表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
237/374

ユーリ大陸奪還作戦

ラウル研究所での戦いから約半年。

ユーリ大陸の上空に航空機が数十機飛んでいた。


ドラフ

「ついにこの時がやってきたか」


以前行った魔法障壁装置の実験から約3ヶ月。

これまでドラフは世界サミットを通じて全世界に魔法障壁装置の展開を推進してきた。

そして、彼が世界サミットで発案したユーリ大陸奪還作戦をついに実行する時がやってきたのだ。

本作戦は世界サミットの参加国、つまりは全世界の国が団結して行う人類最大規模のものだ。

かつて全人類が力を合わせて行う作戦は人類史にはなく、今回が初の全人類共同作戦となる。

各国の空軍を徴収し、魔法障壁装置を航空機に取り付け、そして空から魔法障壁装置を投下し、魔法障壁を展開させて魔氷を溶かすという内容だ。

本部はクラフト国のラウル研究所に置き、そこでドラフたちが指揮を行うことになった。


ユーリ大陸奪還作戦は全部で13段階に分けられる。1段階につき、約1割の魔氷を溶かし、数日に渡り魔氷を溶かす計画だ。ドラフたちの傍らにはリリィ、アマミ、そしてミスリルの姿もあった。

彼らもまた、この作戦に向けて、開発、実験を繰り返してきた。

彼らが生み出した魔法障壁装置と魔女対抗具は全世界に浸透し、そして本作戦の要として扱われることになった。投下型魔法障壁装置の開発者の代表としてここで作戦の結果の行方を見ることになった。


一方、トランヴェルや、トランヴェルの魔女たちはラウル研究所からは離れ、クラフト国の航空機の中にいた。ユーリ大陸の上空で彼らはいつでも戦闘できるように、待機しているのだ。

というのは、今回の作戦中に十中八九魔女たちがまた出現するだろうと踏んでいた。

その時は彼らが率先となって魔女と戦うことになっている。

彼ら以外にも魔女対抗具で訓練した世界中の兵士たちが集結しており、同じく各航空機の中で待機していた。


そしてたった今、数十機の航空機が所定の位置にたどり着いた。

人類初の世界規模の作戦……そしてこれからを左右する重大な作戦が今開始されようとしていた。


アイナ

「龍とか来るのかな……?」


アイナは若干不安気な様子でぽつりとつぶやいた。


ミランダ

「恐らくは……ね」


イヴ

「大丈夫よアイナ。あれだけ訓練してきたんだから、どんな敵が来てもきっと勝てるわ」


アイナ

「……うん」

(また……ミンカたちと戦うことになるのかな……?)

(今度ミンカとナタリーに会ったら…私は……)


ドドドドドドドドド!!


ユーリ大陸を飛び交っていた航空機のハッチが次々と開いていく。

航空機の中から魔法障壁装置がむき出しになる。


ミランダ

「ついに始まるのね……」


トランヴェル

(ああ…この作戦で吉と出るか凶と出るか)


ルイ

「吉と出てくれないと困る」


トランヴェル

(おいルイ。体の調子は大丈夫か?)


ルイ

「大分体調は良くなってきたよ…。おかげさまでね」


イヴ

「よかったわね。解放されて」


ルイ

「黙れイヴ。お前らに閉じ込められたあの数か月間…忘れもしないからな!!覚えておけよ!!」


ルイは3か月前、ラウル研究所に引き取られてからずっと拘束をされていた。

というのは、彼女がまだ魔女に洗脳されているのではないかと疑われていたからだ。

ミスリルが作成した洗脳探知機で何度も検査を行い、また体内検査で、洗脳魔法の形跡が無いか何度も調査を行い、特に異常はないと結果が出たのだ。

つい数日前、ルイは洗脳されていないことがわかったため、やっと釈放された。


トランヴェル

(落ち着けルイ。あれは仕方ないことだったんだから)


ルイ

「仕方ないで済まされてたまるか………」


フィイイイイイン……


<パイロットへ通達。パイロットへ通達>

<これより魔法障壁装置の発射カウントダウンを開始する>

<各機、準備完了次第報告せよ>


パイロットたちはラウル研究所の本部室へ準備完了したことを通達していく。


ガタラフ

「全機通達確認。ドラフさん…カウントダウンを」


ドラフ

「あー…あー…これよりカウントダウンを開始する」

「10秒カウント後、各機投下するように」


リリィ

「ついに……はじまる」


ミスリル

「頼む…魔女は来ないでくれ……」


ドラフはカウントを開始した。

ただならぬ緊張がこの場を支配する。


「4…3…2…1…」


ドラフ

「投下開始!!」


ドラフの合図と共に各航空機から魔法障壁装置が投下される!!

投下された魔法障壁装置はユーリ大陸の魔氷の上に突き刺さり、魔法障壁を展開する!!


フィイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!


次々と投下された魔法障壁装置から魔法障壁が展開していく!!


バチバチバチバチバチバチ!!!


魔法障壁が魔氷を次々と溶かしていく!!

そして一瞬にしてユーリ大陸の一部の魔氷が解けた!

森林や地面、街が浮き彫りに見えてきたのだ!


ドラフ

「よし!!成功だ!!」


本部室では大きな歓声が広がっていた。


リリィ

「やった!やったああ!!やった!!」


リリィはあまりの嬉しさに隣にいたアマミの体を両手でつかんで

彼の体を大きく揺らしていく!


アマミ

「お……落ち着けよリリィ!!」


ミスリル

「……ふう…」

(まずは第一段階は成功したか)


ガタラフ

「やりましたねドラフさん」


ドラフ

「ああ…これならいける」

「よし!!第一陣全機帰還しろ!!」

「そして第二陣準備開始!!」


ドラフの指示により魔法障壁装置を投下させた航空機はユーリ大陸から離脱していく。

続いて他の航空機がユーリ大陸の上空へ向かっていく。


ガタラフ

「第1段階目クリア。第2段階へ移る」


休んでいる暇などは無い。まだ一部の魔氷を溶かしただけで、ユーリ大陸はまだまだ魔氷に覆いつくされている。全体の10パーセントの魔氷を溶かすことに成功したが、引き続き、第2、第3と魔法障壁装置を投下させなければならない。

時間が経てば、せっかく溶かした魔氷が再び復活してしまうのだ。

ドラフたちは引き続き本作戦にあたっていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツイッター:@hukurai_eichi
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