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ムーンチャイルド1

ライナー大陸。世界で一番小さい大陸でありながらも、世界の中心と呼ばれる場所だ。

大陸の中央には大きなクレーターがあり、「世界のへそ」と呼ばれている。

そしてこのクレーターの中心地に細長い建造物が建てられている。

その名も「ムーンチャイルド」。

遥か昔、ライナー大陸とデービー大陸で起きていた大戦争が終結し、平和のシンボルとして建てられたものだ。

今では各国からトップたちが集い、年に2、3度、ここで和平会議を行っているのだ。

ここ数日は魔氷や竜の被害が深刻化し、頻繁に会議が行われていた。

どの国も対応に戸惑い、解決策が見いだせずにいた。


魔氷からの生存者の話から魔氷と竜は魔女の仕業であることは伝えられていた。

どの国の軍隊も竜を倒すことはできず、被害は拡大する一方だ。氷も海面上で広がるスピードは落ちてはいるものの、徐々に進行している。世界がすべて凍ってしまうのも時間の問題であった………。

そんな絶望的な状態で本日も会議が行われる。


本日はあの魔氷から逃れ、さらに竜を倒した者たちがここに来ると各国のトップたちは聞いており、今後の対策が見いだせるのではないかと期待していた。


ドラフたちは朝一にブリジット大陸を出発し、夕方にライナー大陸へと到着した。

さっそく一行はガタリアたちと共に馬車に乗って「世界のへそ」へと向かう。


クエリ

「あれが………世界のへそ」


オオオオオオオ………


ドラフたちの目の前には巨大なクレーターがあった。


ドラフ

「………こんなに広いとは」


ノーズ

「こう大自然が産み出した風景を見ると、我々は本当にちっぽけな存在であることを認識させられるな」


アイナ

「すっごおおおおい!!」


アイナはピョンピョン跳ねて大声をあげる。


トランヴェル

(でけえ………)

(世界のへそとはよく言ったものだ)


クエリ

「あの細長い白い建物がムーンチャイルドですか?」


ガタリア

「そうです。あそこの中にクレーターサミットがあります」


クエリ

「割りと小さい施設なんですね」


ガタリア

「いや、クレーターサミットはでかい建造物です。ムーンチャイルドの地下にでかい広場があり、そこにクレーターサミットがあります」

「外にでている部分はたいした面積はありませんが、地下には広大な広場があります。実際にはクレーターサミット以外にも大きな施設がたくさんあります」


クエリ

「え!?そうなんですか!」

「地下にクレーターサミットがあるだなんて知らなかった………あの白い建物がクレーターサミットだと思ってました」


ドラフ

「近年あのクレーターの下から多くの建造物が発見されてな。地底世界があるのではないかと言われている」


クエリ

「地底………?」


ドラフ

「そう地底。クレーターサミット建設後に他の施設を建造するために地下を掘っていたところ、たまたま地下道を発見したそうだ」


ガタリア

「ついこないだまで発掘調査を行っていましたからね。竜が現れて大騒ぎになってから中断していますが………何やら掘れば掘るほど色んな骨董品が発掘されているそうです」


クエリ

「へえ………もしかしたら昔の人はこのクレーターに住んでいたかもしれないですね」


ドラフ

「その可能性は高い。発掘されているものは人が住んでいたと思われる施設やら生活品やら見つかっているのだ」

「時間があれば、見に行きたいところだ」


ガタリア

「残念ながらそんな時間は無いと思われます」

「事態は深刻ですからね………」


ノーズ

「そういえば、ライナー大陸でも竜が現れたと聞いたが、大丈夫だったのか?」


ガタリア

「はい。この大陸には優秀な結界師が沢山います。竜の襲撃に結界で何とか防げたようです」


クエリ

「結界師………そう言えば結界師の発祥地はライナー大陸にあると聞いたことがあります」


ドラフ

「ここから10キロ離れたところにダフネスという国がある。そこが結界師の発祥地だ」


ノーズ

「結界師か………嫌な記憶しか思い出せない」

「奴等とは戦ったことがあるが、銃器では全く歯が立たなかった………」


ガタリア

「結界師と戦ったことがあると?………そういえばあなたは元軍人でしたね。どこに所属していたのですか?」


ノーズ

「………私はフンボルトにいた」


ガタリア

「フンボルト………」


ノーズ

「前の大戦ではダフネスと戦っていた。奴等との戦いは苦戦しかなかった」

「当時は魔法も無く、軍事力ならばフンボルトの方がどう考えても上であったが、奴等は少人数で精鋭だった」


クエリ

「結界師の存在は当時驚きでしたね………」

「魔法も科学武器も無しに人間の力だけで百人力の力があった」

「不思議な力です。結界師の力は魔法の前身とも言われてますが………」


ドラフ

「結界師の力は魔法の部類であることがわかっている」

「魔法も結界師の力も血中に魔法粒子を生成して、その魔法粒子を加工して体外へ放出する」

「結界師の存在が魔法より前にあったことから、魔女から魔法を授かる前に既に人類は魔法生成をしていたことになる」


ノーズ

「果たしてそうなのだろうか?結界師はどうやって魔法生成の方法を知ったのだろうか?」


クエリ

「自然に見出だしたんじゃない?」


ノーズ

「その可能性は低いだろう。考えてみろ。魔女が人類に魔法を教えているんだ。自力で見いだせるとは言えない。恐らくは魔女と関わっていたのだろう」


ドラフ

「ふむ………。その可能性もあるな」


ガタリア

「ところでノーズはダフネス軍と戦争していたと聞きましたが、あなたはここで戦ったことはありますか?」


ノーズ

「いや、私はアルキメデスで戦っていた。ここに来るのは初めてだ」


ガタリア

「そうですか。実は私もここでフンボルトと戦っていたのです」


ノーズ

「ん?………ああそうか、クラフト国は当時、ダフネスに援軍を送っていたな。そこでフンボルト軍と戦ったことがあるのか」


ガタリア

「その通りです。私はダフネスと共にフンボルト軍と戦ってきました。当時のフンボルトは強かった………最新の科学兵器や戦術で苦しめられたものだ」


ノーズ

「それはそうだろう。フンボルトは本来強いのだ」

「魔法が現れる前まではな」


ドラフ

「それも今では魔法の存在によって覆されたわけだ」

「どんな科学技術を持ったとしても魔法の前では敵わない。爆撃ですら防がれてしまうのだから」

「魔法は本当に我々の世界を大きく変えてしまった」

「もはや人類史において革命と言っても過言ではない」


アイナ

「見て見て!もう着いたよ!」


隣でアイナがはしゃぎだす。


ガタリア

「もう入り口付近まで来ましたね………そろそろ到着するのでご準備を」


ドラフたち一行は話しているうちにムーンチャイルドに到着する。


ガタリア

「こちらが入り口です。ここからさらに地下へ向かいます」


ガタリアに連れられ、一行はクレーターサミットへ向かう。

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