嵐の前3
バチバチ………
リリィ
「調子はいいようね………」
魔法障壁が展開されてから数十分保たれていた。
サカ
「いい感じだな………」
サラ
「イイカンジダナ」
魔法障壁装置の開発から約2週間が経ち、
始めた頃に比べ大分ましな魔法障壁装置を造れるようになった。
サラや魔法使いたちの魔力で練り上げた魔法障壁装置は約10分程、強力な魔法に耐えることができたのだ。
アマミ
「だいたい基盤はできたから後はどうやって強化させるかだね」
リリィ
「後は魔力でどうにでもなりそうだけど」
イト
「試しに魔力を極限まで取り入れてみたらどうだ?」
リリィ
「それは危険よ………あっという間に故障しそう」
「少しずつ試してみましょう」
研究は一歩進んでは一歩後退し、また二歩進んでは三歩後退し、されど四歩進むこともあれば、十歩進むこともある。
失敗を繰り返しつつも、リリィたちの魔法障壁装置の開発は着実に進んでいた。
日が沈み、夕暮れ時となる頃、アイナは学校から帰り、本を読んでいた。
そしてアイナはソフラに問いかける。
アイナ
「パパ今週帰って来るよね?」
ソフラ
「うーんどうかな………」
アイナ
「え………帰ってくるって言ったじゃん」
ソフラ
「まあアイナがいい子にしてれば帰ってくるかもね」
アイナ
「えー」
ソフラ
「早く勉強終わらせないとパパ帰ってこないよ」
アイナ
「………ちぇ」
アイナは渋々勉強机に戻り、宿題に取りかかる。
アイナ
「パパ帰ってこないかな………」
アイナは窓から真ん丸のお月様を見上げる。
アイナ
(今日の月………なんかちょっと赤いな………)
(なんか………不気味)
アイナが月を見ている頃、ララも窓から月を見上げていた。
ララ
「カリアみてみて月が赤いよ!」
カリア
「本当だ………めっちゃ赤いじゃん」
ララ
「珍しい色だね………なんか不吉」
カリア
「確かにやたらと赤いね」
ララ
「イトさんたち明日帰ってくるんだっけ?」
カリア
「そうだね」
「今日まで研究所に寝泊まりだって言ってたかな」
ララ
「サラ大丈夫かな……うまくやって行けてるかな」
カリア
「イトが付いてるし大丈夫でしょ」
ララ
「まあ……そうだよね」
ララは物思いにふけながら遠くに輝く赤い月を見ていた。
ゴオオオオ………
ツクヨミ国のあらゆるところでざわつく………。
丘の上で魔物たちが大勢集い、ひしめく………。
そして丘の真上には赤い月が妖しく輝いており、その真下には二人の男女が立ち尽くしていた。
女性
「時は満ちた………遂にこのゲームが大きく動くことになる」
女性は黒緑色の三角帽子を被っており、赤いワンピースに黒緑色のマントを羽織っている。そして髪はゆるふわのカールがかかっており、オレンジ色である。
女性
「この世界がどう動くか見ものだねぇ………君らもそう思うだろ?」
男性
「………」
女性の隣にいた男性は白いロープをまとっており、また首元に赤いマフラーを身に付けていた。男性は片手に生首を持っている。その生首が口を開けた。
生首姿の男
「お前らのゲームはどうでもいい」
「我々はお前らの願いを叶えた………約束通り体を貰えるか?」
女性
「まだまだ願いは叶っていないよ?」
「お前らの仕事はこれからだろ?」
男性
「貴様………とぼける気か?」
男性は片手から銃を取りだし、女性の頭部に銃口を向ける。
女性
「よくよく考えてみてよ?」
「私たちの望みは魔物を集めて計画を遂行させることだよ?」
「ただ魔物を集めただけじゃ私たちの望みは叶わないよ」
男性
「ふざけるな」
「もう十分な程に貴様らの要望は応えた」
「早く約束を果たせ………さもなくば」
女性
「さもなくば………私を殺すと」
「あんた本気で私を殺せると思ってるの?」
男性
「試してみるか?」
生首姿の男
「やめろノーズ」
男性
「………」
男性は銃を下ろす………。
女性
「そちらの男はちゃんと理解しているようだね」
「あなたたちの立場わかってる?」
男性
「………貴様」
女性
「いくらソフィアのお気に入りとは言ってもお前らの命は私が預かってるんだから」
生首姿の男
「緑翼の魔女よ………部下の無礼を許してほしい」
男性
「ダマ様………!?」
生首姿の男
「貴様らが欲しいものは大方揃ったのだろう?後望むものは何がある?」
女性
「うーん………まあ何が起こるかわからないし………念のためまだ居残って欲しいかな」
生首姿の男
「なるほど……保険というわけか」
「魔女であろうともこの先のことを見越せないのだな」
女性
「これはゲームだもの」
「先を見越せないほうが楽しいわ」
生首姿の男
「ふん………いいだろ」
「ゲームオーバーにならないように頑張るのだな」
女性
「フフフ………きっと楽しいゲームになるわ」
女性は妖しく微笑み、丘の上から街の景色を見渡す………。
今宵の月は赤よりも紅く、静けさが増していく………。




