不確かな真実
イト
「ならば先に問おう」
「お前たち魔女の目的はなんだ?」
ソフィア
「私たちは人類を保護するためにここに来た」
「大勢の魔女たちがあなたたち人間を支配しようとしている」
「それを防ぐために私たちはミドラスたちと接しているの」
ピレネー
「貴様らこそ何者なのだ?」
イト
「ピレネー閣下。俺たちはツクヨミ国の民だ」
ピレネー
「そういうことを聞いているのではない。ツクヨミの民が何故魔女に匹敵する力を持っている?」
イト
「それは…」
「トランヴェル説明できるか?」
トランヴェル
(………できないんだよなあ)
トランヴェルは先程、精神状態になり30分経ってしまったため、会話することができない。
カリア
「さっきしゃべってたけど、時間切れだろうね」
ララ
「そっか………」
ララはトランヴェルを両手で掴み、ソフィアたちの前に立つ。
ララ
「このフクロウが私たちを魔女にしたの」
トランヴェル
(ララ!?余計なことを言うな!?)
ソフィア
「そのフクロウが?」
ダマ
(やはり………あのフクロウか)
ソフィア
「そのフクロウは何者なの?」
イト
「今度はこちらが問う番だ」
イトはララの前に立ち、ソフィアに問いかける。
イト
「貴様らは国民をたくさん殺した」
「罪の無い国民を皆殺しにしたんだ」
「何故こんなことが整然とできるんだ!?答えろ!!」
ピレネー
「それは必要な犠牲だからだ」
イト
「ふざけるな!!元国王が何をほざく!!」
ピレネー
「もはや一国に限った話ではない」
「我々人類そのものが存続の危機なのだ………」
「魔女が攻め込んで来る前に、早急に人類は進化しなければならない」
カリア
「だからといってこんなことをするの!?」
「それが正しい方法だと思ってるの!?」
ピレネー
「正しいとは言わない」
「我々に正義は無いが大義はある」
「どんな方法であれ早急に人類を改革せねば我々に明日は無い」
ララ
「そんなことって………」
ダマ
「だからそれは真実なのかと聞いている」
「貴様らはソフィアに騙されているとしか思えん」
ソフィア
「………」
ピレネー
「ソフィアたちが我々を騙すはずはない」
「我々は魔女によって魔法を会得した………人類に恩恵を与えた存在だ」
「機械文明が限界を迎え、我々人類を救ったのは他ならないソフィアたち魔女なのだ」
「そんな魔女たちが我々を欺いて何を求めるというのだ?」
ダマ
「愉悦」
ピレネー
「何………?」
ダマ
「または暇潰しか遊びか」
ソフィア
「フフ………」
ピレネー
「何を言っている………?」
ダマ
「ピレネー」
「ソフィアが言うにはこれはゲームだそうだ」
ピレネー
「ゲーム………?」
ダマ
「先程ソフィアが言っていた言葉だ」
「お前たちは魔女たちの言動から何も読み取れんのか?」
ガラウ
「ダマ貴様!!ピレネー閣下に対して無礼極まりないぞ!!」
イト
「どちらにせよ貴様らの行為は大罪だ!!」
「魔女と戦う日とやらが来ると言うが、その証拠はない!!」
ピレネー
「理解できないのは無理もない………」
「しかし我々には犠牲が必要なのだ………進化するための布石がな」
ダマ
「ならばそこにいるフクロウが人類をこやつらのように魔女にしてしまえば何も問題はなかろう」
ガラウ
「それは………」
ダマ
「人類がこやつらのように魔女と匹敵する力を得れば貴様らの計画はいらんだろう」
ララ
「………確かに」
ダマ
「そもそも魔女と争う日が来るとも思えんがな」
ソフィア
「………フフフ」
ピレネー
「ソフィア!!何を笑っているのだ!?奴等は勘違いをしているのだぞ!?」
ソフィア
「勘違い………ね」
「そうね………なかなか面白い」
「あなたたちは私たちが求めるレベルの魔力を持っていることはわかった」
「でもそのフクロウが本当に多くの人類を魔女にすることができるの?」
イト
「……どうなんだトランヴェル?」
トランヴェルは首を横に振る。
トランヴェル
