カローナの記憶4
兵士は私の髪を掴み、そして髪を持ち上げて私の顔を兵士の顔へ近づけた。
それから鬼のような形相でこちらを見てきた。
ただ睨まれているだけで特にそれ以上はしてこなかった。
だから私はその兵士に少し"攻撃"をしてみた。
兵士
「テメエ…いい加減に」
ズバアアッ!!
私は少し魔力を込めて兵士の腕を触った。そしたら兵士の腕がぽろっと取れてしまったのだ。
兵士
「!!?」
周りの兵士たち
「なッ…!?」
兵士
「がああ…!?ああああ!?」
アルヴェ
「割と脆いな」
兵士
「手が…ええ!?えええええ!!?」
周りの兵士たち
「こいつ!?」
周りにいた兵士たちが剣を抜いた。
どうやら私と戦う意思があったようだ。
アルヴェ
「脆い割には好戦的だな…」
私は人間がどのくらい強いのか試すために兵士たちと戦うことにした。
先ほどの人間は気を抜いていたからすぐ手が取れてしまったのだと思ったので、
もう一度他の人間で本当に脆いのかどうか確かめてみた。
私は魔力を込めた手で兵士の肩に触れてみる。
兵士の片腕が簡単にごっそり取れ、そして兵士は自らの腕を再生することはせず、その場で倒れた。
どうやら人間は体を自力で再生させることはできないようだ。
そしてこの人間たちはやはり魔法を使うことは無く、ひたすら武器で斬りかかってくるしか芸が無かった。
私は兵士たちを皆殺しにした。すると、店にいた人間どもはいつの間にか全員いなくなっていた。
いなくなったと思いきや、また別の人間の戦士たちが剣を抜いて、私の元へやってきた。
アルヴェ
「なるほど」
私はその時理解した。人間というのは役割をそれぞれ持っているのだと。
兵士という戦う者と店を開き商売をする者。それぞれ役割を担って群れを成しているようだ。
私はその日、その村を破壊した。村自体にバリアは貼られておらず、住居も人間も木端微塵に吹っ飛んだ。
アルヴェ
「脆い……」
人間と接して率直に思った感想は「脆い」、その一言に尽きた。
この自分たち魔女に似た人間という生き物は、魔法が使えず、さらに自ら回復する力も無い。
道具を使うことしか特徴が無く、力も魔女に比べると非力で非常にナイーブな生き物だ。
人間は弱く脆い生き物だが、しかし何故か私はこの人間という生き物に興味が湧いてきた。
暫く私は人間の住む他の村や国へ出向き、人間を観察することにした。
魔法が使えないことに加え、人間には性別があること。そして新しい命は交配で生まれ、蘇ることができないということ。
魔女に獣の性別要素を取り入れ、魔法を取っ払った存在が人間であることがわかった。
それから私はもっと人間を知るために何体か人間を捕まえてみた。
さっそく一体解剖して一部始終見てみる。
ほとんど体内の構造も私たち魔女と一緒だった。
しかし、魔法粒子は持っておらず、体の構成は似ていても、体内に生成している成分は全く違うことがわかった。
さらに人間の生活を観察していると、私はもう一つ人間の特徴に気がついた。
それは我々個人を第一とする魔女と違って、人間は群れを成すことを第一としているということだ。
彼らは集団生活に長けており、国という集合体を結成している。我々の魔女会に似たような組織体である。
国には頂点に立つ者がいる。頂点に立つものは数人いる国もあれば、一人だけの国もある。
彼らは国という枠で上下階級を定め、集団として生活をしているのだ。
アルヴェ
「なるほど……。人間はどちらかと言えばハチやアリに近い存在だ」
「奴らは集団を成して、それぞれの役割を担って生活をしている」
「奴らは弱いからこそ群がる。それが生き残る上で重要な要素を占めているというわけか」
そして私は思い切って人間の”一国”を滅ぼしてみた。
人間は道具を使っているため、生命体としては賢い部類に入るが、決して戦闘には向いてはおらず、下級魔女1人でも絶滅させることができるとわかった。
彼らは復活することができないため、やはり生命体としても獣と同様に弱い生き物だ。
アルヴェ
「面白い……」
「ああ……誰かにこのことを共有したい……でも他の誰かにこの生命体を教えるなんてもったいない気もする……」
「そうだ……ソフィアなら教えてやってもいいかな」
「あいつ……こんな面白い生命体がいることを知ったらさぞ喜ぶだろうね」




