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変革の兆し1

ノーズたちは魔女から逃れ、フンボルトの街を出た。


フンボルト軍人

「こちら第7小隊……応答願う…」


フンボルト軍は通信機を使用して本部への通達を試みていた。

しかし、本部からは反応が無い……。


フンボルト軍人

「くそっ!!皆やられてしまったのか!?」


フンボルト軍たちは何度も何度も発信を行うが、

どの施設からも応答が無い……。


ノーズ

「恐らく生きていたとしても通信に出れる状況ではないだろう」

「フンボルト全域が竜に襲われたのだ……パニックになっているに違いない」


フンボルト軍人

「……一体どうしたらいいのだ……」

「武器も食料も無い…それにまたいつ魔女が襲ってくるかわからない」


ノーズ

「うろたえるな!お前はそれでもフンボルト軍か!?」


フンボルト軍人

「……」


フンボルト軍たちは絶望した顔で下を向く……。


ノーズ

「情けない……俺がいなくなってからこんなに腑抜けになってしまったのか」

「嘆かわしい…」


フンボルト軍人

「その口ぶりだと貴方はフンボルト軍人なのですか?」


ノーズ

「元フンボルト軍人だ。もう10年以上も前の話だがな…」

「しかし貴様らのその情けない面を見ているとイライラする……

 俺が貴様らの上官だとしたら射殺しているところだぞ!」


ノーズはフンボルト軍二人に銃口を向ける!


フンボルト軍人

「ひいッ」


ノーズ

「情けない声を出すな!!貴様らそれでも天下のフンボルト軍か!?

