不死山11
ルイたち一行は洞窟の中を歩いて進む。
ルイ
「……寒いな」
洞窟へ入ってきた時に比べ、寒さが増していた。
一行は前へ進むたびに洞窟の内壁がどんどん氷づいていることに気づく。
ミランダ
「この壁の氷……もしかしたら近くに魔女がいるかも」
彼女たちは警戒し始め、慎重に歩き始めた。
前へ進めば進むほど寒さが増していく!
ミランダ
「異様な雰囲気を感じる……」
トランヴェル
(私が先に見てくる。ちょっとそこで待機してて)
ルイ
「わかった!」
トランヴェルは洞窟の先へ飛んでいき、近くに敵がいないか確認しに行った。
内壁は氷漬けにされており、明らかに魔女がいそうな雰囲気だ。
トランヴェル
(……誰もいないな。まだ先は長そうだ)
トランヴェルはある程度先まで進み、敵がいないことを確認し、
ルイたちのところへ戻ることにした。
バチバチバチ!!!
トランヴェルが引き返そうとしたその時、ルイたちがいる方角から何か破裂する音が聞こえてきた!
トランヴェル
(なんだ!?)
トランヴェルは急いでルイたちの元へ向かう!
バチバチバチ!!!
ルイ
「グッ!?」
ミランダ
「なんでカリア!?」
ルイとミランダはいきなりカリアから攻撃を受けた!
カリアは強力な電気魔法を生成し、ルイとミランダの全身を麻痺させていた!
カリア
「ごめんね二人とも」
ルイ
「ど…どういうつもりだ」
ルイとミランダは感電して、思うように身動きができない。
カリア
「さあ二人を連れてきたわよ!魔女ソフィア!!」
コオオオオオオオオオ……
辺りがさらに寒くなり、突如ルイたちの目の前に巨大な氷の壁が出現した!
そしてその氷の壁から魔女ソフィアが出てきた!
ソフィア
「良い働きだったわ人間」
ルイ
「どういう…ことだ!?」
ミランダ
「そんな…カリアまさか!?」
カリア
「ごめんね二人とも。私の任務は二人を魔女ソフィアの元まで連れてくることだったの」
ルイ
「こいつ…魔女に洗脳されていやがった!?」
ソフィア
「あらあ……そういうあなたもついこないだ洗脳されていたのにね」
「まあ…あの時はまだ洗脳魔法ではなく、洗脳道具を使っていたから簡単に洗脳が解けてしまったけど」
ルイ
「ッ!?」
ソフィア
「でも今は違う……。どんなに強力な魔力を持つ人間でも私の魔法で洗脳できることがわかったわ!」
「あはははははははっ!!!」
ソフィアはいい笑顔で高笑いする!
トランヴェル
(ルイ!ミランダ!!)
トランヴェルがルイたちのところへ戻ってきた。
カリア
「トランヴェル。そうだあなたも捕まえないと」
トランヴェル
(これは一体何の真似だカリア!?)
ミランダ
「トランヴェル!!早く逃げて!!」
ソフィア
「トランヴェル……?」
「さっきからあなたたちは一体何の話をしているの?」
カリア
「魔女ソフィア。あなたが捕まえたフクロウがいるでしょ?そのフクロウの精神がそこにいるのよ」
ソフィア
「精神…?」
「あのフクロウの?」
カリア
「そう。今あなたが持っているフクロウはものの抜け殻」
「フクロウは精神と身体を分けているの。今私の目の先にそのフクロウの精神がいるわ」
ソフィア
「どこに?どこよ?」
カリア
「トランヴェルの姿は私たちじゃなきゃ見えないの」
「ほら早くしないと逃げられてしまう」
ソフィア
「捕まえなさいカリア!そのトランヴェルとやらを私の前まで持ってくるのよ!」
トランヴェル
(まずい!?)
カリア
「魔女ソフィア。トランヴェルの体をここに出して。トランヴェルが精神状態にいられるのも30分ぐらいと聞いているわ」
「時間が経てば、その体へすぐ戻るはずよ」
ソフィア
「そうなの?ならフクロウの体を取り出しましょう」
ソフィアは氷の壁からトランヴェルの体を取り出す!
トランヴェル
(!?)
フィイイイイイン!!!
トランヴェルの黄金の精神体が、ソフィアが取り出したフクロウの体へと戻っていく!!
トランヴェル
(な!?)
ソフィアがトランヴェルの体を取り出した瞬間、あったという間にトランヴェル精神が、フクロウの体へ戻ってしまった!
カリア
「魔女ソフィア。今トランヴェルの精神がそのフクロウの体へ入っていったわ」
ソフィア
「本当に?どれどれ」
バチバチバチ!!!
トランヴェル
(あがががががが!!?)
ソフィアは両手でトランヴェルの体を焼き焦がしていく!
トランヴェルはジタバタ暴れだし、ソフィアから逃れようとするが、
がっしりとソフィアの両手に掴まれて抜け出せそうにない!
ソフィア
「本当だわ。フクロウが動き出した!!」
「以前、解凍して身体を調べようとした時は全く動かなくて死んだのかと思ったけど」
「これはこれは面白い生命体がいたものね」
ピカアアアアアアア!!!
突如トランヴェルの体が発光した!
ソフィアは一瞬気が緩み、トランヴェルを手放してしまった!
トランヴェルの能力の一つである、緊急トリガーが引かれたのだ。
ソフィア
「うう…まぶしいわね。そういえば以前もこれやられたことあったわ」
トランヴェルはソフィアから離れ、逃げていく!
ソフィア
「カリア!あのフクロウを捕まえなさい!」
カリアはソフィアの指示に従い、トランヴェルを捕まえようと飛び出す!
トランヴェルはあっという間にカリアに捕らわれてしまう!
トランヴェル
(やめろ!カリア!!離せ!!!)
カリア
「ごめんねトランヴェル。これも魔女の命令なの」
ミランダ
「トランヴェル!!」
ミランダは右手で回復魔法を唱え、自分の体を麻痺状態から正常状態へ戻した!
ミランダはカリアに向かって走り出す!
しかし、ミランダの前にソフィアが回り込む!
ソフィア
「邪魔はさせないわ」
ソフィアはミランダにクロノブレイクを放つ!!
ミランダは直撃を喰らい、徐々に体が魔氷に覆いつくされていく!!
ルイ
「ミランダ!!」
ミランダ
「何の…!!」
ミランダは左手の魔法で魔氷を溶かしていく!!
ソフィア
「!!」
「クロノブレイクが!?」
ソフィアはいとも簡単に魔氷が溶かされる様を見て驚きが隠せない様子だ。
ミランダは魔氷を溶かしきって、さらに左手をソフィアにかざして魔法を放つ!!
ドドドドドドドドド!!!
ミランダの未知なる魔法がソフィアにダメージを与えていく!!
ソフィア
「何……こいつの魔法…!?」
ミランダ
「そこをどいて!!魔女!!」
バシュウウウウウ!!!
ミランダの左手の魔法が炸裂し、ソフィアの体を吹き飛ばす!!
ソフィア
「ぐッ!?」
カリア
「魔女ソフィア!!」
トランヴェル
(カリアが洗脳されているなら、サラの時のようにカリアの心の中へ入って何とか洗脳を解くしかない!!)
トランヴェルは心の深海を泳ぐ能力を発動し、精神離脱してカリアの心の中へと入っていく!!
トランヴェル
(ごぽごぽごぽごぽ……!?)
トランヴェルはカリアの心の海へ入り、記憶の波に流されていく!!




