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十六夜前夜5

午後21時ごろ……ガゼルは御神体にたどり着く。

周りには国営部隊が集結しており、御神体の中にはドラフ率いる調査団がいた。


ガゼル

(……こんなに兵士が…こいつら本当にララを殺す気なのか……?)


ドラフ

「ガゼルさん…お越しいただいて誠に感謝しております」


「ガゼルさんにもご一緒にお伺いしたいことがございましてね…」


「少々待っていただけないですかね」


ガゼル

「……」


ガゼルは内心落ち着かない様子でいた。

一体何が始まるのか……彼にとってこの待ち時間は不安でしかたがなかった……。


ペルー村は異様な雰囲気に包まれていた……。

国営部隊は皆武装しており、御神体の周りに身を潜めている……。また御神体の奥には魔女狩り部隊が待機している。


マベル

「面白くなってきたねぇ」


魔女マベルは村の一部始終を水晶越しにみていた。

その隣でトランブェルも一緒に見ていた。


トランヴェル

(昨日の悲惨な事件の後、まさか魔女化したララを討伐しに国から部隊が来るとは思いもしなかった……)


(このままではまずい……)


(このままララを見殺しにするわけにはいかない…。

私は彼女と村を救うべく彼女を魔女化させたのだ。)

(ここから精神状態になってララへ会いに向かうか……)


トランヴェルは1日に30分だけ精神を体から離脱させることができる。


(今はもう21時過ぎだ……。そろそろ日が変わってしまう……精神離脱をするなら今しかチャンスがない)


(しかし、どうやってララを助ければよいのだろうか……)

(ララに真実を伝えてこの村から逃げるように促すのがベストか……?)


トランヴェルはどうしたらララを救われるのか必死に考えていた。


マベル

「お……きたきた!」


水晶越しには一人の少女が御神体へ向かっている。


トランヴェル

(まずい……早く決断しなければ……)


トランブェルは急いで自分の体から精神を離脱させた。

精神離脱により彼の体はものの脱け殻となった。

精神状態になった彼の姿は魔女にも人間にも見ることができない。唯一彼の黄金の姿を見ることができるのは彼が話しかけた者だけだ。

トランヴェルは急いでララのもとへ向かう。


(ララが御神体につく前に接触しなくては……)


ララはペルー村へ入り、数多くのろうそくによって照らされた道を進んでいく。


ララ

(すごい……きれい)


照らされた道はイルミネーションのように美しく見える。

この道は御神体へと続いていた。


トランヴェル

(ララ!!)


ララ

(!?)


どこからか声が聞こえる……。

ララは声が聞こえる方へ振り向くとそこには昨日見た黄金のフクロウが見えた……。


ララ

「あれは……」

「昨日の……鳥……」


トランヴェル

(引き返すんだ……ララ)


ララ

「え……」


トランヴェル

(御神体へ行けば……君は襲われる……)


ララ

「どういうこと……?」


トランヴェル

(国の奴等は君を魔女として疑っている……君が魔女とわかれば彼等は君を殺しにかかってくるだろう)


ララ

「……」


ララは突然のトランヴェルの言葉に困惑していた……。


トランヴェル

(御神体へ行くな……このまま村から出るんだ!……それしか君の助かる道はない……!)


ララ

「どうして……?」


「どうして魔女だと殺されるの!?」


「どうしてこの村から逃げなきゃいけないの!?」



トランヴェル

(……ララ……時間がない)


ララ

「私が魔女であることを告白すれば皆わかってくれるかもしれない……」


トランヴェル

(ダメだ……奴等は魔女と聞いたらきっと君を殺そうとするに違いない)


ララ

「何も話してないのにどうしてそんなことがわかるの!?」


トランヴェル

(お願いだ……ララ……君が思ってる以上に国の奴等は冷酷なんだ……!魔女とわかればこの一連の事件の原因は君の仕業だと判断して襲いかかってくるに違いない!君の話なんて誰も信じてくれない!)


ララ

「そんなのわからないじゃない!どうして何もしてないのに決めつけるの!?」


「私は皆に正直に話すよ……昨日の出来事を……」


「もしかしたら……何かこの力で皆の役に立つかもしれないから!」



トランヴェル

(ダメだ……!ララ……行くな!)


ララ

「あなたには感謝してる……あなたは誰なのかわからないけれど……私を助けてくれた」


「でも私も皆を助けたい……この力で皆の役に立ちたい……魔物を倒すのではなくて…もっと別の使い方で皆に貢献したい……」


トランヴェル

(……ララ)


(でもダメだ………国の奴らはそう考えてはくれない)


ララ

「だからどうして!?あなたは理由を答えてくれない!」


「私はもう嫌だ……皆が苦しんでいる姿を見るのは……」


「私は説得してみせるよ……ちゃんと話し合えば皆だって理解してくれる……!」


「私は人を信じているから」



トランヴェル

(行くな!ララ!)



ララは駆け出す。御神体に向かって……。





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