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蛤になりたい

作者: 琵琶法師


月の下で泳ぐ魚に 僕の言葉はすぐに溺れそう

この絹が砕けた鱗を どうやって包むと言うんだ


揺らめく光は痛すぎて 追ったとしても聞こえないよ

陸の上は掠れすぎて 空の下は乾きすぎて 

命さえもはや砂時計 彷徨うほどに目を減らし 

砂埃が目にしみる ここはきっと透明な檻


蛤になりたい 深い深い海の底で

さざめく波の音を聞かずに 美しい幻を吐き続けていたい


月の下で喘ぐ人魚に 僕の言葉はまるで雲のよう

この夢が砕けた尾ひれを どうやって癒すと言うんだ


揺らめく影は脆すぎて 追いつくことはもう諦めた

人生は醜すぎて 人の世は煩すぎて 

祈りさえもはや砂遊び 砂嵐が土を攫う

惑わしすら目を逃げる これはきっと透明な泡


蛤になりたい 深い深いこの世界で

さざめく人の声も聞こえず 美しい偽りをつき続けていたい


月の下でもがく僕らに 沈む光はまるで船のよう 

この波が砕けた欠片を どうやって繋ぐと言うんだ


流れる星は燃え尽きて 追い抜くなんてできないよ

街の風は汚すぎて 僕らはもう汚れすぎて 

叫びさえもはや砂利の音 砂浜に溶けてしまえ

惑わすたび目を腫らす それはきっと透明な嘘


蛤になりたい くらいくらい海の底へ

ざわめく星の音も聞かずに 綺麗な羽ばたきを捥ぎ続けていたい


月の下で泳ぐ魚に 


僕の声は届かないんだろう ただ夢を信じたくて  

僕の嘘は届かないんだろう まどろみから目をそらして


そこはきっと透明な殻


蛤になりたい 暗い暗いあの世界で

ざわめく風の声も聞かずに 綺麗な水滴を拭き続けていたい


夢を見ていたい


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