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キスと仮面の救世主(アルシオン)  作者: 風魔疾風
幕間2 妖精の国パトリフィア エピローグ

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第四十話

(も、申し訳ございません! 貴方(あなた)様の連れの彼女達が、三日三晩(みっかみばん)寝ておられた貴方様を驚かせようと、他の誰にも内密にすることを条件に、私めを(そそのか)しにこられたのです! しかも、娘たちの姿に変身した状態で! 非常にずるがしこくないですか! 私が娘たちを溺愛(できあい)してることを逆手にとっての狡猾(こうかつ)な犯行ですよ! よくも騙してくれましたね! 今すぐここで謝りなさい! でなければ、国外追放どころではなくなりますよ!)


 「ふぁい……」

 「すびばべんべびば(すみませんでした)……」

 「…………」


 クリスが受身を取り損ねて、後頭部をごっつんこさせてから数分後。

 ゲストルーム改め女王の寝室では、ベッドの(ふち)に座って腕を組んでいる女王(俺)を前にして、霊体だが本物の女王ことシュプリムさんによる、まるで痴漢(ちかん)を捉えたかのような愛憎(あいぞう)入り乱れたテンションのお説教タイムが始まった。


 完全に気が動転している女王様の前では、誰もが口を(はさ)めるほど精神的な余裕はなかった。

 あえなく現行犯でタイーホされて、そのまま正座で説教を受けている、全身黒づくめの組織……的な犯行に及んだ二人は、両者共々反省の色が(うかが)えない。


 クリスは、俺が強面(こわもて)体育教師に高校時代に嫌という程叩き込まれた結果、地獄のジャックナイフとかいう意味不明な技名を付けられた、自慢の小外刈(こそとがり)で倒されて後頭部に、某有名スイーツのトリプルのような見事な団子を付けている。


 ただ、ちょっとヤバいなと思うのは、今の彼女の顔。

 床に頭蓋骨(ずがいこつ)を打ち付けた直後、クリスは直前までア〇ムやバ〇ディーよりは弱そうな鉄腕(てつわん)で、幼女の頭を果物の如く(しぼ)ろうとしていたのだが、その瞬間に力が抜けて、あろうことか漫画でしか見たことないようなメリ込み方で、幼女のアイアンヘッドが彼女の顔に効果抜群のダメージを与えてしまったのだ。


 おかげでクリスは、クレーターのように陥没(かんぼつ)してしまった(みにく)い顔のまま、説教を受けているのだ。

 岩でも氷でもなさそう。

 フェアリー……? まさかな…………。


 「はぁ……」


 現場の第一発見者(?)となった挙句、この場に居座らされることとなったエルトさんも、頭を抱えている。

 そりゃあそうだ。ドッキリ番組でターゲットではないのに騙されて、二次被害に会ってるようなものなのだから。


 また、幼女……ではなくヴェネットも、全身から滝のような汗をかいていた。

 どうも正座がそろそろキツいらしい。頻繁(ひんぱん)にケツを浮かせて耐えようとしている。


 カーペットの上なんだから全然マシだろ。

 俺なんか普通の床に正座させられたことあるぞ。おかげでそん時は足首鬱血(うっけつ)して、まともに歩けなかったんだからな。

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