紅の魔女と凍てついた魔女1
フオオオオオオン………
夜空の中を銀竜が飛んでいる。
アルヴェ
「……どこへ逃げたのかしら」
アルヴェは銀竜と共にミスリルの居場所を探していた。
彼女は魔法陣を展開し、ミスリルの探知を魔法で行う。
アルヴェ
「こっちか」
アルヴェは銀竜へ右へ曲がるように指示し、ミスリルのいるほうへ進んでいく。
アルヴェ
「まさかここまで捕らえるのに時間がかかるとはね」
「遊んでいたとはいえ、そろそろ捕まえないとソフィアに怒られちゃうわ」
(しかし……)
(一部の人間たちは200年前とそう変わらないけれど、中には本当に厄介な奴もいるのは間違いないみたいね)
(アルヴェが人間たちに追い込まれたのも納得するわ……)
アルヴェは目をつぶり、ソフィアと久しく出会った時のことを思い返す……。
………
カツーン………
暗い暗い氷の奥底……。
カツーン…カツーン…
暗い氷の世界で足音が鳴り響く…。
カツーン………
その足音は赤いブーツの底と氷の地面との接触で発せられていた。
赤いブーツを履いて歩いているのはアルヴェだ。
紅いドレスを着用しており、上半身に羽衣を巻いている。
彼女はどんどん奥底へと歩いていく……。
カツーン…
アルヴェは立ち止まる。彼女の目の前には巨大な氷の壁があり、
その氷の壁の中に青い女性がたたずんでいた。
アルヴェ
「ソフィア」
アルヴェは青い女性の名を呼ぶ。
青い女性は目を開けて、アルヴェの姿を目にする………。
ソフィア
「……珍しい。どうしたの?」
アルヴェ
「しばらく魔女会でお前の姿を見ていなかったから、もしかしてこっちの世界にいるんじゃないかと思って」
ソフィア
「あらあら……わざわざ会いに来てくれたの?アルヴェ」
アルヴェ
「ああ…そうだよ。しっかし、まさかお前がこんな姿になっているとは思っていなかった」
「ついに使ったのか……クロノ・ブレイクを」
ソフィア
「ええ……おかげさまでこんな状態になってしまったわ」
アルヴェ
「……ゲームはお前の思うようにいかなかったみたいだな」
ソフィア
「そうね……ゲームは失敗したけど、それはそれでクロノ・ブレイクを試すことができたから落ち込んではいないわ」
アルヴェ
「お前をここまで追い込んだのは人間か?」
ソフィア
「そうよ」
アルヴェ
「人間がそんなに強くなっているとは知らなかった……」
「200年前はあいつらの国を簡単に消滅できたのに。まさかソフィアが負けるだなんてね」
ソフィア
「だって私が人間を強くしたんだもの」
アルヴェ
「魔法を教えたんだっけ?」
ソフィア
「そうよ。あの子たちは全然魔法を使えなかったけど…
ここの石を使って魔法を使えるようにさせたわ」
アルヴェ
「石?なんだそれは?」
ソフィア
「この山の石は私たちの魔法と同じような性質があるの」
「それを人間に取り込ませて魔法を使えるようにしたわ」
アルヴェ
「そんなものがここにあるのか……びっくりだわ」
ソフィア
「人間たちはそれを魔不死石と呼んでいるわ」
アルヴェ
「魔不死石……おもしろい」
ソフィア
「ところで……あなたは何しにここに来たの?」
アルヴェ
「さっきも言ったけど、お前を探しに来たんだ……何をやっているのかなって」
「特に用はないんだけどね」
ソフィア
「そう……」
「じゃあここで一緒に人間たちの行く末を見る?」
「今、私の魔法で龍を召喚しているの」
アルヴェ
「龍を出しているんだ……それはびっくり」
ソフィア
「でもね……一つ気になることがあるの」
アルヴェ
「気になること?」
ソフィア
「4匹召喚したんだけど、そのうちの2匹が私の範疇から外れているのよ」
アルヴェ
「もしかして人間に倒されたんじゃないの?」
ソフィア
「実は1匹すでにやられているのね……」
「でも私が言っている2匹は倒されたわけでもなく、単に私が認識できないでいるの」
アルヴェ
「なんだそれ……人間に何かやられたのか?
それとも他の魔女がこの世界に来ていてお前の龍を操っているとか?」
ソフィア
「わからない……ただこの世界には私たちが知らない存在がいることは確か」
「やけに魔力が高いフクロウがいたり、人間なんだけど魔女並みの魔力を持っている奴もいたり」
アルヴェ
「そんな奴がいるんだ……面白そう」
ソフィア
「そうね……いろいろ想定外なことが起きて楽しいのは間違いないわ」
アルヴェ
「フーン……」
「ところであんたはここで今何やってるのさ?」
ソフィア
「私?今色々やっているよ。ここで」
アルヴェ
「何やってるのか聞かせてよ」
ソフィア
「そうねえ………何から話そうかしら」




