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世界と対面する日

トランヴェル

(ヤ………ヤバい!?)


トランヴェルの体が徐々に凍っていく………!


トランヴェル

(このまま………私は死ぬのか!?)


フィィィィィィィィィィィィン!!


トランヴェルの命が尽きようとしていたその時、

頭痛が起きた!


トランヴェル

(ぐあああああ!?)


トランヴェルの脳内にベルチカの声が聞こえてくる!


ベルチカ

「トランヴェル!緊急だよ!」


トランヴェル

(あががががっ!?)


トランヴェルの体から精神が解き放たれる!


トランヴェル

(精神離脱した!?)


1日に1回しか精神離脱できないはずが、何故かもう一度できたのだ。


トランヴェル

(これは一体………!?)


ベルチカ

「緊急トリガーを引いたんだ」


トランヴェル

(………緊急…トリガー?)


ベルチカ

「君は今死ぬ寸前だったんだ………緊急で君の精神が離脱したわけだ」


トランヴェル

(緊急トリガー………以前もそんなことがあったな………)

(ソフィアに掴まれたときも、私の体が光って何とか逃げることができた………あれも緊急トリガーってやつだった)


ベルチカ

「そう………君が死なないためにいくつか緊急対策を君の体に盛り込んでいるのだ」


トランヴェル

(緊急対策………!?)


ベルチカ

「君に死なれたら終わりだからね」


トランヴェル

(ベルチカ!そろそろ教えてくれ!

一体誰がそれをつけたんだ?そもそも俺は一体何者なんだ!?)


ベルチカ

「………ごめんね、それは教えられない」


トランヴェル

(何故だ!?)


ベルチカ

「いいかいトランヴェル」

「何度も言うけど、君は死なない限り、いずれ君の疑問に対する答えが明らかになっていく」

「だから君は懸命に生きていかなければならない」


トランヴェル

(何もわからないのに懸命もくそもないぞ!!)


ベルチカ

「トランヴェル………誰しもどう生きていくかなんてわからないんだ」

「誰しも生まれてから、この世界を知って生きていくのだから」

「君がどうしても知りたいことがあるのであれば、自分で探せ。それが道理だ!」


トランヴェル

(また訳のわからないことを言って……)


ベルチカ

「そうそう一ついい忘れていた」

「君は今緊急で精神離脱を行っている」

「本来精神離脱は1日1回の制限だけど、この緊急トリガーが引かれている間は、その精神状態でさ迷うことになる」


「そしてここからが重要。今の君では一人しか魔女にすることができない」


トランヴェル

(………!)


ベルチカ

「まずは君の凍った体を治して、それから緊急トリガーを解除することだ」

「そうしなければ君はずっとそのままだ」


その言葉を残して、パタリとベルチカの声が聞こえなくなった………。


トランヴェル

(おい!!ベルチカ!!)

(くそ………いなくなったか………)


(体を治す………一体どうやって………)


(とりあえずここにいてもどうしようもない………)


トランヴェルは上空に上がり、アイナの方へ向かう。


トランヴェル

(アイナ無事か?)


アイナ

「キボウ!」


トランヴェル

(キボウって私のことか………)

(どうやら大丈夫そうだな)


アイナ

「あの氷………溶かせなかった」

「このままじゃ………ママを救えない」


トランヴェル

(………アイナのお母さんは氷の中なのか………)


(お父さんは?)


アイナ

「わからない」


トランヴェル

(アイナ………大丈夫だ)

(必ずママを救える日は来る)


アイナ

「本当に!?」


トランヴェル

(ああ………必ず)


ドラフ

「おーい!」


下から声が聞こえてくる。

見下ろせば、そこにはドラフたちを乗せたボードが見えた。

ボードからドラフが手を振っている。


アイナ

「さっき島にいた人たちだ!」


アイナは降下し、ボードに着地する。


クエリ

「無事だった………良かった」


アイナ

「皆は大丈夫?」


クエリ

「大丈夫だよ。お陰様で」


ドラフ

「君は………もしかしてフクロウの魔女なのか?」


アイナ

「フクロウ?キボウのこと?」


ドラフ

「希望?」


ノーズ

「あの魔力は間違いなくフクロウの魔女のものだ」


ノーズが横から答える。


ドラフ

「フクロウはどこにいる?」


アイナ

「えーっと………」


トランヴェル

(アイナ!)


トランヴェルはアイナの肩に止まり、彼女に話しかける。


アイナ

「ん?」


トランヴェル

(彼らには私がここにいることは黙ってほしい)


アイナ

「………なん」


アイナが話そうとしたところをトランヴェルは上から言葉を被せる!


トランヴェル

(私の姿は君にしか見えてないんだ!)

(フクロウはどっかにいったと言ってほしい)


アイナ

(………)


ドラフ

「………どうした?」


アイナ

「キボウは………どこかにいっちゃった」


ドラフ

「………そうか」


ノーズ

「どこにいったんだ?」


アイナ

「えっと………」


「わかんないや」


ノーズ

「………」


クエリ

「これからあなたはどこに行くの?」


アイナ

「………わからない」

「わからないけど………パパを探すの」


クエリ

「パパ…?もしかしたらあなたのパパは避難船に乗っているかもしれないわね」

「この船は今デービー大陸へ向かおうとしているから、あなたも一緒に来る?」


アイナ

「うーん………どうしよう」


ノーズ

「もしかしたら君の父親もデービーに行くかもしれないな」


ドラフ

「避難船は恐らく我々と一緒でデービーに向かっているだろう」

「そこで会えるかもな」


アイナ

「………」

「わかった!一緒に行く!」


ドラフ

「よし………決まりだな」


ドラフ

(この子がトランヴェルの魔女であるのならば、まだ勝機はある。この子の魔法は島の森林を甦らせていた。研究をすればあの氷も溶かせるかもしれない……)

(今のところ魔女の攻撃は止んでいる。もし無事に大陸にたどり着けたら、早速あの氷を溶かす対策をしなければならない)


ノーズ

(この娘………さっき確かに誰かと話をしていた)

(恐らくフクロウとテレパシーか何かで話していたに違いない)

(あのフクロウは恐らく近くにいる。奴は不可解な点が多い。この娘を手放してはダメだ)

(恐らく今、ソフィアとフクロウの魔女たちが戦っているだろうから、足止めにはなっているはず……)

(またすぐ魔女の攻撃があるかもしれん。デービーで武器を補充しなければ)


トランヴェル

(他の大陸に行くのは初めてだ………この世界の大陸っていくつぐらいあるのだろうか?)


(しかし、ノーズにドラフ………こいつらにはなるべく関わりたくない……)

(今回は共闘したが、いつ牙を向いてくるのかわからない。奴等に私がここにいることは絶対に晒してはならない)


それぞれの想いを胸に、ボードはデービー大陸へと向かって行った………。

第3章 完。

第4章 「恐慌の世界」に続く。


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