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カミヤ教授の研究論文  作者: 望月 修一
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~序章~

人生初めての小説投稿となっております。色々至らないところが多々あると思いますがどうかご容赦ください。

朝七時丁度。自宅を出発して日本製のトヨタ車のエンジンに“動け”とキーを挿しこみ、そのまま一時間ほど走らせて大学の職員用入り口へ。必要な資料等は自宅に揃えて―いたはずなんだが今日の講義に使う資料のコピーを自室の書斎の上に置き忘れてきた。コレだから歳はとりたくない。簡単なスピーチ原稿だからソラで唱えることは出来るが―ひと通り揃っていることを確認して助手席に置いたバッグ左手に。右手で車のドアを閉めてオートロックを。ロックが掛かったことを確認してから車を離れ、目が合った警備員にアイサツ交わし、職員室から自分の研究室の鍵を探して掌に押し込めた後、一階の職員室から階段を上がって右側のすぐ前にある自分の研究室に辿り着いて先ず最初にすることは、扉を開けて左、来賓や生徒用のスティック砂糖が入った棚の上に設置したコーヒーメーカーのスイッチを入れる事。二番目の行動は、今までの研究にあたって自分で骨董書店などでかき集めた文豪・賢人・哲学者の著書を―何でもいいという気分だったが今日はキルケゴールにしよう―手に取る事。そしてタイマーが作動し、出来上がったコーヒーをいつも使っているマグカップに注いで自分専用のイスに座る。


手にとった本を開け、ミルクすらいれない上品なブラックを口に含んで敢えてそのまま飲み込まずに口の中に。余韻を楽しみたいんだ。良い豆を買ったからね。コロンビア産の豆なんだ。実際コロンビアに言ったことは無いけど。でも、過去の賢人達が意思思想主義概念(いままでつみかさねてきたもの)を人間生物としてのこの小さな(はこ)にすっぽりと収めるには良い豆を使ったコーヒーと一緒に味わいでもしないと“勿体無い”。字体として吸収し言語として口頭で述べるだけというのはわざわざそれ単体で摂取すればいいものを別の何かと一緒に混ぜ合わせて口に頰張りこもうというなんとも滑稽で無粋な真似をすることになる。それは私の美学センスの琴線に触れる。


生徒達が登校する時間までまだ早い。最初の講義の時間が朝の九時半。今の現在時刻は八時十五分を少し回ったところ。ゆったりと読みふけれる。自分だけの大切な時間。この瞬間(いっとき)だけは誰にも邪魔されたくないんんだ。人生とは何か。社会に。国に。個人として団体として、生きるとは何か。勝利、敗北、なぜ人は愛しあい憎しみ合うのか。それが私の研究のテーマであり私が一人の人間として辿り着きたいテーマだった。倫理学・社会論理学・現代思想学・哲学・心理学―太古の賢人達が日々研究し貪るように開拓した学問。でありながら現代の我が国にに生きる人達が忘れ、必要としないもの―私の研究テーマは教師たちには理解されけれ、生徒達には余り評価されていないみたいなんだ。それでも私はこの研究は好きだよ。なにせ家庭も持たずに只この身体一つで大学教授にまで上り詰めたんだ。もし天国にいって、ニーチェが死んだと悟した神と呼ばれる存在にに出会おうものなら自分に表彰式を開いてくれと懇願するよ。閉幕した瞬間地獄に落ちたっていい。


私の名はキール・カミヤ。日系二世なんだ。父親がカルフォルニア。母親が日本のトウキョウトというところの生まれなんだ。父が個人的な旅行で来日した時が出会いのきっかけなんだとさ。当時のご時世じゃ外国人と結婚するなんて~と口を酸っぱくして反対してたらしいが母さんにとってはそんなの関係無いと家を飛び出してここ、アメリカは父さんの生まれ故郷カルフォルニア州にまで逃げたんだよ。君たちの国でいうところの“カケオチ”というやつだ。そして私が生まれた。子供の頃から色々とものの考えが良かったというか頭の回転が良かったというか、真面目一つだった自分は両親の支えあって高校大学と進んで今に至る。結婚しないのかとは口五月蝿いなぁと感じるケドね。


そうこうして自分を紹介している間に最初の講義の時間だ。では―私の講義にようこそ―。




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