クラフト国2
チチチ………
アイナ
(………朝だ)
アイナはむくりと起き上がり、カーテンを開ける。
窓から見える景色は緑一色だ。
草木が綺麗に整備されており、目に優しい。
午前11時ごろ、クエリとアイナは外に出て、ドラフたちと集合する。
ドラフたち一行は宿泊エリアにある食堂で食事を済ませ、ラウル研究所の待合室へ向かった。
待合室にはすでにバース所長とギルティがいた。
バース
「どうぞお座りください」
ドラフたちは椅子へ座る。トランヴェルはアイナの肩にとまり、ドラフたちの会話を聞いている。
ドラフたちはここまでの経緯をバースたちに説明した。
ツクヨミ国で魔物や魔女と戦闘したことや、氷の津波に襲われたことなど詳細を説明していった。
ギルティ
「………よく生きてこられたな」
バースの隣で話を聞いていたギルティがボソッと呟く。
ドラフ
「我々があの状況下で生き残れたことは奇跡に近い」
バース
「ニュースによれば生存者は100もいないと聞きました」
クエリ
「………皆やられてしまった」
ギルティ
「………」
ドラフ
「ニュースを見ると、各国から軍隊がユーリ大陸に向かい、生存者を探しているようだが、やはり見つからないらしい」
「あの氷の調査も行っているようだが………」
バース
「あの氷の調査は頓挫しています。少しでも触れただけで全身が凍ってしまうのです………どの国もあの氷に手を出せないままでいます」
「我々の研究所も調査部隊が向かいましたが、何人か犠牲となりました………あれを採取するのは不可能に近いです」
ドラフ
「そうですか………」
「………あの氷は魔法も科学も通用しない、得たいの知れない物体ですからね」
「あの氷について何かわかったことはありますか?」
バース
「わからないことだらけです………。触れることもできないため何もできないのが現状です。唯一わかったことはドラフさんが言うように何もかも触れたらすぐ凍らせてしまうということです」
「後もう一つわかったことは、大地ではものすごいスピードで広がっていくのに対して海上では全く広がらないということです」
「しかし、着実に氷は広がっている………この世界が氷に埋め尽くされるのも時間の問題です」
ノーズ
「何!?氷は広がっているのか?止まっていると聞いていたが………」
ギルティ
「確かにニュースでは氷は止まっていると報道されているけど、本当は少しずつ拡大しているんだ」
「僅かに進んでいるだけだから、すぐにはこの大陸まで来ることは無いと思うが………」
「対策が無ければ、いずれこの大地の全てが凍りついてしまう」
クエリ
「そんな………」
ノーズ
「深刻な状況とはわかっていたが、思っている以上に深刻なわけか」
バース
「それに今では世界中で竜が暴れまわっていますし………」
ドラフ
「竜の被害も深刻ですよね………」
バース
「昨日もクラフト国内で竜によって被害を受けました」
「まだここに竜はきてはいませんが、いつ襲撃を受けるのか心配です………」
クエリ
「竜がこの大陸に………」
ノーズ
「たしか今世界中で確認されている竜は3体いるそうだな」
バース
「昨日目撃された竜は赤い竜。さらにデービー大陸には銀色の竜。ライナー大陸には金色の竜が目撃されています」
ドラフ
「実は我々は何度か竜と戦ったことがあるんです」
ギルティ
「竜と戦ったのか!?」
ドラフ
「ああ、逃がしてしまったがな………実はツクヨミ国からデービー大陸に逃げる道中でも青色の竜と戦った」
バース
「なんと………」
ドラフ
「青色の竜は撃破できたが………」
ギルティ
「竜を倒した!?マジか?」
ドラフ
「ああ、辛うじて倒すことができた………。でもな一つ問題があった」
ギルティ
「問題………?」
ドラフ
「竜を倒すと、竜の体からあの氷が吹き出るんだ」
