駆逐艦を起動せよ
「いてて...」
「いててじゃないですよセンチョー!?船破壊されちゃいましたよ!?乗組員も何人か焼死してしまいました!」
船長はつい数秒前まで船だった木の破片を浮きにして海に浮かぶ。周りには同じ船に乗っていた乗組員達が同じような状態で浮いている。
船は下の方が少し残っているが、上に行くと吹き飛んだり焼けたりしていて、原型を留めるどころか、ものではなくゴミの姿となった。まさに海の藻屑とはこの事だ。
エドワードの大海賊団はもうどこかへ行ってしまった。もう目に見える範囲内には何も無い。ただ水平線と太陽が見えるだけだ。
「あいつらにあったら今度こそぶっ飛ばしてやる」
「その前に船がいりますよ!それにまずここは海のど真ん中!生きて陸に戻れるかもわからないって言うののにそんなこと無理ですよ!」
「あ〜あ。船でもそこれへんに浮いてないかな?無人の船が浮いてないかな?」
船長がそう言ったその時だった。
船長の背後に大きな船がどこからともなく現れた。
「せ...センチョー?」
「ん?なんだ?」
ちょうど船長からは突如として現れた船が見えない。他の乗組員たちはいきなり現れてきたとてつもなく大きな船に驚いている。
「センチョー後ろ...」
「なんだ?また敵船とかだったら俺泣くぞ!?」
そう言って船長は振り向くと、そこにはその船があったもんだから、船長はとても驚いた。
「ぬお!?敵船か?どっからきたんだ!?」
「なんかいきなりパッと現れました」
「んなわけないだろ!」
「いや、でも実際に見たので...」
猫耳乗組員がそう言うと、他の乗組員も首を縦に振る。
「誰か乗ってるかな?」
「センチョー。この際突撃しちゃいましょう!どうせこのままじゃ死にますし」
「そうだな。運が良ければ船を頂いちまおう」
船長と乗組員達は泳いで船の近くまで行き、船の側面から登り始めた。
「これ鉄の塊じゃあないか!?なんで水の上を鉄が浮いていられるんだ!?」
とかなんとかいいながら、なんだかんだで皆が登っていく。
「俺はクレバー大海賊団の船長!クレバーだ!大人しくこの船を開け渡せば命までは取らん!」
登ってすぐに大声で船長が叫んだが、なんの返事もない。
「何船長変な独り言言ってるんすか?」
と、近くにいた乗組員に言われ、船長は顔を赤くした。
「と、とにかく、人はいないみたいだな!これで命は助かった!」
「それはどうかわかりませんセンチョー!」
「どういうことだ?」
「この船は鉄で出来ています。ちゃんと動くのかすら怪しいです」
「そうだな。一先ず操舵輪を探そう。あれがなきゃ話にならない」
皆はそのひと声で、船の中を探し回る。
数十分探してやっと、操舵室が見つかる。
「船長!ありました!操舵輪がありました!」
「あったか!?」
船長は見つけた乗組員について行き、操舵室までたどり着く。
「しかしセンチョー。船デカすぎます...。部屋も多いから困ります...」
「まあいいじゃないか。こうやって操舵輪も見つかったんだしさ」
船長は操舵輪に手をかけ、そう言った。
「じゃあ早速船だそうか」
「それが...」
「如何した?」
「帆がないんです。オールを出す穴も見つかりません...。どうやって動かすのやら...」
「なんだと?帆がないんじゃあただの鉄の塊じゃあないか!」
操舵室を見つけた船員が、適当にそのあたりにあったボタンをポチポチと押していく。
面白半分で押していたら、部屋のあらゆる機械に光が灯る。
「ぬお!?なんだ?光魔法か!?」
船のシステムがいま、起動した。
「おいお前!何をしたらこうなった?」
「あ、いや、なんか押せそうだったのでこの大きいヤツ押したら光りました!」
「そんなの聞いたことないぞ?一体なんなんだこの船は?とにかく押せそうなもの全部押しまくったら動くかもしれないな。よし。手当り次第に押したり引いたりしてみろ!」
「あいあいさー!」
乗組員たちはボタンをひたすら押していく。
ズドゥン。という大きな音がして前方の大砲から弾丸が放たれた。
「ナヌファオ!?」
船に伝わる振動と大きな音に、乗組員皆が冷や汗を。
「...。なんだこれは...ちょっと押さないほうが良さそうなやつ押さないようにしとけ...」
「あ、あいあいさー...」
船を動かすために乗組員たちはボタンを押していく...
一応、他の作品との関連性も出していくつもりです。
世界一の魔術師?(以下本編)と、同じ世界という設定です。
現在本編80話を突破いたしました。
外伝を2シリーズ。本編合わせて3シリーズをお楽しみください。




