変革の兆し2
一足先に研究室へたどり着いたドラフは真っすぐ魔法障壁装置へ向かう。
魔法障壁装置はラウル研究所の研究員が解析を行っていた。
そしてそこには大勢のクラフト国軍が傍らで魔法障壁装置を見ていた。
どうやら解析している様子を見ているようだ。
ドラフ
「軍人が何故研究室にいる……邪魔だな」
「どけどけ!!」
ドラフはずかずかとクラフト国軍を除けて魔法障壁装置へ向かう!
後方からクエリたちがドラフを追いかけて研究室にたどり着く。
そしてドラフが軍人を罵倒しながら奥へ進んでいる姿を目にする。
クエリ
「ドラフさん……軍に対してあんな態度取って大丈夫かなあ…?大丈夫かなあ!?」
クエリは青ざめた顔で軍人を除けていくドラフの姿を見ていた。
ドラフは軍人を押し切って、やっとのことで魔法障壁装置の前に着く。
ガタリア
「ドラフさん!お戻りでしたか」
そこにはガタラフの姿と、そして魔法障壁装置の後ろで誰かが作業をしていた。
ドラフ
「ガタラフさん…一体何をしている?」
ガタガタ……ガシャンガシャン!!
魔法障壁装置の後ろで何か作業をしている音が聞こえる。
ドラフ
「おい!後ろで何をしている!!」
ドラフは急ぎ足で魔法障壁装置の後ろへと回る!
ガシャアアアアン!!!
「いってえええ」
魔法障壁装置の中から男性の声が聞こえてきた!
魔法障壁装置は外装が外されており、誰かが中で作業をしているようだ。
「アマミ君!!大丈夫!?」
そしてもう一人女性の声が聞こえてきた。
ドラフ
「まさか……」
ドラフは魔法障壁装置の中に入り込み、そこで見慣れた二人を見つける。
アマミ
「いててて……いきなり部品が取れやがった…頭ぶつけちまったじゃねーか……ってオイ!!」
ドラフ
「なぜお前らはここにいるんだ……」
アマミとドラフの目が合った……!
アマミ
「ドラフ!!ドラフじゃないか!!」
リリィ
「ド……ドラフさん!」
中で作業をしていたのはアマミとリリィだった。
ドラフ
「二人ともどうしてここにいる?」
アマミ
「ああん?軍人様がいきなり魔法障壁装置の解体をやってくれって頼まれたんだよ」
「せっかく会議室から解放されたと思いきや、今度は魔法障壁装置の解体を手伝えって言うんだぜ!?」
「まだ身も心もボロボロだって言うのによー……聞き取り調査であんなに拘束しといて人使いが荒いぜ全く」
「俺たちはまだ魔氷から立ち直れてねえんだからよ…そっとしといて欲しいわ!!」
アマミは軍部に振り回され続けて、若干切れ気味だった……。
リリィ
「それは仕方ないわアマミ君……」
「魔法障壁装置を詳しく知っているのは私とアマミ君だけだから」
ドラフ
「なるほど…どうりで軍人がここに大勢いるわけだ」
どうやらクラフト国軍はアマミとリリィが魔法障壁装置に携わっていたことから
彼らに解析、分解を手伝わさせることにしたらしい。
アマミとリリィは休む暇もなく、魔法障壁装置の解体作業に入っていたのだ。
アマミ
「ドラフ!あいつらになんか言ってやってくれよ!!」
「俺たちは魔氷の被害者だぞ!?普通は病院で安静にさせるだろうよ!?」
「クラフト国の奴らは俺たちを人間として扱ってくれねえんだ!」
ドラフ
「残念だが、私はクラフト国軍に助けられた身だ。そんな罵詈雑言言える度胸は無い」
クエリ
「さっきどけどけって言って軍人を跳ね除けてましたよね?」
ドラフ
「うわあっ!?」
ドラフはいきなり後ろからクエリに声を掛けられ、驚いてしまった。
ドラフ
「びっくりするじゃないかクエリ」
クエリ
「びっくりしたのは私のほうですドラフさん」
「後でクラフト軍に謝ってくださいよ?」
ドラフ
「何を謝れと言うのだ!?」
クエリ
「さっきどけどけって言ってたことですよ」
ドラフ
「神聖な研究所に汚らわしい軍人どもがいたのだからあれぐらい当たり前だろ!」
アマミ
「ハハハ!!そうだそうだ!!無礼極まりないクラフト軍なんて蹴り飛ばしてやれ!!」
クエリ
「ちょっと!!シッ!!」
「聞かれたらどうするんですか……」
リリィ
「確かに研究所に軍人は邪魔ですね」
クエリ
「リリィさんまで!?」
イヴ
「おい!中で何をしている!研究はどうするんだドラフ!」
外からイヴの声が聞こえてきた。
ドラフ
「そうだったな」
「アマミ、リリィ。一度出よう」
ドラフたちは魔法障壁装置から研究室へ戻った。
ドラフは外に出てはガタラフに話しかけた。
ドラフ
「ガタラフさん。すまないが軍人たちを下げてくれないか」
ガタラフ
「ええ?」
ドラフ
「彼女たちは彼らの目線が気になって作業ができないみたいなので」
ガタラフ
「そうですか……ええわかりました。邪魔になってしまうのは申し訳ない」
「我々がここに来たのは魔法障壁装置の解析具合を見るためだったので、そういうことならすぐ出ます」
ドラフ
「すまないね……」
ガタラフ
「いえいえ……この魔法障壁装置の解析が未来を変えるかもしれないのですから、
我々は邪魔をせず、己の任務に戻ることにします」
「それでは」
ガタラフはドラフに敬礼し、クラフト国軍を引き連れて研究室から出ていった。
アマミ
「やっと出ていったか…」
アマミは部屋から出ていく軍人たちに向けて中指を立てた……!
クエリ
「やめろ!!」
クエリは咄嗟にアマミの中指を手で押さえる。
ドラフ
「さてと……」
ドラフはアマミたちの方向へ体を向けて話し始めた。
ドラフ
「アマミ、リリィ。二人に聞きたいことが山ほどある」
リリィ
「私からも山ほどあります!あのペルー村以降、どこに行っていたんですか!?」
ドラフ
「そんな話は後回しだ!」
リリィ
「な!?」
ドラフ
「そんなことよりも見てほしいものがある…」
ドラフは懐からペルー村からとってきた魔法障壁装置のパイプを取り出した。




