実験3
ドラフ
「さて……この形状のものが果たして複製できる物体であるかどうか」
「何か複製を作動させるトリガーはついているのか?」
ミスリル
「魔力を込めれば作動するようにつくった」
「今試しにやってみる」
ミスリルは自ら作り出した丸い物体に魔力を注いでいく……。
バチッ……
小さい火花が発生し、物体が変形していく……!!
物体から小さい突起が飛び出し、何かを生成しているように見えた。
しかし、その生成も途中でストップし、火花も発生しなくなった……。
リリィ
「……」
アマミ
「止まったか?」
ミスリル
「どうやら失敗したようだ」
ドラフ
「何か突起物はできていたな……もしかしたら生成は行っていたのかもしれない」
ミスリル
「この突起物が魔法を無効化する成分が含まれていれば、そういうことになるかもしれないな」
ドラフ
「ミスリル。お前が持ってきた無効化の物体と今生成した突起物を魔氷に投入してもいいか?」
「無効化の効力も見たいし、今生成した突起物も同じ効果があるかどうか確認したい」
ミスリル
「わかった……試してみよう」
ドラフたちは実験室へ向かい、ミスリルが生成した物体の効果を見ることにした。
実験室にはミランダの魔法で取り除いた魔氷の一部が保管されている。
その魔氷に物体を投入することにした。
本来、魔氷はどんどん広がっていく性質があるのだが、
魔氷を保管している容器にはミランダの魔法が多くつけられており、魔氷の広がりを防止している。
ミランダの魔法を定期的に注入することで拡大を防ぐことができ、保管することが可能になったのだ。
さらにもしも容器から魔氷が広がった時のために部屋中にミランダの魔法を貼り付けている。
魔氷が広がっても全て溶かせるように厳重に取り扱っていた。
ミスリル
「まずは昨晩私が作ったこの物体の効果を見るとするか」
ドラフ
「そうだな……借りていいか?」
ミスリルはドラフに魔女の魔法を無効化する物体を渡した。
ドラフは魔氷が保管されている実験室に入り、魔氷が入っている容器を手に取り、蓋を開けた。
ドラフ
「まずは無効化する物体を投入する」
「リリィたちは魔女粒子と魔法粒子の測定をしてくれ。どのくらい魔氷を溶かせるか数値化する」
アマミ
「りょーかい」
イヴ
「直に手で入れるつもりか?危ないぞ」
ドラフ
「大丈夫だ。もちろん離れて投入する」
ドラフは背中に背負っていたリュックからアーム機材を取り出す。
ドラフ
「こいつで物体をつかみ、容器へ投入を行う」
アマミ
「なんて原始的な機械だ……久しぶりに見たぞ」
ドラフ
「魔法で物体を掴みたいところだが、魔力を込めてしまうと何が起きるかわからんからな」
「できるだけ手や機械で投入したいのだ…遠隔で投入する分にはこいつが一番適切だ」
ドラフは容器から離れたところから、アームを操作し、アームの先端についている指で物体を掴む。
そしてそのまま物体を容器に運ぶ。
ドラフ
「行くぞ」
リリィ
「どうぞ!」
アームの指から物体が離れ、容器の中へと入っていった。
ジュウウウウウウウ……!!
物体は魔氷と接触する。物体と魔氷の接触部分から煙が発生している。
ゴオオオオオオオ!!!
魔氷は一瞬にして消え去り、物体は半分ほどその場に残った!
ドラフ
「素晴らしい……!」
アマミ
「おお……本当に溶かした!」
リリィ
「しかも物体はまだ残ってますね!」
トランヴェル
(すごいな……)
イヴ
「人間が作り出すものは驚くものばかりですね……魔法が無くても科学だけでも人間はまだ進化できそうです」
トランヴェル
(そうだよな……もはや科学そのものが魔法みたいなもんだ)
リリィ
「数値としてはミランダの魔法とペルー村の素材とほぼ同等です」
ドラフ
「そうか。了解した」
ミスリル
「さて……問題はこっちだな」
ミスリルはドラフに先ほど生成した突起物付きの物体を手渡す。
ドラフ
「突起物だけ取り出し、それを投下してみる」
ミスリル
「うむ……」
ドラフはまたリュックに手を入れ、ゴソゴソと何かを探す。
そしてリュックからノコギリを取り出した。
ドラフはノコギリで物体の突起物を切り落とす。
ドラフ
「さて……実験だ」
ドラフは魔氷が入った容器を手に取る。
蓋を開け、アームで突起物を掴み、容器の口までそれを運んだ。
ドラフ
「さあ……投入するぞ」
アマミ
「りょーかい」
ドラフは突起物を容器の中へ投入した……。
ジュウウウウウウウ……
突起物は徐々に溶けていき、魔氷も同時に溶け始めていた。
シュウウウ……
突起物がすべて無くなった。
リリィ
「ほんとうにわずかな量ですが、魔氷を溶かしましたね」
ドラフ
「ということは、あの突起物は最初に投入した無効化する物体と同じ物であると言えるだろう」
アマミ
「つまりは複製ができていたということだな!」
ミスリル
「この物体に魔力をもう一度念じて複製できるか試してみる」
ミスリルは再び物体に魔力を注いでいく。
物体が変形していき、また突起物が出てきた。
ミスリル
「……これ以上は出てこないな」
「どうやらこの突起物ぐらいの大きさは複製できるみたいだ」
ドラフ
「すばらしい」
アマミ
「すげえ……もしかしたらもっと良い複製物質がつくれるんじゃないか?」
ミスリル
「そうだな……少し休憩してまた生成してみる」
ドラフ
「ミスリル。こんなすごいものを作れるだなんて……感謝の言葉しかない」
ミスリル
「いや……感謝したいのはこちらのほうだ」
「ドラフ…それからイヴ。あなたたちが私に勇気をくれたんだ。だから作れた」
イヴ
「あなたこそ、あんな状態の中でよく作ってくれました。ありがとう」
ミスリルは嬉しそうな表情を浮かべ、椅子へ腰を下ろした。
ミスリル
「少し……休む」
ドラフ
「わかった」
ミスリルは目を瞑り、小休止を取り始めた。
ドラフ
「さあ、実験を始めようか」
ミランダ
「はい!」
ミランダは力強く返事をする。
アマミ
「今日はなんだか気合が入ってるな」
ミランダ
「皆が頑張ってるんですから私もうかうかしてられないのです!」
ドラフ
「良い心がけだ」
ドラフたちはミランダの魔法を分析し、魔氷打破の研究を進めていく。