(それは無理だな………10人しか魔女化できない………)
イト
「できないってことか?」
ソフィア
「首を横に振っているけど、喋ってくれないとわからないわね」
「そもそもそ、そのフクロウは何者なのかしら?」
「どうして人間を魔女にすることができる?」
カリア
「トランヴェルは私たちを救うために魔女にしたって言ってた………」
横からカリアがトランヴェルについて話し出す。
カリア
「そもそもトランヴェル自身もなんで魔女にする能力があるのかわからないって言っていた……」
ソフィア
「わからない?そのフクロウはとぼけているのかな?」
「そんなあやふやなことを言うフクロウの言うことを信じられる?」
ララ
「信じられるわ。トランヴェルは死にそうな私たちを助けてくれたもの」
「本当に自分が何者なのかわからないのよ」
ダマ
「はははははは!!どいつもこいつも滑稽だな!!」
「何も疑いもなく、得体の知れない魔女やフクロウを信じるとはな!」
「魔女が人類に魔法をもたらしたから信じられるのか?」
「フクロウが助けてくれたから信じられるのか!?」
「そんなわけないだろう!!貴様ら双方共に何を根拠に奴等を信じられるのか!?俺にはわからん」
「だから俺たち人間はバカにされるのだ!!」
ララ
「………ツ」
ピレネー
「………」
ソフィア
「嘘なんてついていないわ。必ず魔女たちがあなた達を襲ってくる」
「でもそうね。フクロウが人類を魔女にする力があるのなら、確かに私たちの計画は不要ね」
「ちょっとそのフクロウを貸してちょうだい」
トランヴェル
(!?)
ソフィアは魔法でトランヴェルの体を宙に浮かせ、そして彼女の元へ引きずり込む!
それからソフィアはトランヴェルを両手で掴む。
イト
「おい!?何をする!?」
ソフィア
「あなたたちの話を聞いていればあなたたちもそのフクロウについて詳しくは知らないみたいね」
「フクロウが人間を魔女にする力があるのならば、もしかしたら私の力を応用すれば全人類を魔女にすることができるかもしれない」
ララ
「………そんなことって」
ソフィア
「私ならきっとできる」
カリア
「トランヴェルを返して!」
ソフィア
「嫌」
「私は今から彼の力を増幅させて多くの人間たちを魔女にするの」
イト
「待て!!お前の話に賛同するわけではないぞ!あまりにも急すぎる!!」
ソフィア
「だってあなたたち人間って時間が経てばコロコロ意見が変わるんだもん」
「どう考えてもフクロウの力を増大させて人類を魔女にするほうがいいのに」
「あなたたちに説明する時間がもったいないから強制的にやらせてもらうね」
バチバチ!!
トランヴェルの体から火花が散り出す!
トランヴェル
(あがあああああああ!?)
トランヴェルの体中に激痛が走り、痙攣を起こす!
ララ
「トランヴェル!!」
「トランヴェルを離して!!」
ララは電魔法を生成し、ソフィアへ放つ!
バチイイイイイイ!!
ソフィアの手前に魔法障壁が展開され、ララの魔法を防いだ!!
イト
「こいつ!!」
イトはジャンプして、ソフィアの真上から剣を振り落とす!!
ガキイイイイイイン!!
ソフィアの魔法障壁と衝突し、イトの剣は弾かれた!
ソフィア
「無駄よ………」
「あなたたち程度の魔力では私には勝てない」
バチイイイイイイ!!
トランヴェルの体が焼かれ、煙が立ち込める!
トランヴェル
(し………死ぬ!?)
カリア
「トランヴェル!!」
ソフィア
「なにこのフクロウ………」
トランヴェルの体から魔法粒子が大量に飛び散っていく!
ソフィア
「この魔力………お前何者なの!?」
カッ!!
トランヴェルの体がいきなり光だす!!
イト
「トランヴェル!?」
トランヴェルの体が輝きだしている中、彼の脳内では以前感じた頭痛が伴っていた。
トランヴェル
(あがががががが!!)
(頭が………頭が割れる!?)
ベルチカ
「やあ!トランヴェル」
トランヴェルの脳内に幼い声が聞こえてきた。




