666文字異聞/女勇者りったんが行く7~月に一度は仕方ないのよ!
いつもはドジっ子のりったんですが、めずらしくダンジョンの奥でレアモンスターを倒し、お宝をわんさと手に入れました。
「ムフ、これでしばらく遊んで暮らせるわ」
ところが意気揚々と引きあげる途中、お腹を押さえてうずくまってしまいます。
「うっ、まずい……始まっちゃったかも」
なにが始まったかは男子には秘密です。
青い顔でダンジョン内をさまよい、やっとのことで公衆トイレを見つけました。
「うう、なんでよ、まだ一週間は先だと思ってたのにィ」
あわてて個室へ駆け込み、ポーチのなかをゴソゴソ探りますが、
「やべ、忘れてきたっ」
なにを忘れてきたかは男子には秘密です。
「まいったなあ、この辺コンビニなんてないし、どうしよう……」
するとトイレの奥から、なにやら不気味な声が聞こえてきました。
赤い斑点つけまひょか~♪
「え、なに……?」
声はどんどん近づいてきます。
赤い斑点つけまひょか~♪
「ああ、だれかと思ったら、赤い斑点屋さんか。ちょうど良かった、横漏れ防止機能つきひとつくださいな」
「まいど、羽アリ十枚セット、百万円でおま」
「ひどいっ、それじゃぼったくりじゃない!」
りったんが文句を言うと、声はだんだん遠ざかってゆきます。
赤い斑点つけまひょか~(フェードアウト)
「え~ん、ちょっと待ってよゥ。ここにあるお宝ぜんぶ売ったら百万円になるから、それと交換して」
「ウヘヘ、まいどおおきに」
こうしてりったんは、苦労して手に入れたお宝すべてと引き換えに、赤い斑点つけまひょかを手に入れることができましたとさ。
「てか、おいちょっと待て、これって老人介護用の紙オムツじゃない!」