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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ファントムソウル編:第6章-水の花嫁と海の悪魔-
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2ndステージ47:謎の襲撃者

「お前……誰だ!」


 腕の持ち主の顔を見るべく、後ろを振り向く。


「我がお前に名乗る名前など無い……」


野太い声だった。

そういって、すぼっと腕を引き抜く。

不思議と傷などはなかった。

しかし、すごい脱力感と疲労感に冴えなまれ、俺はその場に倒れてしまう。

青年はふわりと浮き上がる。

 俺の身体に突き刺した腕を引き抜いた手には、アマデウスと光の玉が握られている。

 青年は、もう片方の手に光の玉を持ち替えて、その光の玉を握りつぶす。

 そして、アマデウスは青年が持っていた瓶の中に入れられてしまった。


「翔琉!翔琉!」


瓶の中で、必死に俺の名前を叫ぶアマデウス。

 俺はどうにか助けようと、魔法を使おうとしたが、全く使えない。

 それどころか、急に身体が動かなくなった。

 そのまま地に這いつくばる形に倒れこむ俺に対して、青年は無言のまま飛び去ろうとする。


「待て! ……」


 声は出すことができるものの、しかしながら俺は動くことができない。

 正確には動きたくても動く動作をすることができない。

 何故だ?


「なんで動かないんだよ!」


 必死に叫ぶも、何もすることができなかった。

 地についてる感覚が全くない。

 こんなことは初めてだ。

 謎の青年はフード越しに笑い、空の彼方へと飛んでいこうとした。

しかしその時、それを遮るものがいた。


「待て! お前……何者だ?」


 上空にいたポセイドンは青年の行く手をふさぐ。

 しかし青年は何も言わずに、その場を抜けようとしたために、ポセイドンは攻撃を仕掛ける。

 先ほどの神魔法がまだ残っているようだったので、先ほどの極大の神之憤怒を青年に向かって狙う。


「お前はこれで消えろ!」


 そういって笑みを浮かべたまま、彼は謎の青年に向かってその魔法を浴びせようとした。

 最強の光属性の攻撃……

 だがポセイドンは先ほど起きた出来事を忘れている。

 否、信じられなかったのだと言えるだろう。

 何故先ほど、神之憤怒が天野翔琉に効かなかったのか―――――

 その実態をすぐに考えずに感情のままに攻撃をしたポセイドンは案の定、青年によって魔法攻撃をかき消されてしまう。

やはり、あの青年が先程の魔法をかき消したんだ。

そして俺の時と同じように、青年の手がポセイドンの身体を貫いた。

 だが、俺の時と完全に同じでは無かった。

 青年が手を抜くと、そこにはポセイドンの心臓が握られていた。

 ポセイドンの心臓はそのまま握りつぶされた。

その瞬間、塵となってポセイドンの身体は朽ちていった。

 断末魔さえ叫ぶ余裕がないほどに、あっさりと消えていった。


「そんな……」


 俺の声を気にする間もなく、青年は遠くの空を見つめて飛び立とうとする。


「待て! アマデウスを……返せ!」


 そう叫ぶが、俺は何もできない。

 こんな時、本当に何もできなくなった時の無力感が本当に腹立たしい。

 力を取り上げられたら、所詮俺はこんなものなのだろうか?

 

「なんて無力なんだろう……なんて無力なんだろう……」


非力な自分を呪った。

なんて、なんて脆い生き物なのだろうか……


「何言ってるのよ! 私たちがいるじゃない!」


 そういって上空から突然何かが飛来した。

 何かなんて言うのは失礼にあたるな。

 あれは、俺に初めて魔法を教えてくれた師匠にして、初めての仲間、ディル――――の魂の入った人形!

 そしてよく見ると、上空の青年の動きが止まっている。

 その周りには、アニオンとフルートがいる。

 あの2人が今、青年の動きを止めているようだ。


「あと、あたしもね!」


 そういって瓦礫からリュウが飛び出してきた。

 瓦礫の中にいたのかよ……

あれ?

 ジンライとホルブは?


「安心して、あたしの張った水の結界の中にいるから2人共無事よ!」


 俺が聞こうとした質問をさも当然のように言うリュウに、俺は心読まれやすいのかなと思っていた。

 まあそんなことはさておき、謎の青年の周りを世界最強クラスの女魔導士たちが取り囲んでいる。

 青年も流石に身動きを取れないようだ。


「さあて、君の正体を探るのも楽しいけど、まずは……」

「その中に封印されているアマデウスちゃんを……」

「返してもらいます!」


 アニオンとフルート、そしてディルはそういい、戦闘態勢の構えを取る。

 同様にリュウも戦闘時に行っている構えを取っている。

 青年はそのままのままで動かない。

 しかし、長い間沈黙していた口を開く。


「ふん、失笑だな。こんな小娘どもに我が止められてしまうとはな……」


 野太く、威厳がありそうな―――――そんな声であった。

 しかし俺にはどこかで聞き覚えのあるような声に感じた。

 しかも最近まで、あっていた人物だったような気がする。

 だがどうしてか、思い出すことができなかった。

まるで、記憶に霧がかかったように……

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