クラフト国1
ノーズは部屋に戻り、今日購入した銃器に弾を入れていた。
ノーズ
「………」
ノーズは銃器をセッティングしながら、昔のことを思い出していた。
それはまだ彼が兵士であった頃の記憶。ダマと初めて出会った時のことを思い返していた。
ダダダダダ………
銃声が鳴り響く………。
「応援を………応援を頼む!」
ダアーン!!
爆発と共に多くの兵士たちの体が弾け飛ぶ。
ノーズ
「はあ………はあ………」
ノーズは銃を乱射しながら敵陣へと突っ込む!
兵士
「バカ野郎!」
仲間の兵士がノーズの腕を掴み、ノーズを大木の後ろへ連れ込む。
兵士
「死にたのいのか!!?」
ノーズ
「死ぬつもりはない」
兵士
「ふざけるな!?お前の無謀な行動で隊が全滅するぞ!?」
ノーズ
「もはや特攻無しではこの戦は勝てない」
兵士
「そんなわけ………」
ドオオオオン!!
ノーズたちが先程いた場所に爆弾が落とされた!
ノーズの仲間たちが爆発に巻き込まれ吹き飛ばされる。
兵士
「くそ!!」
ノーズ
「このままでは無駄に死ぬ」
「俺が特攻している間に本部へ逃げろ」
兵士
「待て!?」
ノーズはもう一度銃を撃ちながら敵陣へ突っ込む!
ドドドドド!!
ノーズは敵からの銃弾を受けながらも怯むことなく撃ち続ける!
兵士
「こっちだ!」
先程の兵士が爆弾を敵陣へ投げる!
ノーズの特攻に気を取られていた敵兵たちは爆弾を対処できず爆死する。
わずかに生き残った敵兵は、兵士を撃ち殺す。
ノーズ
「くそ!!」
ノーズは銃で敵兵たちを一掃する。
敵は壊滅した………しかし、仲間の兵士はノーズ以外全滅した。
ノーズ
「………」
ノーズの体から大量の血が流れていた。
彼は大木にもたれつき、そのまましゃがんだ。
ノーズ
「………」
(たくさんの死線を掻い潜ってきたが………遂に死ぬときが来たようだ)
(8歳のころから銃を握り、この国のために戦ってきたが………どうやらここまでのようだ)
ノーズが死を覚悟し、大木に座り込んだその時、黒服の男が一人、ノーズの前にやってきた。
ノーズ
(………誰だ?)
ダマ
「まだ生きているな」
ノーズは黒服の男ダマに助けられ、後に彼の右腕となった。
ノーズ
「………」
(もう10年以上前か………)
ノーズは銃器のセッティングを終わらせ、ベッドへ座り込む。
ノーズ
(ダマ様………本当に死んでしまったのだろうか)
ダマはソフィアとの戦いで死んだ。
しかし、ノーズは心のどこかで、まだダマが死んでないのではないかと思っていた。
竜と魔女を倒し、あの氷を解けば、ダマが甦るのではないかと期待していたのだ。
だから彼はドラフと共に行動し、竜の討伐を目的にしていた。
ノーズ
(フンボルトともまた暫しのお別れだな)
ノーズは部屋の照明を消灯し、眠りにつく………。
時刻は12時半。いつもの如く、トランヴェルは男女二人の夢を見ていた。
ザザザ………
ザザザザザ………
トランヴェルの夢見ている世界は戦争が無く、平和な世界だ。男女二人がご飯を食べたり、買い物したり、平和な日常がトランヴェルの脳内に映し出される。
トランヴェル
(やはり………これは私の過去の記憶………)
トランヴェルは徐々に思い出していく………自分がいた世界のことを。
トランヴェル
(私は………人間だったのか?)
ザザザザザザ!!
ノイズが激しくなる!!
気がつけば朝を迎えていた………。
トランヴェル
(………もう朝か)
すでにアイナとクエリは起きており、外へ出る準備をしていた。
トランヴェル
(これからこの大陸を抜けて別の大陸に行くんだよな………)
(アポロの図書館で読んだ地理の本によれば、たしか次に行く大陸は世界で一番でかい大陸………。一体どんなところなんだろうか………?)
ドラフたちはロビーに集合し、アルキメデスの港へ向けて出発した。
そして再びアルキメデスの港にたどり着いた一行は、港でドラフの友人を待つ。
ドラフ
「まだ約束の時間まで30分ある。各自自由行動にしようか」
ノーズ
「了解」
ブオーン………
ドラフに着信がかかる。
ドラフ
「………まさかもう来たのか?」
彼は魔法陣を展開し、着信を受けとる。
ギルティ
「ドラフ………もうすぐそちらに着く」
ドラフ
「予定より大分早いな」
プオオオン………
遠くからボートが一隻やってくる………!
