ダフネス2
ゴオオオオ………
アポロ市が火の海に飲まれていく………。
そして次々に騎士団たちが魔物にやられていく………。
魔女狩隊のナハンジ、ミハエルが倒れ、そしてクエリの隣にいたイトとサカが魔物に喰われていく………。
クエリ
「イト!サカ!!」
イト
「クエリ………逃げろ………奴等と戦ってはダメだ………」
「もうお前は………戦わなくていい………このまま遠くどこかに逃げるんだ………」
「早く………!」
クエリ
「イト!!」
ガタンッ!!
クエリ
「………夢?」
ドラフ
「お目覚めか」
クエリ
「ドラフさん!」
クエリが夢から覚めると、病室のベッドにいることに気づいた。
そしてベッドの横の椅子にドラフが座っていた。
ドラフ
「元気で何よりだ」
クエリ
「皆は?というかあの後どうなったんですか!?」
ドラフ
「皆は無事だ。ノーズもガタリアも隣の部屋で寝ている」
クエリ
「………アイナは?」
ドラフ
「アイナは無事らしいが、ここにはいない」
クエリ
「え?」
ドラフ
「私も気を失っててな。詳しくはわかっていないのだが、どうやらここから出ていったそうだ」
クエリ
「出ていった?一人で?どこへ!?」
ドラフ
「落ち着けクエリ。どうやら例のフクロウがアイナを連れていったらしい」
クエリ
「………フクロウ?」
ドラフ
「私も気を取り戻してからここの者に話を聞いたのだが、どうやらフクロウの仲間がアイナを連れてどこかへ行ったようなのだ」
「我々がムーンチャイルドで竜と戦った後、フクロウの仲間がダフネスまで我々を運んだそうなんだ」
クエリ
「フクロウの仲間………ですか?」
ドラフ
「話を聞くと、一人女性が我々を連れてムーンチャイルドから脱出したそうなんだ。そして我々をここまで運び、アイナを連れてどこかへ行ったと言う」
「そしてその女性が我々に伝言を残した。アイナは無事であると。そしてアイナはフクロウと共に旅立つと伝えてここから出ていったそうだ」
クエリ
「アイナが………」
ドラフ
「少しゆっくり休むといい。飯はここに運んで来てくれるそうだ。私はここの5階で町の長老たちと話をしてくるから、ここで休んでてくれ」
そう告げると、ドラフは部屋から出ていく。
クエリは頭の整理が追い付いていないのか、落ち着きが無い様子だ。
クエリ
「アイナ………」
クエリは起き上がり、部屋を出る。
そして廊下にはノーズの姿があった。
ノーズ
「生きてたか。しぶといな」
クエリ
「あんたもね」
ノーズ
「どうやら我々はフクロウの魔女に助けられたらしい」
クエリ
「それはドラフさんから聞いたよ。アイナも連れてかれたんだってね」
ノーズ
「ドラフはどこだ?」
クエリ
「ダフネスの人たちと話をしてるみたい」
ノーズ
「そうか………」
一方ドラフはダフネス国の長たちとムーンチャイルドでの出来事について話をしていた。
ドラフは彼らに今までの経緯を話していく。
そしてダフネス国結界師の長ヤヲールからは、ムーンチャイルドの現状について教えてもらった。
ムーンチャイルドでは未だに魔物が溢れかえっており、生存者は不明とのこと。国のトップたちとの連絡は取れず、ほとんどやられてしまったのではないかと想定されていた。
そして現在ムーンチャイルドの隣国は警戒体制に入っており、国民は避難をしている状況だ。
いつ魔物たちが襲ってくるかわからないため、警戒体制は当分解除されないとのこと。
そしてダフネスは自国の防衛に徹底し、竜や魔物の襲撃に備えている最中とのことだ。
ドラフ、ノーズ、クエリはこの国で安静にし、立てこもることにした。
彼らはここで竜や魔物の対策を練りつつ、武装を整える。
クエリ
「………」
ドラフ
「クエリ。浮かない顔をしているな」
ノーズ
「アイナが気になって仕方ないんだろう」
クエリ
「アイナ………無事だといいけど」
ノーズ
「恐らく大丈夫だろう。むしろ我々といるよりフクロウの仲間たちと一緒にいたほうが安全だ」
クエリ
「………」
ドラフ
「クエリ。アイナのことは一先ず後だ。先に我々はムーンチャイルドの魔物たちとの戦闘に備えなければならない。奴等はきっとまた襲ってくる………。何としてでもあいつらを駆逐しなければならない」
クエリ
「………はい」
ガタリア
「ドラフさん」
部屋にガタリアが入ってきた。
ドラフ
「どうしました?」
ガタリア
「先ほど本国と連絡が取れました。例のユーリ大陸の生存者6名がラウル研究所に着いたとのことです」
「それからドラフさんの要望を聞き入れてくれるそうです」
ドラフ
「ふむ………」
昨日のムーンチャイルドで発表されたユーリ大陸の生存者6名はクラフト国で受け入れることになった。
本来ムーンチャイルドへ出向く予定であったが、竜の襲撃により、急遽ラウル研究所で引き取ることになったのだ。
彼らの話を聞くと6名とも自力で魔氷から逃れていることがわかった。
彼らの具体的な話を聞くためにドラフは面会をお願いしていたのだ。
ノーズ
「いつまでもここにいるわけにはいかなくなったな」
ドラフ
「せっかく面会の機会を頂いたわけだが、この状況ではクラフト国に戻れそうにないな」
ガタリア
「実はバース所長からいくつかドラフさんへお伝えしたいことがあるそうです」
「後程バース所長からご連絡するそうです………」
ドラフ
「わかりました」
ドオオオン………
ノーズ
「………!」
遠方から爆発音が聞こえてきた。
ノーズ
「なんだ!?ついに来たのか?」
ガタリア
「確認してきます」
ドオオオン………
クエリは窓を開けて外を見る。
クエリ
「ここからでは目視できないですね………」
ノーズ
「戦闘準備だ」
ドラフたちは武器を取りだし、準備にかかる。




