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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ファントムソウル編:第5章-影の支配者と負の人格-
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2ndステージ35:新緑へ

 外のけたたましい雷の音は止んでいた。

 既に、出発したアニオンが行く前に音を消してくれたためだと思う。

 辺りは無音だが随分と賑やかな音がする。

 どうやら橋の先には、先ほど解放された人々が意識を取り戻しているようだ。

 無事で何より……

 人々は、こちらに気付くと、ライとグランの方へ走って近づいて


「大魔導士様! あなた方が私たちを助けてくれたのですか?」

「ありがとうございます! 流石大魔導士様達ですね!」


 そういってライとグランを取り囲んでしまった。


「ママ……パパは?」


 といつの間にか隣にいるジンライは、俺の顔を除いている。

 いつ肩車止めたんだか……


「翔琉……俺たちどうしようか?」


 幼児化しているボルがジンライと同様に俺の方を見ている。

 なんだ?

 いやいや、子供であるジンライの行動は分かるけど、なんでボルまで?

 いや、可愛いからいいんだけどさ……

可愛いから、肉球弄ってるけどさ。


「うーん……とりあえず、おさまるまで、今日寝る場所でも探しておこうか」


 そういって、以前ディルからもらっていた地図を広げる。

 ちなみに、この地図にはディルが使ってもいいと言っていた別荘の場所がメモしてある。

 俺たちの目的地である、海狼横丁(シーウルフ)のそばにある別荘は、隠匿森(シークレットフォレスト)と言う場所にある別荘。

 この隠匿森は、前にディルに聞いたことがあるのだが、薬草の湯があるらしい。

 湯と言っても、ほとんど泉みたいなものであるらしいので冷たいとは思うのだけど、せっかくなので回復がてらに寄ってみたい場所であった。

 魔法で傷を治したとしても、あくまでも治せるのは傷だけなので、疲労などは次第に溜まってしまうのだ。

お腹に穴があいていたし。

何より、痛覚的に大ダメージを受けてしまっているのだから、すごくストレスになっている。


「じゃあ、ここで決定ね!」


 と言って、地図を指さす俺。

 俺は、ライとグランへそれを教えようと2人に近付こうとするが、大勢に囲まれているため、2人に近づくことができない。

 まるでSPたちに囲まれている要人のように、ぜんぜん近付けない。

 仕方がない……


「ねえねえ、ボル」

「なんだ? 翔琉」


 ボルは俺の方を見上げる。

 そして、俺は笑顔で


「あの取り囲んでる人たちを、一時的に別空間に移動させることってできる? 10秒でいいんだけど」


 するとボルはやや顔を引きつかせ


「今日出せる魔法はこれで限界になるから、このあとの移動は、翔瑠に頼るしかないんだけど……具体的には、抱っこかおぶって貰わなきゃいけないんだけど……構わないか?」


 まあ、幼児化してるボルならいいだろうと思い

 いいよ、と言うと怪しい満面の笑みをみせ


「交渉成立だな」


 と言い、ライとグランを取り囲む人々の方をみる。

 もしかして、はめられた?

 ボルが手をぽんと叩くと、ライとグランを取り囲んでいた人々が消えた。

 2人はその光景に驚いていたが、俺はすぐに声を出す。


「おーい、2人共! 俺たち隠匿森のディルの別荘に先に言ってるからな! 早めに追いついてくれよな!」


 そういい終わって、2人が頷くと、次の瞬間人々は再び元の場所に出現した。

 こういった理由は、あの2人はおそらくこの後、全員を安全な場所に避難させるという仕事があるからだ。

 大魔導士は、市民の安全を重要視しているので、そのため現在2人の最重要の仕事は、”善良な市民たちを安全な場所に避難させること”である。

 そんな2人をよそに


「じゃあ、行こうか!」


 そういって俺はボルとジンライを連れて、隠匿森へと向かうのであった。

正直言えば、この時2人がついてこなくて正解だったのかもしれない。

あんな悲惨な光景を、長く見ずに済んだのだから……


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