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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ファントムソウル編:第4章‐混血の息子と死の雷‐
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2ndステージ29:雷の虎

「ママ、そういえば、パパは?」


 そうジンライが言うと、噴水から流れていた雷が止まった。

 雷が止まったということは、奥の祈りの間へ行けるということである。

そんな、某トライフォースが出る、ダンジョンゲームみたいな仕掛け……

怪しすぎるだろ。

罠だけども……

行かなきゃ、ジンライの言うパパこと、ライは助けられないだろう。


「あの奥に、ライは……パパはいると思うよ」


 実際にパパなんて呼ぶのは恥ずかしいものだな……

 ママって呼ばれることにもやや抵抗があるが、なんだろうな……

 これが親になったって事なのかな?

 いや、それとは違って、なんか恥ずかしさを感じる。


「パパの元に急ぐ!」

「え? ああ! ちょっと!」


 ジンライは俺の手を引っ張り、噴水の下の入口に走る。

 すごい力だ。

危うく、転びそうになるくらい、強い力。

ちっちゃい身体で、よくこんなパワーだせるな……


「ちょっと! もう……」


 そういって、アニオン達も走って後ろについてくる。

 雷の大魔導士の神殿における祈りの間に行くまでの道のりは、何というか空気がびりびりしていた。

 しびれるというよりかは、ちくちくした。

 静電気でも発生しているのだろうか?

髪の毛が、逆立っているぞ。

 そんな中を進んでいくと、広い場所に出た。

 どうやら、ここが祈りの間なのだろう。

壁際のガラスのような容器の中を、雷が流れて、中央に向かっている。

 パパ……いや、ライが、そんな中央で、雷の球体に眠っている。

 そして、周りには雷属性の紋章らしき像が建てられている。


「パパ~!」


 そういって、ジンライは球体の方へと走っていく。


「危ない!」


 と血相を変えたフルートが叫ぶが、その声は少し遅かった。

 すでに、ジンライはライの元へとたどり着いて、球体に触れてしまっていた。

 その瞬間、ライの目が開き、球体がはじける。

 そこから現れたのは紛れもなく、ライ。

 服装が戦用の甲冑姿で、背にはマントを羽織っている(あんまり似合わないな……マントが邪魔だな)。

 球体のはじけた衝撃で、ジンライは俺の方へ吹き飛んできた。

 俺はそれをどうにかキャッチした。

 しかし、その勢いで壁に背中を強く打ち付けてしまった。


「痛っ!」


 ついつい声が漏れてしまった。

 それを聞いたジンライが、俺の顔を覗き込んで


「ママ、大丈夫?」


 その目元には涙が出かかっていた。

 自分のせいで傷つけてしまう原因を作ってしまったから……

 そのように感じてしまったのではないだろうか。

 俺は安心させたたくて、にこりと笑い


「大丈夫だよ」


 と言う。

 そして、俺は中央にいるライの方へと目線を向けるのであった……



「我……天野翔琉アマノカケル捕獲シ、主ニ差シ出ス……」


 こんなロボットみたいなしゃべり方になっちゃって……

 可哀想なライ……

 ライは、俺が旅をするきっかけになった時にいた初期メンバーだから、ディルの次に付き合いが長い。

 そして、たびたび色々な事を話し合っただけあって、どうにもやりずらい……


「パパ!」


 そういって、ジンライは再びライの元へ駆け寄ろうとした。

 しかしながら、それを俺は後ろからがばっと掴んで止める。


「ママ! 放してよ! パパが! パパが!」


 そういって暴れるジンライを俺は必死に抑える。


「今、行ったら危ないんだ! ダメだ!」


 そういって俺が必死に抑えている中で、フルートとグランがライに攻撃を仕掛ける。


「悪いな! 我輩たちで、幕引きにさせてもらうぞ!」

「ライ……すぐ、解放してあげるからね!」


 2人の表情はとても険しいものになっている。

 かつての仲間に攻撃せざる負えない状況と言うは、とても辛いものである。

 その気持ちを抑えているのが、痛いほど分かる。

 アニオンとエンとディル、そしてボルもすでに後方支援の準備ができているようだ。

 しかし、みんなの表情はやはり暗い。


「みんな! パパをいじめないで!」


 そう言いながらジンライが、涙目になってそして震えている。

 そして、その言葉が全員に一瞬の隙を生んでしまった。

 その結果、何が起こったのかと言うと前衛だったグランとフルートがいつの間にかやられていた。

 グランは全身が痺れて気絶しているが、フルートはぎりぎり意識が残っているが雷の結界を張られてしまっているので身動きが取れない。


「え? 何が起こったのんだ?」


 その問いに答えたのは、俺の中に眠っていたアマデウスだった。


 ”翔琉! ライは今もうすでに、神魔法:雷天神を発動させている!”


 え?

 でも雷天神を発動したら、雷の音が聞こえるはずだろ?


 ”よく思い出してみてくれ! 確か雷の音が聞こえなくなるなんて事が前に無かった?”


 ……!


 ”そう。その通り! アニオンがこの場所に魔法をかけていたよね?”


 確かに……範囲が確か……島全体だっけ?


 ”その結果として、この島で発動する雷の魔法は無音になる。さっきの噴水の時にも、思い返してみれば音がしなかったでしょ?”


 じゃあ、今のライは……


 ”そうだね。無音で高速移動する神魔法を使っているってことになるね………でも、今回どうやら僕は何も出来ないね……”


なんで?


”うーん……なんか、今回……あの神魔法には、毒が混ざってるみたい”


毒?

そんなもの、浄化すればいいんじゃないのか?


”いや、それは無理だな。 神魔法すら、犯してしまうほどの強力な毒……そんなものを、一瞬で浄化するには無理だな……”


そんな……じゃあ、あれを止めるには……


”自分で何とかするしかないな……”


 そういって、アマデウスの声は聞こえなくなった。


「ライはいったい何をしたの?」


 そうアニオンが周りに尋ねていた。

 俺は全員が聞こえるくらいの音を出すために、声を絞り出した。


「気を付けて! ライは神魔法を使っている! そして、今この島の特殊な条件下において、あいつの攻撃は見えても聞こえない魔法になっている!」


 そういうとアニオンが俺の方に向かって


「え? なんでそんなことが起きてんのよ!」


 と聞いてきた。

 流石に、お前のせいだよ!

 とは言えないので……


「アニオンがさっき、島全体にかけた魔法が関係しているんだよ!」


 と少し柔らかく教えた。

 すると倒れているフルートが小声で


「あのバカ女……」


 と言っているのが聞こえた。

 どうやらアニオンには聞こえていなかったようなので、ここは黙っておこう。

女友達って……こんなものなのかな?


「くそ! じゃあ、今のあいつは無敵に近いって事か……」


 エンがそういうと、ボルがひらめいた顔をして


「アニオンが魔法解けばいい話じゃねえか?」


 と言う。

 あ……

 全員がそう思った。


「今すぐ解くわ! 魔法解……! きゃっ!」


 気が付くと、アニオンが壁に大きく叩きつけられていた。

 そして、アニオンはそのまま意識を失ってしまう。

 何というタイミングなんだ!


「くそ! これじゃあ、あちらの優位性は変わらないじゃないか!」


 エンは師匠であるアニオンの元へ近づいて、介抱する。

 そんな中、ボルは自身の空間魔法でこの祈りの間を包み込もうとする。

 そうすることができれば、いかに速く動くことができても、対処できるからである。

 しかしながら、そんなボルの魔法は発動しなかった。

 まるで、スタンガンのように後ろからライによって襲われ眠らされてしまった。

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