バース
「氷が竜の体から………?」
ドラフ
「そうです。我々は何とか逃げ切ることができたのですが………竜を倒すにも対策がいくつか必要なのです」
「町で倒してしまうと氷が広がってユーリ大陸みたいにあっという間に凍ってしまうかもしれないのです」
ギルティ
「お前たちが竜を倒したときの氷はどうなった?大陸が凍らなかったのか?」
ドラフ
「幸いにも孤島で倒したので、氷はその孤島までしか広がっていないのです」
「竜は隔離された場所で倒すしかないかもしれません」
バース
「………なるほど」
「しかし、竜を倒していたとは驚きです」
「各国の軍隊が応戦してますが、全く歯が立たないと聞きます」
ノーズ
「あの竜には魔法がほとんど通じないからな。今の人類では勝てない」
ギルティ
「魔法無しでどうやって倒したんだ?」
ドラフ
「銃器と爆薬………それからそこのお嬢さん方の強力な魔法で倒した」
ドラフはクエリとアイナに指を指す。
クエリ
「わ………私は何も………」
ノーズ
「そこの兵士の魔法は大したことない。小さい子の魔法は強力だ」
クエリ
「大したこと無い?………はあ?」
バース
「そこの小さい子は魔法が使えるのですか?」
アイナ
「使えるよ!」
ドラフ
「まあその子は特別なのだ。生まれながらの天才って奴です」
「後、クエリもツクヨミ国の優秀な軍人です。彼女は魔女狩隊の一人………竜とも戦ったことのあるエキスパートなんです」
バース
「それはそれは………素晴らしいパーティーですね」
ノーズ
「竜と戦ったことがあったのか………その割には大したことなかったが」
クエリ
「お前!!いい加減にしろよ!!あんただって大した魔法は使えないくせに!!銃をぶっぱなすことしか脳が無いのに偉そうなことを言うな!!」
ノーズ
「大した魔法を使えないお前よりましだ」
アイナ
「喧嘩はよくない!!」
ノーズとクエリの間にアイナが割り込む。
ドラフ
「二人とも似たようなもんだ。そんな下らんことで喧嘩をするな」
ノーズ
「なんだと!?」
ドラフ
「すいません。お見苦しいところをお見せしました」
バース
「いえいえ………仲がよろしいようで」
ギルティ
「仲が良さそうに見えますかね………?」
ドラフ
「とりあえず、今後のことを話しましょうか」
バース
「そうですね………そうだドラフさん。一つご相談があります」
ドラフ
「なんでしょう?」
バース
「今後は我々だけでは竜や氷の対策が打ちようがないと思うのです。そこで一度クラフト国の軍隊とお話しされた方が良いかと」
ドラフ
「なるほど。それもそうですね…」
ノーズ
「いや、ちょっと待てドラフ」
ノーズ
(………軍隊を通して大丈夫なのか?)
(我々の存在をばらしていいのか?)
ノーズはドラフにボソッと呟く。
ドラフ
(先程の話から確かにバースさんたちの力を借りても限界がある………もはや軍隊無しではこの状況は打破できまい)
(お前が心配するのはわかるが、我々の力だけでは限度がある。この大陸だけではなく、全世界の力を合わせなければ魔女には勝てまい)
ノーズ
(それはわかるが…。しかしできれば、軍隊とは接触したく無い)
ドラフ
(大丈夫だ………我々の存在はなんとでもごまかせる)
ノーズ
(………わかった。任せた)
ノーズはしぶしぶと了解した。
バース
「よろしいですかな?」
ドラフ
「ええ、勿論。もはや今後はクラフト国の軍隊だけではなく、全世界の力を借りなければ、これらの問題は打破できないと思っています」
「ぜひ、軍隊と会わせてください」
ドラフたちは翌日バースたちを通してクラフト国軍と会うことになった………。
そして翌日、ラウル研究所に何名か軍人がやってきた。
ドラフたちとクラフト国軍が面会する。




