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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ファントムソウル編:第6章-水の花嫁と海の悪魔-
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2ndステージ48:次元が違う

 ついに再開した仲間たち。

 残りはあと一人――――

だが、現在素直に喜ぶことができない状況である。

 謎の青年の襲撃。

 そして奪われたアマデウスと魔法の力。

 先ほどの敵、ポセイドンすらあっさりと倒してしまった青年。

 しかしながら、聞き覚えがある声だと思ったのは何故だろう?

 この人物にはあったことがあるということなのだろう。

 でも思い出すことができない。

 否、思い出そうとすると霧がかかったように見えなくなる。

 何故なのだろう?

 そんな思いが俺の中では浮かび上がっては消え、浮かび上がっては消えていく。

 そんな中で謎の青年を取り囲んだ女性人たちは、攻撃を仕掛けようと魔法を発動させるそぶりを見せるが、青年には全く油断も隙も無く、攻撃を仕掛けるタイミングを見計らっているようだ。

 いつもは余裕を持って戦闘を行う彼女たちにとっても、この相手は想定外であり規格外な能力を秘めている、という考察を導きださなければならないだろう。

 そんな中で動いたのは青年だった。

 青年は上空へと赴き。


「さあ、かかっておいでよ。 年増のおばさま方」


 と挑発する。

 当然ながらこの挑発に乗ってしまえば、相手の思うつぼなのだが、年齢を気にしているリュウとフルートは見事に引っかかって、上空の青年めがけて魔法攻撃を仕掛ける。

 さらに言ってしまえば、聞くに堪えないほどの罵声を浴びせているのも聞こえた。

声になら無い悲鳴、なんて言葉もあるけど、あれは聞くに耐えない罵声だな。

 リュウの水とフルートの植物が、互いの力を高めながら、高い威力となって青年に直撃する。

 その光景は、さも上空に咲いた、美しき芸術と言う風に明記してもいいほど、きれいで美しく、そして強力な技だった。

 このすさまじい威力に、地上の瓦礫さえもが吹き飛ぶほどの強い衝撃波が響く。

 アニオンとディルは、2人の埋め合わせをするがごとく、町にいるすべての種族にそれぞれ、物理耐性の魔法と結界を張った。

 何気にアニオンとディルの力も上がっているようだった。

 さて、強力な攻撃を受けた青年は勿論、たいそうなダメージを受けたことだろう――――と思ったのだが、全くと言っていいほどの無傷だった。

 服にすら汚れも見当たらないほどに。

 完全に効いていないようだった。

 そして、青年の軽い攻撃【デコピン】で、リュウとフルートはあっさりとやられてしまった。



「なんだ、こんなものか。 あっけない。 こんなことなら相手などせずに、さっさと飛び去ってしまえばよかったな」


 フード越しに笑みを浮かべる青年。

 そして青年は、一瞬の隙をついてアニオンを倒し、ディルを魔法の檻のようなものの中に入れる。

 ディルは檻から出ようと必死にあがくが、無駄であった。


「なんなのこれ! 霊体状態でも出れない檻なんて!」


 言葉の通り、ディルは霊体状態でも脱出する事が出来なかった。

 中からの破壊も試みるが、その努力虚しく、ただただ無駄に終わってしまう。

 すると青年が檻越しにディルに向かって言葉を放つ。


「無駄だよ。 君程度の力じゃ、その檻は壊すことはおろか、脱出することも無理さ―――――さて、邪魔者もいなくなったことだし、本当は一応生かしておいてあげる予定だったけど……君らが邪魔したから、その憂さ晴らしに、そこで無様に倒れている天野翔琉を殺してしまうとしよう。 いや、僕も不本意なんだけどね――――でも、君らが僕の邪魔をしたという苛立ちを誰かに向けて発散しなければならないからね……」


 言葉が終わりゆっくりと地に降り立つ謎の青年。

 彼に向かって、ディルやアニオンたちは必死になって懇願する。

 その懇願すら無視し、ゆっくりと確実に俺の方へ近づく青年。

 俺は逃げようとしたが、力が入らない。

 先ほどの戦闘と、さっきの奴の攻撃によって体力を完全に消耗してしまったみたいだ。

 だが、まだ思考能力があることは幸いだ。

 何としてでも、この状況を打破しなければ。

 どうすればいい……どうすれば――――――

 こんな考えも浮かばぬうちに奴は、俺の前へとたどり着いた。

 そして、胸倉をつかみ持ち上げる。


「残念だよ、天野翔琉。 君はやはり神魔法がなければ何もできないんだね。 それとも、2重人格でも出して、僕に攻撃するつもりなのかな?」


 青年が不用意に放った言葉で、この状況ながら奴の正体に気が付いた。

 というか、考えられる可能性として、もうこれしかない。

 俺は胸倉をつかんでいる手を引きはがそうとした。

 すると、奴はまた笑みを浮かべて俺を近くの瓦礫の壁へと投げつけた。

 壁に打ち付けられて、すごい衝撃が身体に走った―――――が、しかし俺は奴をにらみつけて、声を必死に絞り出す。


「お……お前の……正体は、見破った……これで……対策ができる……」


 そういうと奴の表情の笑みは消えた。

 そして冷淡な口調で、奴は言う。


「流石としか言いようがないのかな? 天才少年君。 でも残念。 君の得た情報は誰にも話すことは出来ない。 何故なら君はここで死ぬのだから。 情報のかけらほども残させないくらいに、完全に消し炭になって死ぬのだから―――――さようなら、天野翔琉。 君は実に面白い人物だったよ……」


 謎の青年は、手を空へと向け、怪しく光る光球を出した。

 そして俺の方へと投げつけた。

 次の瞬間、その光球は激しい光と共に爆発した。

 俺の目の前で。

 爆風に巻き込まれたじゃ済まないほどの至近距離で。

俺は、理科室の爆発を思い出した。

ああ、死んだのか。

俺は……

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