サラ1
街の中に小さな公園があり、その公園の原っぱで
女の子が一人でボール遊びをしていた。
そこに紳士服を着た一人の男性が女の子に声をかける。
「サラ、こっちへおいで」
どうやらその男は女の子の父親のようだ。
女の子はボールを両手で持ったまま、父親のもとへ走る。
サラ
「パパ!」
女の子は父親に抱きつき、笑顔を見せる。
その背後では、トランヴェルが木の枝に止まりながら、サラたち親子の会話を聞いていた。
トランヴェル
(どうやら……あの小さな子がサラらしいな)
(そしてあのスーツ姿の男は…サラの父親か)
サラの父親の名前はキマリ。この時はまだダマたちと出会っておらず、
一般の社会人として娘のサラと生活をしていた。
後にダマと出会い、魔女信仰協会に属することになる。
そして最期はノーズに首の骨を折られ死亡した。
トランヴェル
(間違いない……ここはサラの過去の記憶だ)
(確か前潜った時もララの記憶を見ることができた。
恐らくこの世界もララの時と同じでサラの記憶そのものなんだろう)
(ということは…やはり黒い鎧の正体はサラだったということか)
(どうして魔女に加担しているのか、この記憶を辿っていけばわかるはずだ)
トランヴェルは暫くサラの過去の記憶を渡り歩いていった。
最初はサラとキマリの幸せな日々を見ていた。
どうやら母親はいないらしく、二人暮らしのようだ。
キマリは魔女信仰協会で出会った時のような邪悪さは全く感じられず、
娘思いの良い父親という感じであった。
サラも魔女になる前の姿であり、普通の人間の女の子だ。
動きが活発で、キマリのことが大好きなようだ。
トランヴェル
(……この二人は本当に世間一般の人たちと変わらない)
(どうしてこの父親は魔女信仰協会に属することになったんだろうか……)
トランヴェルのいる過去の記憶の世界が巡る巡る変化していく。
突然、雨が降り出した。
ザアアアアアー……
トランヴェル
(雨だ……)
サラ
「そろそろパパが帰ってくる……!」
サラは先ほどより一回り大きくなっていた。
どうやらトランヴェルは、先ほどの記憶から数年経った後の記憶を見ているようだ。
ガチャッ!
サラ
「パパ!おかえり!」
外が大雨の中、父キマリが家に帰ってきた。
しかし、キマリは息を切らしており、なんだか様子が変だった。
キマリ
「サラ!荷物をすぐまとめるぞ」
サラ
「え?」
キマリ
「魔物がここにやってきていると連絡があった。早く家から出ていくぞ!急げ!!」
キマリは急いで家の中の貴重品を取り出し、リュックサックへ詰め込んでいく!
サラは何かなんだかわからないまま、茫然としていた。
キマリ
「サラ!自分の持っていくものを早くまとめろ!暫くはこの家に戻れないぞ!」
サラ
「え…やだ」
キマリ
「早く!!」
サラはいつもと様子が違うキマリに動揺しつつも、キマリの言う通り、自分の荷物を支度していく。
ゴロゴロ!!ガシャアアアアン!!!!
サラ
「っひ!?」
外は大雨だけでなく、雷も鳴っていた!
雷の音がでかく、相当近くに落ちたようだ。
キマリ
「準備はできたかサラ!」
サラ
「う…うん」
キマリ
「よし!行くぞ!!」
キマリはサラの手を引っ張って、家から外に出る!
フオオオオオン……
キマリ
「!?」
魔物の鳴き声が近くから聞こえてくる!
サラ
「何…?狼?」
キマリ
「くそ!!もう来たか!?走っていくぞサラ!!」
キマリは無理矢理サラを連れて大雨の中を走っていく!!




