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ムーンチャイルド4

トランヴェル

(まずいことになったな………)


トランヴェルは満身創痍のドラフたちを見て、このままでは全滅すると考えていた。

ノーズとアイナは重症を負い、さらに意識を失っている。そしてクエリは魔力が底を尽き、体力の限界がきていた。ドラフもノーズたちに比べ軽症であるが、ここから彼一人で戦い抜くことは困難である。

魔物の数は尋常ではなく、ツクヨミ国の時と同様に無限に湧き出ているようだ。


トランヴェル

(あの魔物たちを突破して外に出るにはドラフたちだけでは無理がある………)

(しかし一体どうしたら………)


ザザザザザザ………


トランヴェル

(また耳鳴りが………)


<応答してください>


トランヴェル

(またこの声だ………)


<こちらはマザーコントロール………応答してください>


ザザザザザザ!!


トランヴェル

(マザーコントロール………?)


ガガガガガガ!!


トランヴェル

(うう!?)


トランヴェルは突然頭痛に襲われる!


ガガガガガガ!


トランヴェル

(この頭痛は………まさか)


ベルチカ

「やあトランヴェル」


幼い声がトランヴェルの脳内に聞こえてくる………!


トランヴェル

(ベルチカ!!さっきからこの耳鳴りと女性の声は何だ!?お前の仕業か!?)


ベルチカ

「僕の仕業じゃないよ!」

「トランヴェルはまた新たなトリガーをひいたんだ」


トランヴェル

(今回は何だ!?)


ベルチカ

「まさかこのトリガーが引かれるとは思いもしなかったよ」

「君がこの世界の中枢に来るとはね………」


トランヴェル

(だから何なんだ!?いつもいつもわからない………結局お前は何がしたいんだ!?)


ベルチカ

「落ち着きなよトランヴェル」

「君がこのトリガーをひけたってことは終わりに近づいてきた証拠だよ」


トランヴェル

(終わりが近いだと?)


ベルチカ

「まあいずれ物事には終わりがやってくる」

「まだまだ君が望む真実には遠いけれど、これからも頑張って生き延びてほしい」


トランヴェル

(ベルチカ!!その遠回しの言い方は辞めろ!!)


ベルチカ

「まあまあ、とりあえず今回のトリガーについて説明するよ」

「さっきから君の耳元に聞こえる声はこの世界の管理システムのオペレーターの声だよ」


トランヴェル

(オペレーター………!?)

(この世界の管理って何の事だ!?)


ベルチカ

「それはオペレーターと直接話せばわかることだよ」

「とりあえず今回のトリガーはオペレーターと通信がとれたことによって発動したものなんだよ」


トランヴェル

(オペレーターとコンタクト?………つまりその世界の管理者?とやらと話をすることが出来るというわけか!?)


ベルチカ

「そう君はオペレーターと接触することができるんだ。その権限の承認を得たんだよ君は」


トランヴェル

(そいつがこの世界のことについて教えてくれるって言うのか!?)


ベルチカ

「どうだろうね。僕も会ったこと無いからわからないや。でも恐らく聞けば教えてくれるよ」


トランヴェル

(……!)

(本当だろうな?)


ベルチカ

「あくまでも僕の予想だからあてにしないでね!」

「オペレーターはこの世界の管理に携わってるし、教えてくれるんじゃない?」


トランヴェル

(………)

(で、どこにそのオペレーターはいるんだ?直接会いに行くのか?それとも通信で会話ができるってことか?)


ベルチカ

「僕がわかるわけないじゃん。オペレーターに聞いてみなよ」


ザザザザザザ………


再びトランヴェルの脳内に女性の声が聞こえてくる………。


<応答してください………私はマザーコントロール>


トランヴェル

(これに応答ってどうやるんだ………話かけるのか?)

(えっと………こちらはトランヴェル………聞こえますか?)


ザザザザザザザザザザザザ


<声を認知しました………識別番号は?>


トランヴェル

(識別番号!?何だそれは………?)


<識別番号………認識不能>

<識別可能エリアへ移動を願います>


トランヴェル

(識別可能エリア?………どこだそれは?)


<あなたの位置から座標を転送>


ザザザザザザ!!


トランヴェルの脳内に地図が表示される………!


トランヴェル

(何だこれは?地図か!?)


地図の下側に識別可能エリアが赤くマークされている。


ベルチカ

「今は第三階層にいるから………恐らく今はここら辺じゃない?」


ベルチカは地図に現在地のマークをつける。

そのマークから2階層ほど下に識別可能エリアが表示されていた。


トランヴェル

(ここからさらに地下なのか?)


ベルチカ

「今の精神状態なら地層を通り越してすぐ下へ行けるよ」


トランヴェルの現在の体はフィジカルではなく、精神体であるため、壁や地面をすり抜けることができる。


トランヴェル

(ここに行けば………この世界について真相がわかる………のか?)


<識別可能エリアに移行を願う>


ベルチカ

「トランヴェルどうするの?行くの?」


トランヴェル

(アイナたちが心配だ………そのマザーコントロールに助けを求めることはできないのか?)


ベルチカ

「だから僕に聞いてもわからないって」


トランヴェル

(なんでわからないんだ?お前は何のためにここにいるんだ?)


ベルチカ

「わからないものはわからないんだ!仕方がないだろう?」


トランヴェル

(………とりあえず行くしかないか)


トランヴェルは地下へ潜り込み、識別可能エリアへと向かう。

地中は真っ暗で何も見えない。その中をひたすら下へ向かって突き進む。

そして地中を進むこと約5分。空洞に出くわす。

周りは鍾乳石がたくさんあり、そして奥には大きな扉が聳え立っていた………。


トランヴェル

(………なんだこれ?)


その扉の高さは3メートルほどだ。

そして色は銀色であり、羽の生えた子供の銅像が何体か門についている。

見た目は神々しく、まるで天国への扉のように見える。


トランヴェル

(こんな扉がこんな地下深くにあるなんて………)


<コード認識………>


トランヴェル

(女性の声だ………)


ゴゴゴゴ………


扉が開いていく………!


扉の先には白一色の世界が広がっていた。

そしてその奥には銀色の大きな機械が見えた………。

その機械はモニターらしきものが左右についており、

そのモニターからたくさんの太いコードが繋がっていた。


トランヴェル

(これは………)


トランヴェルはその機械を見て衝撃を受けた………!

西洋の世界にこんな大型設備があることに驚きを隠せない。


トランヴェル

(確かに今までにもこういう機械は見てきた………)

(でもこんなにでかい機械を見るのは初めてだ…)


<ようこそ>


白一色の部屋に女性の声が響き渡る。

そして目の前にある設備のモニターに女性の顔が映し出される。

女性の髪は青白く、綺麗な顔立ちをしていた。


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ツイッター:@hukurai_eichi
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