我々は人間ではなく、魔女です」
ケプラー
「魔女……だと!?」
ソフィア
「はい。我々は別の世界から来た魔女です」
「見ての通り、あなた方人間と同じ形をしていますが、我々はあなた方とは全く異なる存在です」
ケプラー
「その魔女とやらが、一体何の用でここに来たというのだ!?」
ソフィア
「我々は貴方たち人類に危機が迫ってきていることを告げに来たのです」
ケプラー
「危機……?」
ソフィア
「そう人類の危機です。あと数十年後に人類が魔女に滅ぼされる危機に迫られます」
ケプラー
「……?」
ソフィア
「大多数の魔女たちが、この世界を我が物とするために人類を襲撃するつもりなのです」
「我々はそんな野蛮な魔女たちとは異を唱える派閥に属する者です。我々の目的はその野蛮な魔女たちの進行を喰いとめるべく、ツクヨミ国にやってきたのです」
ケプラー
「……」
ソフィア
「唐突なことで混乱されるかもしれませんが、我々はあなた方人間にその野蛮な魔女たちを倒すために協力して頂きたいと考えているのです」
「我々はその野蛮な魔女たちと対立している立場にあります。我々は己の私欲のために他の世界を蹂躙して征服しようとする魔女たちを倒したいと考えています」
「しかし、我々は少数派であり、数えるほどしかいません。残念ながら、ほとんどの魔女が力づくで人類を征服したいと考えています」
「我々はそれが許せません。我々はそんな野蛮な同族どもを排除し、新たな魔女世界をつくり上げたいと思っているのです」
「ケプラー国王。突然の申し出で分からないことが多々あると思いますが、つまるところあなた方人間たちに我々と共にその野蛮な魔女たちと戦ってほしいのです」
「ケプラー国王…どうか我々の話を聞いてもらえないでしょうか」
ケプラー
「……」
「たとえお主たちの言っていることが本当だとして、何故このツクヨミ国に……何故私にその話を持ち出した?」
「お主たちは他の国にも同様のことを言っているのか?」
ソフィア
「いいえ。人類にこのことを話すのは、今回が初めてです」
ケプラー
「たまたま我のもとに来たと申すのか?」
ソフィア
「そうでございます」
ケプラー
「……」
「それで……おぬし達は私に何を要求するのだ?」
「お主たちと一緒にその野蛮な魔女と戦えというのか?」
ソフィア
「そうでございます。人類も我々に協力してほしいのです」
ケプラー
「人類と言ったな?残念ながらここは人類の中のほんの一部に過ぎない」
「お主たち魔女がどこまで我々人類のことを知っているのかわからないが、我々人類は沢山の”派閥”を持っている」
「ここツクヨミ国はその”派閥”の一つだ。私が人類の全てを統一しているわけではない。それはわかるか?」
ソフィア
「はい。このツクヨミ国が全人類の一部であることは我々も存じております」
「それを承知の上でお願いをしているのです。まずは少しでも人類の協力を得たく、お願いを申しているのです」
ケプラー
「ソフィアといったな。お主たちは知らぬかもしれないが、我々は今、他の”派閥”と戦争をしているのだ」
「目の前の敵に苦戦している我らが、お主たち魔女に協力することなどできようか?」
ソフィア
「戦争しているとのことですが、それでも国王は我々と一緒に協力するべきです」
ケプラー国王
「なんだと?」
ソフィア
「もはや人類で争っている暇は無いのですよ国王…。今戦争をしていてもいずれ終結せざるを得ない時が来ます」
「なぜならば、魔女がこの世界に攻め込んでくるからです」
「人類は否応なしに団結するほかないのです」
ケプラー国王
「……しかし、我々人類は愚かな存在なのだ。たとえ他の第3の敵が現れようと、我々人類は争いをやめることはしないだろう」
「お主たちの言うように本当に魔女とやらが攻めてきても人類が一丸となって戦うことは不可能に近い」
「それにほとんどの人間がお主たちの言うことを信じないだろう。いきなり魔女とやらが我々人類を襲い掛かってくるなんて誰が信じようか」
ソフィア
「ケプラー国王……。初めて出会う人間が貴方でよかった」
ケプラー国王
「?」
ソフィア
「あなたはあなたが言うように人類の愚かさを知っている。我々もこの世界に来てからたくさんの人間を観察してきた」
「ほとんどの人間が私欲のために争い、そして相手を騙しては利用する。我々魔女が観察するとそう見えるのです」
「あなたは人間でありながらも、人間の愚かしさを知っている。それを踏まえて国を統治できる者こそ人類を束ねるのに望ましいと私は思うのです」
ケプラー国王
「人類を……束ねる?」
ソフィア
「そうです。人類の統一なくして魔女に打ち勝つことは不可能です」
「ですからケプラー国王。あなたが人類を統一させるのです……!」




