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世界の変革1

魔女の襲撃から翌朝。イヴたちはラウル研究所の施設の修復作業にあたっていた。

昨日、イヴたちは龍や魔女たちを追い返し、ラウル研究所を守り切ることができた。

昨日の戦闘は幸いなことに死者は0人。負傷者が数人ですみ、今回の戦闘による被害は最小限に抑えられた。

勝因はやはり魔法障壁装置。これが想定以上に効果を発揮し、魔女や龍の攻防に大きく貢献することになった。そして魔法障壁装置以外にもドラフ考案の魔女対抗兵器、防具、銃器が役に立った。

これらは龍の攻撃に耐えることができ、また龍や魔女に対しても傷を負わせることができた。


イヴたちは魔法で施設を修復していき、やがて修復作業に明け暮れ、この日はおおよそ3分の1の修復が完了した。彼女たちは一度宿へ戻り、休憩を行うことにした。


トランヴェル

(お疲れ様。あんなにボロボロだった施設が今日一日でほぼ元通りになるとは…大したもんだ)


ミランダ

「もう疲れたよ~へとへと~」


ミランダはクタクタな様子で、ソファにもたれかかる。


イヴ

「大方は片付けましたが、まだまだ施設内は修復しがいがありますね」


ミランダ

「イヴさんは真面目だなあ…私もう疲れて何もしたくないよ」


ミランダは3つのコップにそれぞれお茶を注ぎ、それをイヴとアイナに配る。


アイナ

(……)


ミランダ

「アイナ?大丈夫?」


アイナ

「あ…うん!大丈夫!お水ありがとう」


アイナは何か考え込んでいる様子であり、いまいち元気が無い。


ミランダ

「アイナ疲れたでしょう」

「もう寝よっか?」


アイナ

「うん……」


ミランダ

「イヴさん、トランヴェル。先にもう寝るね。アイナ連れて部屋に戻るよ」


イヴ

「わかった。明日も修復作業頼むよ。ミランダ」


ミランダ

「…………そ、そうだね………が………頑張る」


ミランダは嫌そうな感じで、アイナを連れて部屋を出ていき、寝室へと向かっていった。


トランヴェル

(……アイナ。大丈夫かな)


イヴ

(まあ…無理もないです)

(アイナの友人が魔女の手下として戦っていたのだからショックを受けているのでしょう)

(友人が生きていたと思いきや、戦うはめになるとは、彼女にとって複雑な心境にもなりましょう)


トランヴェル

(うん……)


ポーン


玄関からチャイム音が聞こえてくる。


トランヴェル

(誰か来たな)


イヴ

「誰だろうか……」


イヴは玄関のドアへ行き、部屋の前に誰がいるかモニターで確認する。モニターにはドラフとガタリアの姿があった。イヴはドアを開け、ドラフとガタリアと対面する。


イヴ

「何の用だ?」


ガタリア

「お疲れのところ、すまないイヴさん」

「少し話がしたくて………今時間をいただけますか?」


イヴ

「……入れ」


イヴはドラフとガタリアを部屋の中へ入れる。


ドラフ

「すまないなイヴ。修復作業で疲れているだろうが、お前に話すことがあるんだ」


イヴ

「疲れていることを労わってくれるなら、早急に終わらせてほしい」


ドラフ

「早急に終わらせたいところだが、大事な話でな」

「緊急で明日、世界サミットに参加することになってな」


イヴ

「世界サミット?ムーンチャイルドで行われてた世界首脳会議のことか?」


ドラフ

「そうだ。今回の戦闘で我々は人類初の快挙を挙げた。

世界の首脳会議がたまたま当日に開催されていてな。明日、龍と魔女の撃退についても議論をしたいということだ」


イヴ

「各国のトップどもは、我々が戦っている間に悠々と話合いをしていたのか……驚きだ」


ドラフ

「まあそう言ってやるな。たまたま世界サミットの日に龍の襲撃があっただけだ」


イヴ

「奴等は龍の襲撃があると分かっていながらも椅子に深く座り込み、ただ見ているだけの盆暗にすぎん。龍の現れたところに即座に援護を出すべきだ」

「奴らは話し合いばかりしていて何も実績に結びつかない。いわば無能の集まりだ」


ドラフ

「イヴ。人間の首脳たちは自国の利益のために他国と友好を築こうとしているだけにすぎん。その会議にそのような期待はするものではないだろう」


イヴ

「世界が龍や魔氷、魔女に脅かされている今、いまだに自国の防衛のみ考えている奴らに未来は無い」

「人類一体として各国で手を合わせなければ、人間は滅ぶだろう」


ドラフ

「それは同意だイヴ。そこで朗報だ。世界サミットでついに人類初の共同作戦がやっと計画される」


イヴ

「ふん……。今更だがな。どうせ我々の実績を元に作戦を考慮するといった内容だろう。大した話ではない」


ドラフ

「大方その通りだが、それ以上に面白いことになるぞイヴ」


イヴ

「どういう意味だ?」


ドラフ

「この人類初の計画。我々の”指揮”で立案することになった」


イヴ

「……なるほど。だからお前はそんなにウキウキしているのか」


ドラフ

「その通りだ!私は今非常にワクワクが止まらないのだ!全人類が力を合わせて魔女たちを倒すというその人類最大のプロジェクトに私は感動している!!」


イヴ

「……そう簡単にうまく進めばよいのだがな」

「指揮権がお前らにあろうと、各国という概念がある限り、そう自由にはできない」

「各国のトップたちが口出しして、計画の実行が遅くなるのが目に見えている」


ドラフ

「そんなものは百の承知。お前が言うように反対する者も出てくれば、邪魔してくる者も出てくるだろう」

「しかし、それはそれで人類には必要なことなのだ。議論しあって導き出した答えこそが最適に間違いないからな」


イヴ

「なるほど。今後お前たちは相当大変になりそうだな。もう明日からいなくなるのか?」


ドラフ

「飲み込みが早いなイヴ。その通りだ。我々は明日から世界サミットで計画を立てることで忙しくなる」

「しばらくは研究所に戻ってくることはできないだろう」


イヴ

「なるほど。それではこれからの研究はどうするつもりだ?」


ドラフ

「もちろん。研究は進めていく。そこはリリィとミスリルたちに任せている」

「彼らは彼らで魔法障壁装置の複製をメインに進めてもらう」

「それからイヴ。お前にももしかしたら世界サミットの計画に呼ぶかもしれん」


イヴ

「冗談じゃない。私は世界サミットに参加することはお断りだ」


ドラフ

「何だと………?」


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