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フンボルト2

ザザザ………


トランヴェル

(………まただ………)


ザザザザザザ!!


ポオオオン………ガタンゴトンガタンゴトン………。


トランヴェル

(電車………だ………)


駅構内のアナウンスが聞こえてくる………。

黄色い線より後ろの位置で待つようにとアナウンスが流れている。


トランヴェル

(見たことあるな………この駅)


ガタンゴトン………ガタンゴトン………


トランヴェル

(そうだ………私は………確か学生で………それで………)


ザザザザザザザザザ!!


ノイズが酷くなり、目の前が真っ暗になる………!


トランヴェル

(はッ!!)


チチチ………


窓の外から鳥の囀りが聞こえる………。


トランヴェル

(また夢………何度目だ?)


トランヴェルが精神離脱してから4~5日経過するが、毎日夢を見ていた。


トランヴェル

(電車………駅………。そうだ………思い出したぞ)


トランヴェルは元いた世界の記憶が甦ってきた。

トランヴェルがいた世界には電車があり、フンボルト国のような道路やビルがたくさんあった。

そしてトランヴェル自身は学生であったことを思い出したのだ。しかし、自分の名前は思い出せない。そして何故この世界に来たのかも分からずじまいだ。


トランヴェル

(毎日見るこの夢………やはり前にいた世界の記憶なのか?)


アイナ

(トランヴェル行くよー)


アイナは小声でトランヴェルにそう告げると、

クエリと共に部屋を出ていった。


トランヴェル

(今日は早いな………)


トランヴェルもアイナたちを追って外に出た。


宿屋のロビー前で時間通りに全員揃い、珍しくすぐ出発することができた。


ドラフ

「今日は早いじゃないかクエリ」


クエリ

「は………はい」


ノーズ

「学習してきたようだな」


クエリ

「ッ!!」


クエリはノーズを睨み付ける。


ノーズ

「朝から怖いなお嬢さん」


アイナ

「仲良く仲良く!」


アイナはクエリとノーズの間に入り、二人の手を繋ぐ。


アイナ

「………」


ノーズ

「………」


ドラフ

「アイナの言うとおりだ。まだまだこの先長いぞ」


クエリ

「………うう」


ドラフたち一行は地下に続く階段を降りていく。


ノーズ

「アイナ。あれが列車だ」


ノーズは目の前に見える列車を指差す。


アイナ

「でかい!!あれに乗るの!?」


ノーズ

「そうだ。あれに乗ってミカへ行く」


ノーズたちは改札を通り、列車へ乗り込む。

席はがらがらだ。


ドラフ

「座ろうか」


ドラフたちは4人席に座る。


トランヴェル

(なんだろう………懐かしい………)


トランヴェルはアイナの肩に止まり、窓の外を眺める。

しかし、地下のため外の景色が見えない。


プオオオオン………


汽笛が鳴ると共に列車が動き出す。


ドラフ

「列車に乗るなんて何年ぶりだろうか」


クエリ

「本当ですね………なんか懐かしいです」


アイナ

「すごい快適!馬車より広くていいね!」


アイナはジタバタ車内を歩き回る。


ノーズ

「今時列車を使っている国なんてフンボルトぐらいだろうな」


ドラフ

「そんなことはないぞ。私の地元のカグヤもまだ列車はあったはずだ。後、飛行機もな」


トランヴェル

(飛行機………!?)

(この世界には飛行機もあったのか………)


ノーズ

「もはや廃れた文明だ………機械や人力で動くものは全て過去となってしまった………」


ドラフ

「つい数十年前まで主流だったのにな………やはり魔法粒子と魔不死石が見つかってからガラリと変わってしまったな」


ノーズ

「魔不死石か。懐かしいな」


ドラフ

「人類が魔不死石を見つけなければ魔法は使えなかっただろう。魔不死石の発見が人類の文明を大きく変えたんだ」


トランヴェル

(魔不死石………確か人間に取り入れることで魔法を使える代物だよな。アポロ市の図書館で読んだな)


