ミスリル1
夜の9時頃。トランヴェルはイヴと共に宿へ戻り、今日の出来事を話し合って情報を共有をしていた。
トランヴェル
(あのミスリルという男はノーズが連れてきた奴だったのか)
イヴ
「”ノーズが連れてきた”というより”ノーズが逃がした”が正しいです」
「フンボルトの兵士によれば、ノーズは魔女と戦っていたそうです」
「今どこにいるのか、生きているのかさえ不明です」
トランヴェル
(そうなんだ……まあ、あいつやダマは中々しぶといからな。なんやかんやで生きているだろう)
イヴ
「しかし、彼一人では魔女に勝てるとは思えません」
トランヴェル
(まあ、ノーズが倒されようが関係ない。元々敵対していたし)
イヴ
「そうですか……。彼はまだこれからも必要な存在だと思いますが」
トランヴェル
(ノーズのことはさておき、そのミスリルって奴は協力してくれそうにないのかな?)
イヴ
「わかりません。ただどうやら魔女に襲われて精神状態がよろしくないようです」
「協力したくても、そもそも協力できるほどの力が残っていないのかもしれませんね」
トランヴェル
(それは困ったな……)
イヴ
「彼が協力してくれるかどうかは、彼次第でしょう……」
トランヴェル
(ふむ……)
(まあ……様子見か……)
トランヴェルたちは話し合いを終え、就寝することにした。
イヴがベッドに入ろうとした瞬間、隣の部屋から叫び声が聞こえてきた!
「うわあああああああ!!?」
トランヴェル
(なんだ!?)
イヴ
「隣の部屋から聞こえてきましたね」
隣の部屋からぶつぶつと声が聞こえてくる……。
「ダメだ……殺される」
「もういやだ……」
イヴ
「……隣にいるのはまさか……ミスリル?」
隣の部屋から聞こえてくる声が徐々に大きくなっていく。
「私がいては皆が不幸になる!!私は生きていてはダメなんだ!!」
トランヴェル
(おいおい!?大丈夫か!?)
イヴ
「本当に自害するかもしれませんね」
イヴは部屋のドアを開け、隣の部屋に駆け出す!!
イヴは部屋をノックするが、反応が無い。
むしろ、部屋の中から物騒な声が聞こえてくる。
「死にたい!死にたい!!いや……死ななければ!!」
イヴ
(まずいな)
イヴはドアを蹴破り、ミスリルの部屋の中へ入る!!
イヴ
「おい!」
ミスリル
「っひ!?」
ミスリルはドアを蹴破って入ってきたイヴの姿を見て、尻込みする。
そして彼の手には拳銃が握られていた。
イヴはミスリルの手を蹴り、彼の手から拳銃を離す。
イヴ
「落ち着けミスリル」
ミスリル
「ひっひひ……」
ミスリルはおびえた様子で身を縮ませる……。
イヴ
「やれやれ……困ったものだ」




