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ダフネス5

トランヴェル

(………何とか助かったか)


イヴ

「そうですね………」

「しかし、また奴等は我々に襲いかかってくるでしょう」


トランヴェル

(一体奴は何者なんだ………何故私の名前を知っている?)


イヴ

「私にもわかりかねます………」


クエリ

「アイナ!」


クエリはアイナへ向かって駆け出す。


アイナ

「クエリ!」


クエリとアイナはお互い抱きしめ、お互いの安否を確認した。

クエリたちの後ろからノーズが前に出る。

そしてイヴの方へ向かっていく………。

ノーズはイヴの前に立ち止まり、単刀直入にイヴに尋ねる。


ノーズ

「貴様は何者だ?」


イヴ

「私の名前はイヴ。トランヴェルの魔女の一人だ」


ノーズ

「トランヴェル………フクロウのことか?」


イヴ

「そうだ。私はお前たちの言うフクロウによって魔女となった存在だ」


ドラフ

「一つ問いたい。フクロウは今どこにいる?」


イヴ

「………」

(トランヴェルどうしますか?ここにいることを説明しますか?)


イヴはテレパシーでトランヴェルと会話を行う。


トランヴェル

(いや………言わなくていい。私の居場所はわからないと答えてくれ)


イヴ

(承知しました)

「トランヴェルの居場所は私でもわからない」


ノーズ

「わからない?それは何故だ?」


イヴ

「お前たちはトランヴェルの居場所を聞いてどうするつもりだ?」


ドラフ

「質問に答えてもらおう。何故貴女の主であるフクロウの居場所を知らないのだ?」


イヴ

「主とはいえ、居場所がわかるものではない」


ドラフ

「では質問を変えよう。何故………」


イヴ

「今度は私の質問に答える番だ。お前たちはトランヴェルの居場所を聞いてどうするつもりだ?」


ドラフ

「………フクロウの存在を知りたいだけだ。あの赤い竜もフクロウを探していただろう?

 フクロウならあの竜のことや、魔女のことを聞き出せるかもしれないと思ったのだ」


イヴ

「なるほど………しかし、トランヴェルはあの竜のことも魔女のことも知らない」

「トランヴェルも貴殿方と同様に何も知らないのだ」


ドラフ

「そうとは思えない。それでは何故あの竜はフクロウのことを知っていた?」


イヴ

「これは憶測だが、あの竜は元々魔女から召喚されたものだ。魔女が竜を通してトランヴェルを探そうとしていることが想定される」


ドラフ

「………なるほど。確かにあのソフィアという魔女はフクロウを捕まえようとしていたな」

「魔女と言えど、あのフクロウの存在には驚いていた………」

「そもそもあのフクロウは何者なのだ?」


イヴ

「………それは答えられない」


ドラフ

「何故だ?」


イヴ

「それは秘密だ」


ドラフ

「………」


ドラフはイヴを問いつめたくてしかたなかったが、

イヴと言い争うことにメリットが無いため、それ以上突っかかるのを辞めた。


イヴ

「魔女がトランヴェルを追いかけている以上、今後も我々に襲いかかって来るに違いない」

「だから貴方たち人間を巻き込まないようにアイナと私は貴方たちと別れるつもりだ」


ノーズ

「アイナを連れてどこへ行く?フクロウの元か?」


イヴ

「行き先は決めていない。取り敢えず人がいない場所へ行くつもりだ」


アイナ

「え………もしかしてまた皆とお別れするの?」


アイナはイヴとドラフたちの会話に割り込み、悲しそうな顔でイヴに問いかける。

そしてそこにドラフがイヴへお願いを申し付ける。


ドラフ

「我々も一緒に同行させてくれ。フクロウのところへ案内してくれないか?」


イヴ

「何度も言うが、フクロウの居場所は知らない」


ドラフ

「ふむ………本当に知らないのか?………ならば仕方ない」

「それならばトランヴェルというフクロウを一緒に探すのはどうだ?」


イヴ

「それには同意できない。例えトランヴェルの居場所を知っていたとしても貴方たちにトランヴェルを会わせるつもりはない」


ドラフ

「何故フクロウと会わせてくれないのだ?色々聞きたいことが山ほどあるのだ」


イヴ

「トランヴェルと一緒にいれば、貴方たちも魔女と竜に襲われることになる」


ドラフ

「そんなものは心配いらない。お前たちと一緒にいなくても竜や魔女に襲われるのだ。それはフクロウと会わせてくれない理由にはならない」


アイナ

「皆でトランヴェルを探しに行くの?」

「またクエリたちと旅ができる?」


ノーズ

「できるとも」


イヴ

「待ちなさい!できないと言っている!」


アイナ

「やだ!!アイナはクエリたちと行くもん!!」


イヴ

「アイナ………!?」


ドラフ

「アイナがそう言うのだから仕方ないだろう………?」

「しかしだ、貴方は我々との同行を嫌がっているようだが、我々と一緒に行動して損は無いと思うぞ?」

「実弾しか効き目のない竜を退くためには我々の力が必要なはず」


イヴ

「それは結構。今後は私の魔力で実弾を生成し、竜を対処するつもりだ」


ノーズ

「魔力で練り上げた実弾が奴に効くのか?」


イヴ

「効くに違いない」


ドラフ

「そもそも魔力が通じない時点でフクロウの魔女だけでは厳しいのではないか?」

「素直に我々と一緒に行動したほうがいいんじゃないか?」


イヴ

「しつこいな」


ノーズ

「それに我々としても奴等と何度か戦闘する必要がある。竜も魔氷も対策もしなくてはならないからな」


イヴ

「貴方は竜を倒すつもりなのか?」


ノーズ

「その通りだ。奴等を今度こそ捕まえる」


イヴ

「………捕まえる?それはほぼ不可能に近い」


トランヴェル

(イヴもういいよ………暫くはドラフたちと同行しよう)


イヴ

(トランヴェル!?何故です?人間と協力したところで足手まといになるだけです)


トランヴェル

(そんなことは無いと思うぞイヴ。少しでも仲間がいたほうが安心だ)

(人の力も借りる必要があると私は思っている)


イヴ

(………)

(承知しました)


イヴはドラフたちとの同行を避けようとしたが、トランヴェルの判断を信じ、従うことにした。


イヴ

「同行するのは構わないが、どうなっても知らないぞ」


ドラフ

「大丈夫だ。我々の身は我々で守るから問題ないぞ」

「皆、竜や魔氷の脅威にさらされて、不安と恐怖で押し潰されそうになってるんだ。絶滅の危機にさらされている今、少しでも現状を打破できることを模索することが先決なんだ。フクロウと会うことも、貴女たちフクロウの魔女の力を借りるのもその一環だ。協力を頼む」


イヴ

「………」

「付いてくるのは構わないが、フクロウに会わせるつもりはないからな」


ドラフ

「ふむ………まあよかろう」


クエリ

「ドラフさん。そう言えばガタリアさんが言っていた、ツクヨミ国の生存者たちとも面会しないと」


ドラフ

「そうだった。生存者たちはどうやって生還できたのか詳しく話を聞かなくては………。魔氷を打破する何かのきっかけが掴めるかもしれない」


ノーズ

「どうする?一度町へ戻るか?」


ドラフ

「そうだな。ダフネスに戻り、ラウル研究所へ戻る手段を考えよう」


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