十六夜前夜3
18時頃、ララとカリアはペルー村の病院に向かっていた。
カリア
「ララが無事で本当によかった…」
ララ
「カリアこそ…昨日村にいなくてよかった…」
カリア
「ララはあの日…魔物と遭遇しなかったのかな?」
ララ
「ううん…私必死に逃げてたよ」
カリア
「…」
(そうか…ララは家族が皆もう…)
ララ
「私ね…今日国の方からお話があるって言われてるんだ…カリアも何か聞かれた?」
カリア
「んー…特に何も聞かれてはいないねぇ」
ララ
「そっかあ…」
「今日…なに聞かれるんだろ」
カリア
「昨日のことじゃない?」
ララ
「だよねー」
ララは調査団から何を聞かれるのか不安でいた。
昨日の一部始終を説明する訳にもいかず、どう説明したらよいか悩んでいた。
ララ
(魔女になって魔物を倒したなんて言ったところで信用してもらえないだろうし…)
(もういっそのことありのままのことを話した方がいいかな…)
(…誰も信じてはくれないだろうけど)
ララは昨日の出来事を皆に伝えたくてウズウズしていた。
二人はペルー村の病院にたどり着く。
病院は独自に魔法障壁を貼っていたため、周りの建物に比べ被害が少ない。普段の病院は混むことはないが、現在はどこも満室であり、通路も潰して多くの患者が横たわっていた…。
ララは軽症であるため、今後病院の手伝いをすることになったのだ。
ララ
「カリア…ここまで見送ってくれてありがとう」
カリア
「じゃあまたねララ!」
ララ
「カリアも帰り遅いから気をつけて」
カリア
「大丈夫…だいたい1時間くらいでこられたし、真っ暗になる前には家には着くよ」
ララ
「また明日休み時間に会いに行くから!」
カリア
「うん…わかった!待ってる」
カリアはララに大きく手をふり、病院から出た…。
カリア
「…さてと…」
カリアは帰る前に自分が住んでいた家を探した。
しかし、景色が変わり果ててどこに自分の家があるのかわからない…。
カリア
(ダメだ…見つからない)
(暗くなってきた…今日はもう帰らないと)
カリアが諦めて帰ろうとしたとき、どこからかひそひそ話が聞こえてきた…。
空き家の壁から覗くとそこには騎士団員が二人会話をしていた。
騎士団員A
「今夜21時に御神体前に集合だと」
騎士団B
「そんな遅い時間に…なんだろうか?」
騎士団A
「魔女討伐指示が出ている…」
騎士団B
「討伐…?まさか魔女が見つかったのか」
騎士団A
「そのようだ…」
カリア
(魔女…?)
カリアは身を潜めて騎士団たちの会話を盗み聞きしている。
騎士団員A
「この村の被害はその魔女の仕業ということらしい」
騎士団員B
「なるほど…通りで村も魔物も壊滅的な訳か……」
騎士団員A
「しかもその魔女は少女の姿をしているとのことだ」
騎士団B
「少女……魔女は少女にも化けれるのか……そんな姿で村に潜まれたら気づくことはできないな……」
騎士団A
「今日はその魔女と思われる少女をあの巨像の前で問い詰めるとのことだ」
「もしその少女が本当に魔女であれば討伐の指示が下るだろう」
騎士団B
「その時は覚悟して戦わなければならないということか……」
カリア
(村に魔女が……?少女って誰のことだろう……)
カリアはララが調査団と話をする予定だと言っていたことを思い出す…。
カリア
(……まさか…ね)
カリアは不安に思うものの、とりあえずガゼルのもとへ帰ることにした……。