「本当に射殺するぞ!!」


フンボルト軍人

「……」


フンボルト軍の二人は無言になり、緊迫した顔でノーズに敬礼する。

ノーズはため息をつき、銃を下ろす。


ノーズ

「魔女と戦うには武器の補充が必要だ。どこか補充エリアは近くにないのか?」


フンボルト軍人

「こ…ここからですと10キロ先にジテイ基地があります……」


ノーズ

「ジテイ基地…?そんな基地ができていたのか」


フンボルト軍人

「ッハ!1年前に増設された基地となります!」


ノーズ

「恐らくそこも竜に襲撃されただろうが、いくつかは武器が残っているだろう」

「よし!その基地へ向かうぞ!!案内しろ!!」


フンボルト軍人

「ハッ!!」


ノーズは気絶したミスリルを背負い、

フンボルト軍と共に軍部施設へ向かうことにした。


一方、ドラフとクエリはペルー村からラウル研究所へ戻ろうとしていた。

クエリは切り取った魔法障壁装置のパイプを転送装置でラウル研究所に転送させていた。


クエリ

「パイプの転送完了しました!」


ドラフ

「了解……さて我々も研究所へ戻ろうじゃないか」


ドラフたち一行も転送装置に入り、

一瞬にしてラウル研究所に帰宅した。


ドラフ

「さっそくこのパイプを解析するぞ」


ドラフたちは真っすぐ研究室へ歩き出す。


クエリ

「私もお手伝いできることはありますか?」


ドラフ

「もちろんだ。解析データの収集、集計、分析などやることはたくさんある」

「クエリはデータ収集の補助に入ってくれ」


クエリ

「承知しました!」


ドラフとクエリが歩いているところに息を切らしたギルティが駆けつけてきた。


ギルティ

「帰ってきたかドラフ!!待ってたぞ!!」


ドラフ

「ギルティ…どうした?何かあったか?」


ギルティ

「お前の仲間がとんでもないことを言い出した」

「ハア……ハア……苦しい……」


ドラフ

「とんでもないこと?」


ギルティ

「ちょっと来てくれ!」


ドラフとクエリはギルティに連れられて待合室へと向かう。


ドラフ

「とんでもないこととはなんだ?」


ギルティ

「まあ直接本人から聞いたほうがいいだろう」


ギルティは待合室のドアを開き、中へと入る。

そこにはイヴとミランダ、そしてガタリアの姿があった。


イヴ

「おかえりなさいドラフ」


ドラフ

「どうしたイヴ?何があった?」


イヴ

「ドラフ。あなたに伝えなければならないことがある」

「こちらにいるルナ街からの生存者ミランダのことだが…」

「実は彼女は私と同じフクロウの魔女なのだ」


ドラフ

「!?」


クエリ

「ええ!?」


イヴ

「そして何を隠そうミランダは運がよくて魔氷から逃れたわけではなかった」

「彼女の魔法で魔氷を溶かして生き延びることができたんだ」


ドラフ

「なんだと……!?」


ミランダ

「ごめんなさい……ずっと黙ってて」


イヴ

「そこでだドラフ。ミランダの魔法を何とか活用して魔氷の対策を打てないか考えたいのだ」

「彼女の魔法は未知なものだ。同じフクロウの魔女である私でもミランダの魔法が何なのかわからない」

「彼女の魔法を分析して解明できれば、魔氷の対策を打てるのではないだろうか」


ドラフ

「ふむ……なるほどなるほど」


ドラフはいきなりのことで困惑しつつも冷静にイヴの言葉を受け止めた。


ドラフ

「そういうことなら……早く言えよ」


イヴ

「すまない」


ミランダ

「ご…ごめんなさい!」

「魔法で防げた言っても信じてもらえないだろうし、それに私が魔女と言ったら皆パニックになるだろうと」


ダンッ!!


ドラフは机を叩く!!

ミランダの言い訳を遮り、さらに大声を上げた!


ドラフ

「さっそく研究所へ行こうかミランダ!」


ミランダ

「は……はい!」


ドラフ

「これは面白くなってきたぞ……」


ドラフの顔は笑みを浮かべている。

隣にいたクエリはいきなり大声を上げるドラフに驚愕の様子だ。


ギルティ

「ま…待て!!」

「マジでどういうことなんだドラフ!?俺には何が何だかさっぱりだ!」

「いきなりこの姉ちゃんが自分のことを魔女っていうし、魔氷を防いだっていうし、

信じられないことを抜かしている!そしてお前もそれを聞いて平然としている!どういうことなんだドラフ!!」


ドラフ

「落ち着けギルティ……彼女たちは紛れもなく魔女だが、我々が知っている悪い魔女ではない」


ギルティ

「まさかお前!魔女にも良い魔女と悪い魔女がいるって言いたいのかよ!?」


ドラフ

「その通りだ。彼女たちは魔女であるが、人間でもある」

「私も詳しくはわからないが、人類の敵である魔女とは違い、彼女たちは

元々人間で、とあるフクロウに魔女にされた存在だ」


ギルティ

「魔女にされた?」


イヴ

「詳しくは私のほうから話そう」

「ギルティ。今から話すことは誰にも言うな」

「私たちとお前だけの秘密だ。今から話すことをみんなに知られると厄介だかな」


ギルティ

「そいつは困った……お前ら一体何者なんだ!?」


ドラフ

「そう構えるなギルティ。こいつらは悪い奴らではない」


ギルティ

「……」


クエリ

「それじゃあ私たちは研究所へ向かいますか?」


ドラフ

「ああ。彼女の魔法と魔法障壁装置の両方の研究だ。こいつは楽しみだな!」


ここ数日のドラフは疲れ切った顔をしていたが、今は生き生きしており何だか楽しそうだ。


イヴ

「ペルー村に行って何かわかったのか?」


ドラフ

「ああ。収穫はいろいろあった。とりあえず研究所へ向かうぞ!」


ミランダ

「ち……ちょっと待っ」


ドラフはミランダの手をとり、待合室を出て、そのまま駆け足でラウル研究所へと向かっていった!


クエリ

「ドラフさん……いきなり張り切りだした……」


ギルティ

「ああ。なんか久しぶりに見たよ……あいつのあの顔」

「自分に興味ないことはとことこん不愛想だが、興味があることは異常なほど前のめりになるんだよなアイツ」

「気が障ってるというか、トチ狂ってるというか…」


イヴ

「我々も行きましょう」


イヴたちもドラフたちの後を追って研究室へと向かう。

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