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秘密の王宮2

ドラフは何度かハッキングを試みた………。

しかし、何度やっても失敗した。

逆に探知され、身元がバレそうになることもしばしばあった。彼だけの力ではハッキングは難しかったのだ………。そこで彼は仲間を求めた。ハッキングに詳しい者と接触するため、裏社会のルートを使って金で雇ったのだ。

彼は国から雲隠れをし、裏社会と繋がりを持ち、魔女の研究を続けることを誓った。

ハッキングと同時に魔女の研究も進めたいと考えた彼は、同じく魔女を研究するものを探し始めた。

今までのように国に属する研究者と接触することができないため、出身国のカグヤへ戻り、仲間を探すことにした。そこには魔女研究を進めるものが何人かいた。


ガゼルのように王宮から追い出された者や、ドラフのように魔女の被害に合った者など、同じような境遇の者がたくさんいたのだ。

彼は片っ端から声をかけ、仲間を集めた。

はじめはカグヤ国の中で募集をかけていたが、徐々に他国から同志が集まり、そして遂には数十人規模の魔女研究チームが立ち上がった。

チームの活動内容は主に王宮へのアクセス方法の模索と魔女の研究の二本柱であった。


そんな活動をしている中、彼は一人の女性と出会うことになる。彼女の名前はルイ。

ルイはトランヴェルたちと別れた後、一人で武器商人のビジネスを立ち上げていた。

彼女は裏ルートで武器を売買しており、その仕事の一環でドラフと接する機会があったのだ。

ルイは自分が魔女であるということもあり、魔女を研究しているドラフに興味を持った。

そしてドラフも魔女と戦う準備を進めるため、ルイから武器調達を行っていたのだ。

次第に二人の仲が深まり、出会ってから2か月後に、ドラフはルイをチームに入れることにした。


活動が進むにつれ、ついに王宮の研究所へのハッキングが可能となった。早速研究所のデータベースから情報を盗み出そうとしたが、そこには研究データらしきものは一切残されていなかった。唯一あったのは王宮研究所へのアクセス権限を持つユーザーの一覧だった。


ドラフ

(!?)


ドラフはそのユーザー一覧を見て驚愕した。そこに記名されていたのはピレネーと指導者のミドラス、ガラウ、そして研究者のミスリルのみであった。


ドラフ

(たったの4人………)

(これだけ厳重なデータ管理されている上、研究所に入れるのはたったの4人なのか………)

(一体ここに何が隠されているというのだ………?)


ドラフたちは結局ここで手が止まってしまう………。

ハッキングをかけても大した情報を得られず、手詰まりになってしまったのだ。


ドラフ

「もはや行くしかない………」


ドラフは王宮の研究所へ侵入することを決心した。仲間の半数以上から反対をされたが、彼は押しきって王宮へ向かうことにした。

その時付いてきた仲間が現在の仲間たちであり、ルイもそのうちの一人であった。


ツクヨミ国へ着いたドラフたちは、まず拠点地をつくり、そこで王宮への侵入を模索していた。また、その活動と同時に魔女撃退の攻防具を作成していた。

ペルー村の戦いで得た魔女粒子と戦闘記録を元に魔女討伐武器を作成していたのだ。


ドラフ

「王宮へ侵入する準備は整った………あとはアクセスする際に認証が通るかどうかだ」


王宮へのアクセス権はハッキングの際に入手できていたが、研究所へ入る時に必要な魔法認証を解除できる術が無かったのだ。魔法認証はアクセス権のある4人の魔力を検証し、合致すれば研究所のドアが開く仕組みだ。

さすがに魔力までは科学的な手法で作り上げることは難しかった。結局中に入ろうともここで手詰まりになってしまったのだ。


ドラフは悩みに悩むが解決方法が思い浮かばない。やるとすれば権限を持つ者を一人拉致して、無理矢理魔法認証させることしか思い付かなかった。

ルイは悩み苦しむドラフを見て、思うことがあった。

彼女の魔女の力ならば恐らく研究所へ入ることは容易だ。そして彼女の魔法粒子から魔女対抗武器の開発もより一層進むに違いない。ただ、彼女がもし自分が魔女であることをドラフにバラせば、何をされるかわかったものではない。魔女討伐を掲げる組織に魔女である自分が加担しているのだ。最悪殺されることだってありえる。

彼女も悩みに悩んだ末、ドラフの魔女を倒したいという熱意とルイ自身も魔女とは何なのか知りたい欲求もあり、ついに自ら魔女であることをバラした。


初めはドラフに信じてもらえなかった。しかし、話を進めるにつれ、ドラフの態度が変わっていった。

ルイは今までの出来事をドラフに話し、また莫大な魔法を彼の前に見せてやった。

ドラフは魔女に対して疑い深く、決してルイの言葉を鵜呑みにしなかった。されど彼はルイを討伐するようなことはせず、冷静に彼女と接して、彼女の魔法粒子、および魔女粒子を摂取して研究を進めることにした。


これを機にドラフの研究はがらりと変わっていった。

ルイから摂取した魔女粒子を分析し、この粒子に対してどの物質なら防げるのか、またはどの物質なら破壊できるのか研究を重ねた。その結果、魔女の魔法でも耐えられる防具と魔女の魔法を破壊する武器を開発できたのだ。


そして王宮への侵入についてもルイの蝶々の魔法で実現することができた。

魔法粒子で生成された蝶々が扉の隙間と隙間を通り抜け、中へ侵入できたのだ。そして蝶々の魔法粒子を研究所へ広げ、魔法粒子を通して映像魔法を展開し、研究所内を撮影した。撮影した映像はドラフたちのいる研究所に映し出され、研究所内の隅々まで調べることができたのだ。


調査の結果、研究所にはピレネーと魔女たちが共に魔法実験したと思われる資料が多く残されていた。資料の内容は魔法生成に関する研究が多く、人類が魔法を扱えるよう様々な検証を行っていた記録が残されていた。


ドラフ

(あの魔女の言っていることは………本当だった)

(ピレネーが魔女とコンタクトを取って魔法研究をしていたに違いない………)


あまりの驚愕な真実に言葉が出ない………。

魔女の討伐を掲げていた国そのものが、魔女によって作られたものであった。そして魔女たちが作り上げたフンボルト軍に軍事はとられ、政治も何も魔女の意思でこの国は動いていたことがわかったのだ………。


ドラフ

(悪夢だ………)

(魔女討伐どころか………もうすでに我々は魔女に征服されていた………あの………恐ろしい魔女たちに)


ドラフ

「………取り返すんだ………」

「この国を魔女から取り返すんだ………!」


ドラフはこの後、仲間たちを率いれて魔女たちと戦うことを決意する。

その決意を抱いた翌日、ツクヨミ国に大量の魔物が出現し、そして今日に至った。

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