ノーズ

「もし魔不死石が魔女の作り出したものだとしたらどうする?」


ドラフ

「まさか………」


ノーズ

「その可能性は大いにありえると俺は思っている」

「魔不死石を手で握ると、体に溶け込み、魔法が使えるようになる。そんな都合の良いものが現実にあるとは思えないからな」


ドラフ

「魔不死石の発見も魔女が仕組んでいたとしたら私は嫌だな。魔女によって人類の機械文明が塗り替えられたことを認めたくない」


ノーズ

「残念ながら魔女によって魔法が浸透した。これは紛れもない事実だ」


ドラフ

「……例え魔法が広まろうと、まだまだ機械文明は残っている。現にまだ機械は使っているからな。魔法粒子を測定したり研究したりするには機械や科学を使わなくてはならない」


ノーズ

「それもいずれ機械や科学無しに魔法で研究ができるようになるだろう」

「機械や科学が消えるのも時間の問題だ」


ドラフ

「まだまだ消えはしないだろう。魔法粒子と科学が合わさればまた違った世界が広がる。魔法障壁装置がそれにあたるな」

「人間の魔法はまだまだ個人単位でしか力を発揮しない。町全体に魔法障壁を貼れるのは科学の力があってこそだ」


ノーズ

「それもいずれ無くなると思うが………。まあ魔法を使いこなすためにはまだまだ科学が必要であることは理解している。だが、それも人類が魔法を本当に使いこなすようになれば、科学の力などいらないのだ」


ノーズ

「ふむ………。科学があれば魔法の限界を超えられると思うが………まあ口で言ったところでどうしようもない。いずれ私が魔法と科学を組み合わせて、よりよい文化を生み出してやろう」


ノーズ

「ほう………。そいつは楽しみだ」


ガタンゴトン………ガタンゴトン………


地下のトンネルを列車が突き進んでいく。


ドラフ

「ノーズはフンボルトに来たのは何年ぶりだ?」


ノーズ

「もうかれこれ10年は来ていない」


ドラフ

「10年か………今から行こうとしている武器屋はまだあるのか?」


ノーズ

「………確かに。無かったらどうしよう」


ドラフ

「………」


ガタンゴトン………ガタンゴトン


ドラフ

「しかし、10年前ではフンボルトが先進国だった記憶があるが………10年でこんなに世界情勢が変わるとは思わなかった」


ノーズ

「全くだ………」


魔法が出てくる前まではフンボルトは先進国だった。どこよりも近代的で、どこよりも機械文明が発達していた国だったのだ。

しかし、魔法が出現してから一転した。

当時の人類が思い描く未来像は機械やAIが発達した世界だったが、魔法の出現により、その世界は実現しなかった。むしろ、中世の世界へと逆戻りしたのだ。


ドラフ

「魔法の発達により機械は不要となった。魔法によってあらゆる物を簡単に作れるようになった。魔法は機械より精度が高く、アウトプットが優れていることにより、流行したんだ」

「機械も科学も宗教も所詮は人間の道具だった。今ではその道具が魔法にあたるわけだ」


クエリ

「確かにそうですね………。今では機械より人間の方が精度が高いですし、手間がかからない。機械なんて置場所が増えるだけで邪魔ですもんね」


ドラフ

「そう。魔法によって人類は古来の文明に逆戻りした。魔法があれば機械はいらず、人だけで生きていける。世界を先導していたフンボルトなどの先進国は、一気に廃れた。ツクヨミ国など魔法文化が根付いた国が先進国となったわけだな」


トランヴェル

(こいつは………びっくりだ)

(今までずっと中世のような世界と思いきや、本当は科学文明が発達していて、逆に魔法の存在で近代から中世に逆戻りしていたということなのか………?)


〈次は………ミカ………次はミカ………〉


車内にアナウンスが聞こえる。


ノーズ

「やっと着いたな………ミカに」


クエリ

「アイナ降りるよ」


アイナ

「え!?もう!?」


ドラフ一行は列車を降りて駅を出る。

外には近代的な高いビルが聳え立っている。


トランヴェル

(こんなに近代的な町が発展途上国だなんて嘘みたいだ)


ノーズの案内で路地裏へと進んでいく。その先に大きな倉庫が見える。


ノーズ

「良かった………まだ経営していた」


倉庫の前に小さな店舗があった。ノーズたちはその店の中へと入っていった。

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