ドラフ
「諸君。どうやらもう来たみたいだ」
クエリ
「船じゃなくてボートなんですね………」
ブオオオオン!!
ボートが急スピードで接近してくる!
止まることなく、ドラフたちに衝突しそうだ!
クエリ
「危ない!?」
クエリはアイナをかばって、ボートを魔法で受け止めようとする!
しかし、ボートは寸前のところでストップした!
ギルティ
「よお!ドラフ!」
ドラフ
「よおじゃない………アブねえだろうが」
ギルティ
「ハハハハハ!ぶつかんなかったからいいだろ?」
クエリ
「なんなのこいつ………」
ギルティ
「そんな恐ろしい顔で睨まないでくれよ!」
「悪かったよ!」
クエリ
「………」
ノーズ
「こいつがお前の研究仲間か?」
ドラフ
「そうだ。紹介しよう。彼はギルティ。クラフト中央研究所の研究員だ」
ギルティ
「ギルティ・サガラサだ!よろしく!!」
トランヴェル
(………また変な奴だな)
ドラフ
「このボートに乗ってクラフト国へ向かう。各自準備は万全か?」
クエリ
「問題ないです」
ノーズ
「天気がいいうちに早くブリジット大陸へ向かうのが先決。ここからボートでどのくらいかかる?」
ドラフ
「ここから大体3時間ぐらいだろう」
ギルティ
「いや!俺なら1時間で行ける!」
クエリ
「雑な運転はやめてね………小さい子がいるんだから」
アイナ
「?」
ギルティ
「大丈夫だ安心しろ!俺の腕なら船酔いすることなくあっという間に到着だ!」
クエリ
「……不安だ」
ドラフたちはギルティのボートに乗り、ブリジット大陸へと向かっていった………。
ボートに乗ること約1時間。
遠方にうっすら大陸が見えてきた。
ギルティ
「くそお!?」
「2時間くらいかかっちまうか………」
ドラフ
「十分早い」
ギルティ
「行きは1時間でこれたんだ………何故だ」
ドラフたちはブリジット大陸のクラフト国に到着する。早速研究所へ向かう。
馬車を利用して山道を登り、それから3時間かけてやっと研究所に辿り着いた。
ドラフ
「やっと着いた………」
目の前には草木に囲まれた巨大な施設があった。
ここがギルティが勤めている研究所「ラウル」だ。
ラウルはブリジット大陸でも5本指には入る有名な研究施設だ。
ノーズ
「すごい自然豊かなところだな………こんな山奥にあるとは」
ドラフ
「自然の中にいたほうが人間はアイデアが膨らむ。研究施設は常に自然に囲まれているものだ。それは古来からそう決まってる」
トランヴェル
(そうなのか………)
(でもツクヨミ国の魔女研究所は全然自然が無かったけどな)
ドラフたちはギルティに案内され、研究施設の中へと進む。そして待合室に入った。
ギルティ
「ここの客室で待っててくれ。所長を呼んでくる」
ドラフ
「わかった」
ギルティは部屋を出て、この研究施設の責任者を呼びに行った。
待つこと10分。
待合室にラウル研究所の所長バースが入ってきた。
バース
「久しぶりだなドラフ」
ドラフ
「バースさん………久しぶりです」
バース
「ようこそ皆さん。私がラウル研究所のバースです」
バースは全員に握手をしていく。
バース
「よくあの氷の津波から逃れられましたね………さぞ大変でしたでしょう」
「この研究施設には宿泊エリアもございます」
「今日はゆっくりお休みください」
この後バースは仕事があるためすぐ部屋を出ていってしまった。
ドラフたちはギルティに宿泊エリアに案内される。
宿泊エリアは円型の施設がたくさん設けられていた。
研究者たちは皆ここで生活しているとのことだ。
ドラフたちにはそれぞれ個室の部屋が用意されており、
暫くはここで寝泊まりすることになる。
トランヴェル
(………すごいでかい施設だな)
(宿泊エリアというか、もはやホテルそのものだ)
宿泊施設は4~5つあり、どれもビジネスホテル並みのデカさだ。
ドラフ
「明日はどこにいけばいい?」
ギルティ
「朝食とったらさっきの待合室にきてくれ。午後一からバース所長と色々話を聞かせてほしい」
ドラフ
「わかった。待合室だな」
ドラフたちは各々の部屋に戻り、一夜を過ごすことにした。




